新人理学療法士、走る!/染谷

2008年1月17日 (木)

新人理学療法士、走る! 第5回/やってしまった

 やってしまった…。 転倒です。患者さんを転ばせてしまいました。
  幸い、患者さんに怪我はなかったものの、一歩間違えれば大惨事。ものすごいショックです。口調も『です・ます調』です。 脳卒中で割と強い麻痺の後遺症が残っている方なのですが、しっかりした方で意思疎通に問題はなく、今のところ、高次脳機能障害といわれる注意力・空間認識などに障害が認められていません。
  車椅子に座ろうという時に、事故は起こりました。 椅子との距離がかなりあったので、それを患者さんに伝えて、理解されたと思ったんですが、患者さんは座ろうとしてしまったんでしょう。その時、私は私で車椅子を引き寄せようと体勢が不安定になっていて、患者さんを支えきれませんでした。 もうそれ以降はスローモーションかつ、パニック状態で、よく分かりません。
周りで見ていた人によると、「あ、立ち直るかな?あれ?だめか?」と思っているうちにゆっくり崩れていったとのことで、その分衝撃は小さかったんだと思います。 転倒などの事故を起こした場合、まず担当医に連絡して指示を仰ぎます。そこで必要があれば、CTとかレントゲンとかの検査をしてもらいます。それから、看護師長に担当看護師、リハビリ部長と病棟担当者へ報告。 そして『ヒヤリ・ハット報告書』を作成します。
 いつか書く日がくるかも、とは思っていたけれど、実際に書いていると泣きそうになります。書いている私をみつけると、みんなが「書いたことあるよー」と励ましてくれるんですが、余計に泣きたくなります。
そして軽く負傷。一緒に倒れてしまったので、とっさに床に手をついたのか、筋肉痛程度の筋断裂?みたいな感じ。肩に力が入りません。あとはアザができただけの軽傷ですが、これが患者さんじゃなくてほんとよかった…。
  不幸中の幸いです。あとは、今回のことが患者さんのトラウマになってしまわなければいいんだけど…。  あらためて、危険に満ちた職場です。いつ自分が加害者になるやも知れぬ危険に満ち溢れています。アメリカほどじゃないけど、いつ訴訟になるやも知れぬ危険も隣り合わせです。 もっと気をつけないと…。この反省を胸に今日は眠ります。 おやすみなさい。(染谷)

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2007年11月22日 (木)

理学療法士の仕事は簡単?

 PTの役割が、病院か施設かということで、また同じ病院の中でもどの時期の患者を扱う病棟かによって、違ってくるということについては以前にも書いたと思う。

 もう一度説明させてもらうと、病院の急性期病棟、回復期病棟では、機能回復を目的にリハビリを実施し(急性期病棟:発症直後の患者、病態が急変する可能性がある患者などを対象とし、点滴や心電図モニターなどの医療的管理が多く必要。回復期病棟:主にリハビリを目的に入院している状態の患者を対象とする。退院後の生活に必要な能力を身に付け、自宅の環境設定を行うなど退院までの準備を行う)、病院の維持期病棟、介護保健施設(以下、老健)や介護老人福祉施設等では、転倒や再発に対するリスク管理や、体力の維持などを主な目的としたリハビリを実施する。

 PTの仕事は、もちろんそうでないこともたくさんあるけど、正直言って傍目には誰にだってできる簡単なことがほとんどである。
 手で力を加えて『筋力強化運動』、とか、一緒に歩いて『歩行訓練』、とか。維持期の患者さんだと、ストレッチしてベッドから起して、ほとんど座ってもらってるだけ、というのもありえる。

 もちろん、筋力強化運動しながら筋力を測っているし、歩行訓練をしながら、どこの筋力が弱くて、どこが痛くて、どこに問題があってこの歩き方になってるのか、とかの分析はしている。ストレッチも、やり方を間違えれば脆い骨を骨折させかねない。ずっと寝ていた人をベッドから起すことで、血圧が急低下したりすることもある。

 PTの存在意義は、その人のその状態に対し何をやるかが重要であること、痛みとか病態の変化に医学的知識をもって対応できるということにあると思う。でも時々、「これでお金もらっていいのか!?」と思うことも、ある。

 病院も、公益性のある事業とはいえ、儲けを出す必要がある。
 雇ったスタッフ数に対して患者数が足りなければ、今いる患者から多く収益を出さなければならない。筋力強化には、2日に1度の運動でいい、というデータがあるにも関わらず、毎日リハビリをやらざるを得ないということもある。完全に、根拠に基づいた必要量だけを提供できるという状態にある病院はたぶんないと思う。

 また、私は老健に研修に行ったことがあるのだが、そこでのリハビリは、1人に対し20分、週に3度くらい。
 20分しかない、しかもたいていは認知症(痴呆)なんかがあって、運動に対する必要性を認識してもらえず、リハビリは拒否的。なだめてすかして、足がむくんでるからマッサージして、立ちあがる練習を10回くらいやって終了、なんてことが多い。これも、誰にでもできること。加えて、2日に1度、10回立つことで体力維持の効果はあるのか……。

 ただし、20分でも1対1で身体状況を確認することができ、褥創はできていないか、むくみや白癬は悪化していないか、他に何らかの身体的問題は生じていないか、などを確認する意味では意義のあることである。褥創ができていれば、医療的処置を依頼し、車椅子やベッドになんらかの工夫をこらすことで悪化を防ぐことができる。

 誰かがやらなきゃいけないけど、誰でもいいんじゃない?ってこともPTの仕事には多く含まれている、と最近感じる。(染谷)

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2007年10月25日 (木)

新人理学療法士、走る! 第4回/筋肉は触って覚える!

 今日は勉強の話をしたいと思います。

 3年制のPT養成校では、朝9時から夕方16時半まで1日中授業がギッシリ、ということは以前にも書いたが、その内容は、理学療法の手技、医学、福祉分野を中心に、物理や統計学、心理学、倫理学などの一般教養まで多岐に渡るものである。
 1年次には、解剖学、生理学、運動学など、PTとして必要不可欠である人体の基礎知識と、関節可動域や筋力の評価方法などを主に学ぶ。
 解剖学や生理学は講義形式なのだが、評価方法などの授業は、学生がお互いを実験台にしつつ進められる。実技形式の授業はいくつかあるが、中でも『生体観察』の時間には大いに戸惑ったことを覚えている。

 講義で習った筋骨を実際の身体で確認するという授業なのだが、「もういいだろ!?」というくらいにしつこく、且つ、思い切って触らないと、教科書の平面で見る絵を立体的に理解することができない。
 骨盤だろうが足の付け根だろうが脇腹だろうが、所構わず、どこでも触る。初めのうちは、強制的に男女で組まされるのだが、一ヶ月もすると、男だろうと女だろうとスッと手が出るようになってくる。
 それでも、30をとっくに過ぎたおっさんが10代のカワイイ女の子に触っているのをみると、
「いやいや、犯罪だろ!」
 と、突っ込みを入れずにはいられなかった。
 2・3年次には、病理学や内科学、整形外科学、脳神経学など疾患についての各論、脳卒中や脊髄損傷など、各疾患の後遺症の程度に関する評価法、治療法、その他、家屋改修や、義肢装具学、などを学ぶ。義肢装具士、という職種がちゃんとあるので、義肢(義足や義手)や装具を私たちPTが作るわけではないが、どんな物を作るか、素材はどうするか、足首の角度はどうするか、など詳細をドクターと相談して決めるのも仕事の一つなのである。

 試験は前期、後期の2度に分けて実施される。
 教科が20科目弱ととにかく多くて、昔から一夜漬け派の私はいつも2~3日徹夜する破目になった。
「こんな歳にもなって何やってんだか・・・」と毎回情けない気持ちになりつつ、毎回それを繰り返した学生時代だった。

 実技テストでは、教師に対して評価や治療法を実際に行うことがあった。
横:縦が1:2の、背が小さくて丸っこい学科長を車椅子からベッドに介助して移す、というテストで、重みに耐え切れず転がしてしまったことがあったのだが、見事にゴロンと転がった学科長を見て、テスト中にも関わらず思わず笑ってしまったことを覚えている。
私の学校はテストの採点がそれほど厳しくなかったのだと思うが、そんな大失態を披露しつつも再試験を受けずに済んでしまった。

学校で学ぶことができるのは、ほんの基礎中の基礎で、これだけでは質、量ともに足りない。
この職業を選んでしまったら最後(?)、一生勉強し続けなければならない。
卒業後は、頻繁に催されている勉強会に出席したり、自分で本を買って勉強したりする。何万も払って勉強会に行ったりする人もいる。理学療法にもいろいろな手技があるのだが、それぞれの手技で学派みたいなものが確立されている。

私は何度も言っているように新米で、また勉強不足なので詳しくは知らないが、有名な学派に「ボバース」というのがある。
一度だけその治療を見学したことがあるのだが、傍目にはなんだかおまじないみたいに見える。
魔法使いならぬ、ボバース使い(実際、こういう言い方もする)。動きが少なくて、正直、見学していると眠くなってしまう。
植木屋さんが木に語りかけてるみたいに、筋肉に語りかけてる感じ。多分。
でも、神経系とそれに関わる疾患に関して、体系化された考えが身に付くそうなので、勉強したいなとは思う。
PTの世界は奥底が知れなくて、あまりにも道のりが遠くて、先輩たちみたいになるのは無理だな。と思ってしまう今日この頃。(染谷)

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2007年10月 4日 (木)

新人理学療法士、走る! 第3回/理学療法士になるにはお金がかかる

 さて、今日は学校生活でのお金の話をします。

 PT(理学療法士)になるには、結構お金がかかる。
 養成校には、3年制の専門学校・短大と、4年制の専門学校・大学があって、初年度に支払う費用は、公立の学校だと20万程度、私立だと150万~300万。私は3年制の私立専門学校を卒業したのだが、純粋に学校へ支払った金額が3年間で420万。私立としてはやや安めの方。高いと500~600万くらいかかる。

 それに加えて、教科書代は1年目20万、2年目15万、3年目5万円くらい。これは他校よりも大幅に高いらしく、年間3万程度のところもある。今見返すと、やたら無駄な本を買わされていて、使える本が本当に少ない。
 それからケーシー(新米医師みたいな半そでの上下)が2着と、白衣とで3万くらい。あとは値段は覚えてないけど、検査道具一式だとか、理学療法士協会やら同窓会やらの会費だとか、国家試験の模擬試験とか、コピー代が月に数千円だとか、ちょこちょこお金がかかる。

 それと大きいのが、実習の滞在費。私は幸いにも一度もなかったのだが、クラスの2/3の人が、1度はマンスリーマンションを借りて実習に臨んだ。
 実習についてはまた改めて書きたいと思うが、ほとんどの学校では、1ヶ月の評価実習と、2ヶ月の臨床実習を2回の計3回、病院や福祉施設での実習を組んでいる。
 クラスの一人ひとりが別々の場所へ派遣されるため、どうしても実習先は全国津々浦々、縁も所縁も無い地での一人暮らしを余儀なくされる。遠方の実習先をあてがわれることを「飛ばされる」と言うのは、どこの学校でも共通らしい。

 10年以上の歴史がある学校だとか、顔の広い先生がいる学校では飛行機に乗らない範囲内で済むが、新設校では南は沖縄から北は北海道まで、文字通りの全国各地に飛ばされる。さらにひどい学校では、自ら実習先を探さねばならないらしい。うちの学校では、南は静岡から、北は福島までだったので、かなり近くで済んでいる方だと思う。

 滞在費に交通費、生活費で15~30万。コレはかなり痛い出費である。

 そこで、たいていはクラス内で保険をかける。かかった費用を全員でワリカンするとか、1年生の内から貯金しておいてそこから配金するとか、実習地が決定する前に決めておくのだ。
 うちのクラスでは「保険をかけたい人だけが全額ワリカン」することになったのだが、クラスの半数しか参加しなかったために1人18万くらい支払うことになって、あまりお得感のない保険になっていた。

 そんなにお金がかかるなら稼がねば!
 ということで、学生といえばバイト。だが、4年制の夜間校を別にすると、PTの養成校に通いながらまともにアルバイトをしている人はほとんどいない。学校の授業は9時から4時半までビッシリだし、課題も出る。しかもうちの学校は辺鄙な場所にあったから、通学時間で目いっぱいという人が多かった。
 クラスメートは約50人だったが、その中でほぼ3年間バイトを続けたのは2~3人。深夜までバイトして、徹夜で課題をこなして授業中寝る、という矛盾した生活を送る人もいた。それでも実習中は絶対にバイトなんてできないし、テスト時期も厳しい。長期の休みを取らずにバイトを続けた人は皆無だ。

 私の僅かばかりの貯金は、入学金+前期授業料を払っただけで底をつき、親からの借金と奨学金で残りの学費を支払ったのだが、クラスには、全ての授業料と生活費を貯金で賄った脱サラ組も何人かいた。中には40代・2児の父なんて人もいて、その経済事情は大いに謎だったのだが、真相を聞くことは叶わなかった。

 これだけ多くのお金がかかる訳だが、PTは決して収入の多い職業ではない。新卒の月給は15万~30万と就職先によってバラバラ。相場は20万前後だと思う。そして、ほとんど昇給しない。

 20分毎に治療に対する報酬額が決められていて、誰が診ても同じ値段。現在はさらに1日毎、1週間毎に、治療を行える時間が決められている。昔は年収1千万というPTもいたらしいが、今はひとり頭が稼げる金額が決まっているのだから、自ずと給料も決まってくる。
 リハビリは稼げない部署になりつつあるらしい。
そんなこともあって、PT業界は「将来、PTは無くなるのでは?」「この業界で一生食ってくのは無理かも」というような、そこはかとない不安感に包まれている。

 お金のため、でなるには割に合わない職業である。(染谷)

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2007年9月 6日 (木)

新人理学療法士、走る! 第2回/サラ金からPTへの転身

 のっけから話は逸れるが、私が以前勤めていたのは消費者金融、いわゆるサラ金である。業務内容は窓口受付・貸付審査・金銭管理・電話営業などで、女性は特に、貸付での業績が個人成績として重視され、私も数字を追いかける毎日を送っていた。

 恐喝的対応がメディアで取沙汰されて以降、顧客への対応はより慎重になって、(あんなのは極少数派で見たことも聞いたこともないし、上場してる会社で暴力団が絡んでるってことも全然なかったのだけど)今はほとんどの会社で禁止されているらしいが、私の勤めていた平成13年当時は、自宅だろうと勤務先だろうと朝からせっせと営業電話をかけまくった。口説き文句はマニュアルどおり、「お借り入れを当社で一本化していただければ、返済の面倒も減りますし、金利もかなりお安くできますよ」。

 数社にまたがって借金をしている、比較的収入の良い顧客を口説き、更にお金を貸して他社を返済させる。以後、返済に専念するならば、借金地獄から逃れるために最も適切で建設的な話だ。しかし数ヶ月後、一本化したはずの借金は、ただその嵩を増しただけとなる。
 私がそのことに気が付いたのは就職して約1年後のことだった。稼ぐ範囲内で暮らせない人は、どんなに稼ぎがあろうと借金をせずにいられない。年収と同額の借金がある顧客はザラにいるし、それでも借金をどうにかしようという意思のない人たち。その転落にこれ以上加担できないと思ったとき、どんどん増えるノルマに耐えられなくなって辞めた。
 やっぱり、人のためにならない仕事はしたくない。前職での経験は、私がPT(理学療法士)を選んだ大きな理由のひとつだ。

 うって変わって、PTはまさに、『目に見えて人のためになる仕事』。自然治癒もあるから、自分の介入によってどの程度の変化がもたらされたのかなんて新米の私には分からない。それでも目の前の患者がどんどん良くなるのを手に取るように実感する毎日……。
 勿論その分、責任も物凄く重たい。なにしろ、人、一人の人生の質を上げるも下げるも私次第。冷汗ものである。
 今も、自立歩行を達成できるか否かという瀬戸際にある右片麻痺(いわゆる右半身不随)の患者を担当し、無い頭を悩ませている。人生の重大事だというのに、何もできない私が担当したばっかりに……と思うと、本当に申し訳なく、空いた時間に歩行訓練するなどとにかく時間だけは使うようにしている。

 PTが職場とするのは、病院のほかにリハビリテーション施設、介護保健施設、介護老人福祉施設などがあり、医療・福祉両方の分野にまたがる。開業権はなく、PTは皆サラリーマンである。
 病院でのPTの仕事は機能回復に重点が置かれるが、介護保健施設などでは機能維持や、リスク管理(転倒とか再発に関して)が主となる。また、同じ病院であっても、大きく急性期・回復期・維持期の三つの分野に分けることができ、仕事の内容はそれぞれ微妙に異なってくる。
 学生時代、PTとしての醍醐味が最も味わえそう、と就職先として人気があったのは回復期。患者はどんどん変化していく。病院から、施設や家庭への橋渡しを主な仕事としているから、まさにその後の生活の質を決めるターニングポイントで患者と関わっていくわけである。
 私がPTを目指したもう1つの理由は『寝たきりを防ぎたい』だったのだが、そんな私にとっても回復期の魅力は捨てがたいものがある。

 元金融、だからか分からないが、とかく私の話はお金に結びつきやすい。
次回は学費、給料など理学療法士とお金について書こうと思う。(染谷)

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2007年8月23日 (木)

新人理学療法士、走る! 第1回/PTの仕事と自己紹介

■今回から月に2回のペースで現役の理学療法士さんにご登場いただく。早い話が私の友人だ。

 この国の人口ピラミッドを見れば一目瞭然だが、医療・福祉は政策や生活をはじめ様々な面で重要な議題になってゆくだろう。医療制度や介護保険については情報があるけれど、医療・福祉の仕事の担い手とその仕事についてはまだあまり知られていないような気がする。当ブログでもこのジャンルはほとんど話題にしていない。知らないことは書けない。
 報道や、仕事の内容を説明するウェブサイトでは内容がどうしても構造論に陥ってしまいがちだ。人口ピラミッド云々言ってる時点で既に構造論である。
 特定の業界の仕事を構造論で捉える「鳥の目」は重要だが、ふだん実際に患者に接する者の「虫の目」には現場感、温度感の面で到底かなわない。
 また、実際に医療の仕事にあたっている者から見た業界の構造は、報道で語られているそれとは違う視点を持つかもしれない。(宮崎)

     *    *    *

 大学時代の友人である宮崎氏から、唐突に「文章を書きませんか?」と誘いを受けた。 まあ、電話とは概して唐突なものだが、彼の唐突さには今回に限らず度々驚かされてきたものだ。前回貰った数年ぶりの電話にしても、

宮崎氏「今、爆発してますか?」
私  「……? はい。たぶん」
宮崎氏「どうやったら爆発できるんでしょうか?」
私  「……? さあ。爆発ってなに?」
宮崎氏「ガー!!! ウォー!!! って感じですよ。まあ、いいです。」

 終了、という私にとっては懐かしい、不可思議感にあふれた内容であった。今考えてみれば、今回の誘いを誰に持ちかけるかについて模索中だったのだろう。
 文章を書くことに苦痛を感じるわけではないが、こと理学療法士についてとなれば話は別だ。やっと業界の入口に立てたところである私に、果たして語れることがあるのか!? しかし、業務に追われる日々のなか、頭の中を整理する機会には飢えている。そこへ「全く理学療法士を知らない人に仕事を紹介する感じ」「日々思うところを書いてくれればいい」という甘い誘惑の言葉……。かくして28歳にして新社会人4ヶ月、なりたてホヤホヤの理学療法士である私が、『理学療法士とはなんぞや!? 』ということについて語るという、肝を冷やす状況に陥ったのである。

 語り手について多少情報をいれてくれということなので、簡単に自己紹介させてもらう。
 28歳女性、独身。めんどうくさがり。よく人に言われるのは『無駄に男前』『和服が似合う』。
 就職氷河期といわれた数年前に、ごく平凡な大学を出、やっとこ就職はしてみたものの長続きはせず、25歳で一念発起、専門学校へ。なんとか卒業、国家試験をパスして、現在、一般病院へ勤務している。前職や、専門学校の様子については追々書いていきたいと思う。

 さて、本題に入るが、まず理学療法士(Physical Therapist:以下PT)とは、一言でいえば『リハビリをする人』である。リハビリテーションを実施する職業には、PTの他に作業療法士(Occupational Therapist:以下OT)・言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist:以下ST)などがあり、いずれも国家資格である。

 STは「読む・書く・聞く」という言語を扱う能力と、嚥下能力に対するリハビリを実施するもので、イメージがつきやすいし説明も簡単だ。
 一方、PTとOTについては、いずれも「体の動き」に対してリハビリを実施するもので、違いをよく聞かれるのだが毎回少し困る。
 基本的な違いとしては、PTが「立ち上がる・歩く」などの基本的な動作能力に対するリハビリを主に受け持つのに対し、OTは「トイレに行く・入浴する・趣味活動・職業復帰」など応用的な動作や、生活の潤いを持つのに必要な能力を受け持つ。また、PTが主に運動や超音波、牽引などを行うのに対し、OTは手芸や工作などを通して治療を行う。
 つまり、PTはいわゆる“運動”的なことを、OTは“生活の中のこと”“楽しいこと”をする。そんなわけで、PTにはスポーツで怪我をして競技生活を断念した人が多く、OTには細かい作業の好きな人が多い。
 実際の現場においてはそれほど厳密なテリトリーが存在するわけでもなく、同じ患者さんを担当しながら、やや視点の違いがあるという程度ではないだろうか。
 病院によっても様々で、基本動作はPT、応用動作はOTが主体としている病院もあれば、足はPT、手はOTと分担を決めている病院もある。
 しかし結局それらはオーバーラップして、どちらに多く時間を割くかという程度だろうか。
傾向としては、PTが歩行のパターンを正常化させようと躍起になるのに対し、OTはいかに早く動作をひとりでできるようにさせるかということに力を入れているという気がする。

 私の職場は比較的、趣味的活動を多く取り入れている病院である。それでもOTがやってPTがやらないことと言えば、調理実習と農作業、ゲーム(最近、Wiiが導入された),回想法(昔を語り合い精神活動を活発化させる)くらいだろうか。逆に、排痰や呼吸方法の訓練についてはPTのみが行っている。

 先ほども書いたが、PTにはスポーツマンが多い。できるスポーツといえば小学生時代に習った水泳と、中学で部活をサボれると思って選んだ卓球くらいで、完全なるイン・ドア派の私が、何故PTを選んだかについては、また次回に書ければと思う。(染谷)

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