寺門興隆を読む

2013年2月17日 (日)

寺門興隆を読む/2013年2月号

志茂田景樹、伊藤比呂美というものすごく豪華なゲスト執筆者を迎えている『寺門興隆』2月号、さっそくみだしを見てみよう。

養父養子住職訴訟/宗派の人件費/寺院墓地利権訴訟/動物供養課税判決/叙勲住職/宗教文化士認定試験/震災寺院公的支援/猫のいる涅槃図/寺族退職金/死者の行方

「人件費」「退職金」と、寺が抱える人にまつわるお金の話が2つも。以前、寺院の所得(?)格差が広がっていることが頻繁に記事にされた時期があったが、やっぱり逼迫しているのか。そんな心配をしながらも「歳出に締める人件費と管理費の割合は適正か」という記事をめくってみると、すごい。貴重な資料として後世に残した方がよいデータが目に飛び込んできた。なんと、計13宗派の人件費と一般会計の割合が事細かにまとめてある。予算額や災害対策費、宗議会費の割合までが赤裸々に記されている。ちなみに平成24年度の総予算額が最も大きいのは真宗大谷派。さすが、日本で最も信者の多い宗派。

ハードな記事を読んだ後は「宗教文化士認定試験」が気になる。昨年の11月で第三回目が終了したこの試験、日本宗教学会と「宗教と社会」学会が立ち上げたらしい。51問全問題と回答が掲載されている。難しい。特に外国の宗教のことが。51問、大まじめに解いてみたが正答率は半分程度で、きっと私は落ちるに違いない。コプト教徒やバハイ教のことなど、知らなければならないことが多いことが分かった。勉強せねば。

2つの記事を熟読した後は「涅槃図に猫がいるいない説法」で心をなごませる。猫は魔性のものなどとされ、涅槃図に画かれていることは珍しいという。しかし日本のそこかしこに、猫が描き加えられた涅槃図が存在するという。それは果たして何故なのか。読み進めていくと納得の結論。

ほかにも「豆まきは危険だという声にお寺は」「ワンコイン修行で寺興しに成果あり」など、惹きつけられる記事が今月も多かった。来月は大震災に、どう触れるか。(小松)

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2012年12月26日 (水)

『寺門興隆』勝手にみだしアワード2012

 今年もこの季節になった。『寺門興隆』1年分の記事を全てひっくり返して、見出しのインパクトだけで年間ベストテンを決めてしまう「みだしアワード」。極力、見出しだけの紹介にとどめるので気になった方は興山社さまよりバックナンバーをお取り寄せくださいませ。

第10位 1月号 「お金や進物を美しく包む折形礼法」
 個人的には一年間で一番好きな記事だが、見出しのインパクトはイマイチで10位にランクイン。お花を包む、お札を包む、お酒を包む……知っていれば華やかで真心の詰まったプレゼントが自分の手でかなう。

第9位 3月号 「国論二分のTPP問題は寺檀の将来を左右する!?」
 TPPはこんなところにまで影響を及ぼすのか。

第8位 2月号 「檀家が法事をしたくなる秘策はあるか!?」
 最後の「!?」に貧困寺院の悲痛な叫びが込められている。そういえば法事に呼ばれなくなった。出席人数も減ってるのかも。

第7位 11月号 「超モダン伽藍に託す願いと新構造」
 「超モダン伽藍」まるでサザンの歌詞のような軽やかさが魅力。

第6位 9月号 「写経後の用紙をどうしているか」
 気づけばずっと気になってしまう系。某寺で書いたあの般若心経、ちゃんと供養してもらってるんだろうか。

第5位 12月号 「魚の弔い」
 二度見、いや三度見してしまったみだし。

第4位 8月号 「現職住職が自らの死亡退職金を求めて自坊を訴えた訳」
 なんか呆れてコメントもできない。

第3位 10月号 「誕生!天台宗キャンペーンガール」
 SKJ(スーパーキラキラ女子)に違いない。

第2位 7月号 「お寺に最適なトイレを求めて」
 切実さに一票。

第1位 5月号 「福井県が幸福度日本一とされたのはお寺や仏心の賜物か」
 そうだったのか……!

 以上、『寺門興隆』勝手にみだしアワード2012をお送りした。来年もわくわくしながら目次を繰りたい。(小松)

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2012年12月 9日 (日)

寺門興隆を読む/2012年12月号

早いもので今年もあと1ヶ月。というお決まりのセリフを吐けるのはあと何年だろうか、などと考えていると切なくなる。早く死んでもつまらないが長生きもまた地獄であることを考えると、結局どっちでもいいように思えてくるから不思議だ。そんな思いにふける年末、さて今月号のみだし。

放射能差別/日中摩擦寺でも被害/離壇紛争/境内地を奪った国/宗教奨学金全調査/遺言トラブル対策/二年参り/白衣の洗い方魚の弔い/女性住職奮闘/老いの悩み

『図書館戦争』と張るくらい、長閑な風景が一気に物騒となる「離壇紛争」。離壇は個人の自由ではと思いきや、何と檀家の半数が菩提寺を捨てるという事態になっているお寺があるという。ことの発端は、檀家の7割が反対していたにもかかわらず先代の息子がお寺を継いでしまったこと。そんなに嫌われる住職って一体どういう人物なのかとページをめくっていくと、カネと女のトラブルが総代はじめ檀家にまで知れ渡ったことで一気に信用を失ったらしい。しかも元々地域で一番安いと評判だったお布施の値段をどんどん上げ、葬儀のさいには送り迎えや料理を勝手に発注。そりゃあ嫌われて当然だ。信頼は無料で築ける最高の財産だ。そんなにカネにうるさい人物がなぜ手放すのか。そうか、これもお布施の一つのかたちなのかもしれない。

 そしてもう一つお金の話なのが「宗教奨学金全調査」。「宗教奨学金」というものがあることを初めて知った。宗派によってその対応はバラバラで、宗門校に成績優秀な学生に授与するため年額で与えるところあり、父親を亡くした後継者に年間で与えるところあり、大学院生など研究者のみを対象としているところあり。調査の結果、年間予算の一番多かった宗派は…? そんな見方もおもしろい。

 個人的に一番気になるのが「魚の弔い」。これだけを見て思い当たるのは金子みすずの詩「大漁」だが、記事冒頭にもやはり引用されていた。
《海のなかでは何萬の 鰯のとむらいするだろう》
魚の供養塔は全国何箇所もある。この記事でも日本の捕鯨発祥地、和歌山県太地町の「くじら供養碑」などが紹介されている。そういった有名なものに限らなくても、漁村の社寺の中にぽつんとある供養塔を見た人は多いだろう。鯨、マグロ、鯉、鮭など、いずれもその土地で大量にとれる魚類を祀ってあることが多い。執筆者の田口理恵東海大学准教授によると、個別に祀られた生きものはなんと70種類にも上るという。スーパーに並ぶ切り身の状態しか知らない消費者は忘れがちだが、それは命あるものが息絶えた姿であることに間違いない。漁業をなりわいとする人達がそれらに手を合わせるのも、自然なことなのである。

 年末には恒例の「みだしアワード」を行う予定。整理が悪いから12号をひとところに揃えるのが一番おっくう。(小松)

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2012年11月11日 (日)

寺門興隆を読む/2012年11月号

 やっと「じもんこうりゅう」と続けて打って「寺門興隆」に一発変換されるようになった。「寺」「門」「興隆」、「寺門」「興隆」の時期を経てついに。講読を始めてから5年ほど経って、今日やっと。大変感激です。

 今月の見出し。
宗派偽装の葬儀/国の無宗教政策/住職権紛争/墓所改葬最高裁判決/寺院の奨学金/新連載 未来の住職塾/稚児行列/足袋を洗う/カルト問題/いじめ対策/超現代本堂

 気になるものが多すぎてどこから手をつけたらよいか分からないが、まずは「宗派偽装の葬儀」。最近「派遣僧侶」が『寺門興隆』で悪し様に言われている。良心的な派遣会社ならば叩かれることはないだろうが、一般的な業者のマージンの高さ(なんと40%ほどだという)に強烈な批判がなされるのはもっともであろう。そんな編集部の神経を更に逆なでする事件が起こったらしい。編集部に送られてきた匿名の手紙に「寺院紹介システムのある葬儀社にお寺を紹介してもらったが、そのお寺を訪ねてみたら何宗の葬儀でもやってしまうところであることが判明した。産地偽僧はゆるされないと思う」というようなことが書かれてあったというのだ。「産地偽僧」、うまい。でも宗教のことは難しい。良く記事を読み進んでいくと、コミュニケーションの欠如から若干の誤解が生じていることがよく分かる。宗教のことは宗教家にまかせて、お坊さんに直接相談するのが納得いくお寺選びの近道だと思うな。切羽詰まってると難しいけど……。

 「超現代本堂」も気になるところ。「モダン伽藍に託す願いと新構造」というキャッチで飾られた写真に写っているのは、ドーム状の屋根に包まれたガラス張りの建物。これがお寺なんだって、世の中変わったもんだ……お年寄りのそんな感嘆のため息が聞こえてきそうな前衛的本堂だ。夜は山門の仁王像をライトアップするとのこと、それはひと目、ぜひひと目見てみたい! 名古屋市の天台宗成願寺だという。地下スペースには250壇の納骨壇を設置、お斎の間にもなる客殿スペースつきと、至れり尽くせりの設計。お寺を設計するのが初めてという建築設計所が建設したらしい。だからこそ前代未聞の本堂が出来上がったのだろう。

 個人的に大好きな記事が「足袋を洗う」。「白足袋の汚れを洗い落とす秘訣」とし、住職や寺庭婦人、プロにも取材。様々な市販の洗剤を試している。確かに足袋は白さが命。足元が汚れていると、とたんに不潔な印象を与えてしまいかねない。ここではあまり知られていない、正しい汚れの落とし方が8行程に分けて紹介されている。寺社仏閣や和服に縁遠い人には関係ない、というわけでもない。白シャツ、白タオルなどに十分応用が利く内容で、「saita」や「すて奥」にも出てこないような徹底的・実践的な汚れの落とし方に驚愕した。ぜひぜひご一読を。(小松朗子)

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2012年10月16日 (火)

寺門興隆を読む/2012年10月号

 何気なく目次ページをめくったら「増頁10月号」とあってびっくり。どうして増ページ? 何も思い当たるニュースはないけど、その理由は、これからじっくり読めば分かってくるのかも。そんなわけで、今月号の見出し。

寺院典礼施行権否定判決/宗派寺院災害対策/寺院課税論/宗門商標権/直葬の原因/新連載現代日本宗教最前線/北朝鮮遺骨調査/避雷針選び/いじめ問題/御詠歌住職

 新連載! 漫画雑誌なら巻頭に来るところだが、『寺門興隆』ははしゃがない。真ん中付近にそっと持ってくる。そんな新連載「現代日本の宗教最前線の状況と問題ーー比較宗教社会学の視座から」は、北海道大学教授で宗教社会学者の櫻井義秀氏が担当。なんかすごくイケメンなんですけど……(必要ない情報でしたね、失礼)。第1回は「社会で日々起きている新たな宗教の胎動を知るために」。まずは筆者自身の立ち位置や研究内容を示すために第1回まるごとが割かれている。社会学という学問の特徴、さらに宗教社会学とはいかなるものか、そして「比較宗教社会学」とは? という段階を踏まえた分かりやすい説明がありがたい。学者の説明だからムツカシイかと思いきや、ちょっとくだけたところもあって面白い。次回以降も期待できそう。

 そして「北朝鮮遺骨調査」。特集ページには、ドーンとお骨の写真があってちょっとびっくり。北朝鮮では、遺骨は桜の木の下ではなく、トウモロコシ畑の下に眠っていた。終戦後、国交がなく遺骨の収集ができなかった北朝鮮で、今年の8月に突然墓参許可が下りた。そのレポートである。厚生労働省によると北朝鮮には約2万人の日本人の遺骨が眠ったままだという。その遺骨はどのように埋葬されているか、その詳細が初めて明らかになったのだ。遺骨調査をした北朝鮮からの引き揚げ者が作る民間団体「全国清津会」の訪朝についてはテレビでも大きく取り上げられたが、この記事でも詳細にレポートされている。興味のある方はぜひ購入されたい(別に回し者ではありません)。あ、もしかして増頁はこの特集のためなのかも!

 他にも、雷からお寺や大仏を守る避雷針の選び方や寺院への課税が様々な識者から提案されている問題など、注目すべき話題が満載。「寺院・住職に提言直言」は早坂暁&宮内勝典と、これまた豪華です。(小松)

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2012年9月26日 (水)

寺門興隆を読む/2012年9月号

 急に秋めいてきたこの頃。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉は偉大だ。同時にお彼岸というのは住職が檀家まわりで忙しい季節にもあたり、厳しい暑さの中どうなることやらと気を揉んでいた住職もホッと一安心であろう。そんな9月の寺門興隆、見出し。

直葬か寺院存亡か/寺院は避難所か/霊園商標裁判/布施脱税葬儀社/女性説談説教/身体を害する建物/臨床宗教師/写経会実践/宗門住職解任裁判/幼児脳死移植問題

 やっぱり見逃せないのは「布施脱税葬儀社」だろう。今年6月に発覚した、埼玉県にある僧侶派遣会社の所得隠しについてだ。僧侶派遣会社が葬儀社に支払った紹介料の一部が脱税に利用されたのだ。その紹介料というのはつまり遺族が僧侶に払ったお布施の一部である。僧侶も遺族も縁をもらう以上は紹介料を差し引かれてもしょうがないだろう(というか、僧侶派遣会社はそれで食べているのだし)けど、こういう事態が発生すると、「私たちって誰にお布施してるんだろう?」と不安になってしまう。本記事は「僧侶へのお布施はお布施とし、紹介料は紹介料としてちゃんと施主に業者が正直に請求すればそれですむことではないのか。お布施を「不透明」にしているのは、当の業者なのである。僧侶もそんな業者に加担してほしくない。」と締めている。本当にその通りだ。私たち、お坊さんにはお布施するけど、どこか知らない会社に現金を喜んで捨てたくない。

 そして聞き慣れない言葉「臨床宗教師」。本誌では「在宅ホスピスに不可欠は医療者のみならず臨床宗教師だ」とし、医療法人の理事長が記事を書いている。看取りの現場に医療関係者しかいないと、死後やあの世に関する患者の求めに応じることができずもどかしいというのだ。「がんを患って、死を嫌でも意識せざるをえなくなってくると、生の世界と死の世界とが同時に視界に入ってくる、そのような心地がした。その時痛感したのは、死の側の方には道しるべが何も見当たらない、ということであった」とあり、一瞬で腑に落ちた。確かに死への道しるべをするのは宗教者しか考えられない。死にゆく人はもちろん、遺族となりつつある親族のケアも、生ある時から必要ではないか。

 個人的には「歯を見せている阿弥陀様がおられるのはなぜか」という記事に痺れた。歯を覗かせている仏像は「歯吹の仏」といい、全国に数十体しかないという。しかもほとんどが阿弥陀様だというのだ。その理由を知りたい人はぜひ本誌を買うと良いと思う。ずっと書くのをサボっていたので一日発行の月刊誌の紹介が月末になってしまった。急ぎ入手してほしい。(奥山)

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2012年4月 9日 (月)

寺門興隆を読む/2012年4月号

 めっきり春めいてきたこの頃。先週の土日には都内各所で桜が満開になり、晴天にも恵まれ、各公園は花見をする人であふれていた。「寺門興隆」4月号も桜に水鳥と、春らしい表紙。
今月の見出しは以下の通り。

寺族規程変更の波紋/寺院建築訴訟/震災孤児を救おう/汚染土を受け入れる住職/寺の交通事故裁判/災害記念碑総覧/天蓋選び/手元供養/本誌住職アンケート結果

 ひときわ目を惹くのは「汚染土を受け入れる住職」。一読すると立派な住職、と感心してしまいそうになるが、近所の人の納得は得られているのか。早速読んでいこう。
 活動をしているのは、ラジオ福島でパーソナリティも務める住職。「自宅の放射線量が高い。小さい子どもがいるので心配」とラジオ番組に寄せられた手紙をきっかけに、除染を思い立った。中心となって立ち上げていた「福島復興プロジェクトチーム・花に願いを」により、PTAや町会に呼びかけて通学路の除染を独自に進めることにし、活動する中で仮置き場の問題に突き当たる。みな、なるべく遠ざけたいと思っている中、住職は決断した。お寺の裏山を仮置き場にすることにしたのだ。その際、最も奥を選び、ドラム缶を用い、地域住民に見せて説明したという。反対意見は出なかったというから驚きだ。近所の人々が、住職の必死の活動をその目でしっかり見ていたからこそ信頼が生まれたのだろう。

 余談だが、筆者の故郷は山形の内陸部である。誇れるものといったら積雪量しかない土地に生まれて、野菜も魚も果物も豊富な福島の太平洋側がどれだけ羨ましかったことか。自分から見たら天国としか言い表せなかった土地が、豊かな土地で食べ物を育てて私たちに運んでくれていた人が、今苦しんでいる。非常に勿体ないことだ。悔しいことだ。

 そしてなんと、毎回豪華有名人が登場するコラムに、ついにあの人が登場!勝間和代氏である。「経済人と宗教倫理」という、なんとも難しそうなタイトル。しかし内容はとてもわかりやすく、「ディズニーランドと大きな神社では、どちらが訪れる人が多いか」「スピリチュアル系書籍の売り上げに見る日本人の心理」など、切り口が経済学者の視点ならではで、ついつい引き込まれてしまう。本当に、今回も素晴らしく豪華なコラム。

 さらに「手元供養」についての記事。「今喧伝されている『手元供養』って何か」という見出しから「『手元供養』という言葉をご存じだろうか。新造語だが、最近“新しい供養のかたち”などと喧伝されているのだ。どんな供養なのか。まさか仏事離れを進めるものなのか。」というリードに続き、かなり警戒している模様。手元供養とは、お骨をオブジェやジュエリーに入れたり、ダイヤモンドなどに加工し、自宅などで供養すること。記事によれば「7年間で46倍の供給になった」とのことで、「こんなのが流行るとお墓が売れなくなるんじゃないかと心配しているお墓も多い」という記述にも頷ける。
 しかし、手元供養品の意味合いは「お墓の代わり」というよりも「分骨かめのかわり」である。お墓にも入れるけれど、少しだけ手元に置いておきたい。多くは、そんな人のための品だということが分かり、記事も「お墓が要らないというものでは、ないわけだ」と胸をなで下ろす。そして取材をしていく中で、手元供養のニーズの背景にある声に気付くけれど、ここから先は本誌をぜひ読んでほしい。(奥山)

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2012年2月23日 (木)

寺門興隆を読む/2012年2月号

 分厚い。2月号、ものすごく分厚い。どうしたんだろう? と思って1月号と比べてみる。あれ、同じ202ページ! いつから? いつからこんなに分厚くなったの? と調べてみたら、11年12月号は190ページ、10年12月号は184ページ、2009年5月号は174ページ。年を経る毎にどんどんページ数が増えており、出版不況の流れからは逆行している。羨ましい限りの寺院実務誌、今月号の見出しはこちら。

仏教60年推移/行方不明住職/阪神震災寺院復興/東日本大震災以後/寺領奪還訴訟
法事をやらせる秘策/駆け込み寺住職/太陽光パネル選び/国の終末期支援の本音

 1行目の並びには平仮名も片仮名も見あたらない。いつも通りの気合いがとても清々しいが、なんといっても「行方不明住職」が圧倒的に気になる。そして「法事をやらせる秘策」も。一体どんな秘策でもって法事をやらせているというのか。うちは年忌法要を全く欠かしたことはないが、それが住職の営業テクニックによる成果だとは考えたこともなかった。法事ってやらないという選択肢もあるのか。そんな疑問を携えてページをめくってみる。
 なんと最近は「せいぜい三回忌まで」という地域もあるらしいのだ。また「次は何回忌を迎えるのか分かんなくなってしまった」という檀家もあるらしい。特に都会では、お寺との継続した関係を保つことが難しく、常日頃から年忌に対して意識するということが少なくなっている。それに対して、年回表をラミネート加工して配ったり、ホームページで法事の相談に応じたりと工夫を凝らしてアピールしている住職が紹介されている。
 とくに個別にハガキで告知をするという住職の試みはユニークだ。「住職!このお寺って 宗教施設だったんですねえ・・!!」というハガキの文句が目を惹く。これは確かにインパクトがある。忘れられない。法事もついついしてしまうというものだ。

 貴重なアンケートも。「東日本大震災で「葬式はいらぬ」の風潮は変わったか」という記事では、冠婚葬祭互助会組織である(株)くらしの友社と、(株)全国儀式サービスが行ったアンケート結果が紹介されている。「震災後、葬儀に対する考え方は変化したか」「供養のあり方で一番ショックだったのは?」といった、葬儀業界にいる者であればぜったいに知りたい情報が詰め込まれており、絶対保存版だ。

 そして個人的に目からウロコだったのが「今さら師匠に聞けないこと」。今回の記事は「漢字の読み方をちゃんとしよう」。「七回忌」を何と読むか、これには明白な理由があるのだ。編集者の自分にとっても「今さら師匠に聞けないこと」であり、とても役だった。感謝。さらに、様々な人にとってもお役立ち度がかなり高いと感じたのが「小銭から紙幣までを包む折型礼法」。慶弔時やお見舞いの際に、自分で選んだ素敵な紙を折ってお札を包めたらちょっと嬉しい。コンビニで買うくらいなら自分で作るわ、の域に達したい。(奥山)

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2011年12月11日 (日)

寺門興隆を読む/2011年12月号

 年の瀬。今年もそのうち「見出しアワード」をやりたいが、その前に12月号をしっかり読もうと思う。
 12月号の見出しは以下の通り。

僧侶妻帯訴訟/墓地事業と暴力団/原発被害賠償/福島の寺院幼稚園/教科書の仏教/在家出身住職/安否確認法/サンスクリット住職/お布施消費者問題/永平寺シンポ

 のっけからすごいのがある。「僧侶妻帯訴訟」。まさかと思いつつ記事を読むと、曹洞宗の僧侶を名乗る男が永平寺を相手取って「僧侶の妻帯は犯戒だ」と訴えたというのだ。すでに福井地裁が請求を却下したことで解決した案件だが、この記事では「もし貴宗派がこのような提訴を受けたらどう対応するか?」「壇信徒から『僧侶は妻帯していいのですか』と聞かれたら?」と、各宗派にアンケートを採っている。浄土真宗は開祖からして妻帯者であり、肉食妻帯を認めているのでこの質問は馴染まないが、他の宗派はどうか。アンケート結果で目立ったのが「寺の運営は女性字族の双肩にかかっているといっても過言ではない」といった言葉である。キビシイ不況を乗り切り、地域縁者へ心を配って寺を切り盛りしていくには、求道者の力だけでは足りないということか。僧侶・寺族あわせて7人からの真摯な回答もあり、かなり読み応えのある記事だ。

 そしてやっぱりまだまだ「原発問題」。寺院賠償請求の実際、福島の仏教圏の窮状を今号も伝えている。国の言うことが信じられず、「自分達でやるしかない」と独自に除染を始めたり、ガイガーカウンターを入手してこまめに線量を計ったりと、放射能との闘いは始まったばかりのようだ。

 毎度ためになる「法律相談」では、「ボケた母親が納めた戒名料は間違いなので返してほしいと言われた」という事態。喪主である母親が父親の葬儀の時に払った戒名料を、「母はボケているので間違った額を渡してしまった」と長男が申し出たらしい。これに対して弁護士は「お布施は寄付と捉えることができる」とし、寄付返還の必要性があるケースについて回答。でも最初に渡した額が200万円で、150万円を返してほしいと言われた事を思うと、「返してあげようよ」と思ってしまうけれど……。庶民にとって200万円はとにかく大金だ。

 気になるのが「つっぱり和尚の骨山日記」。病気のほうはいかに、と心配しつつ読み進めると、とうとう入院・手術らしい。祈るような気持ちで次号を待つ。(小松)

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2011年11月13日 (日)

寺門興隆を読む/2011年11月号

 出版関係者には意外と読まれている寺院実務誌『寺門興隆』。やはり皆、見出しのダイナミックさを参考にしたいらしく、知り合いの編集者から「私も読んでいます!」という声が続出している。『月刊住職』時代から数えて創刊30周年、絶好調な今月号のラインナップ。

政教分離破綻/公開仏教講座総覧/ペット霊園課税/滝行事件/墓地訴訟/住職奮闘/掲示伝道板/震災寺院消費者問題/震災宗教シンポ/アートで寺院活性化/宗勢調査

 これは一番に「アートで寺院活性化」の記事を読むべきだろうと思うが、はて今回の宗勢調査はどんなだろう?と覗くと「住職の四割が寺院収入だけでは生活できない」という衝撃的な見出しが。
 宗勢調査を行ったのは、浄土真宗本願寺派。平成21年度の調査結果を報告している。それによると、なんと年収300万円未満のお寺が43.2%、25.4%が無給とのこと。無給って、どうやって生活してるの? と不思議に思うが、兼業や年金など寺院外収入が寺院の活動で得られる収入を上回っている、と回答したのが44.9%と半数近く。もはや坊主は作家や米農家同様、兼業でないと成り立たないのか。

 不景気な話題はさておき、「アートで寺院活性化」を読んでいこう。1つの寺に1万人が集うアート展があるのだという。絵画やオブジェなどの現代アートが本堂や庫裏やお寺の前庭に並ぶというのだから、他ではまず見ることのできない催しだ。舞台は人口約11000人の小さな町、長野県小布施町の玄照寺。毎年四月の第三土日に行われ、事前に町のラジオで放送までする町おこしの一大イベントは、どんどん規模を大きくしているらしい。なんというか、正しく楽しくて素敵だ。
 他にもお寺でのアート展は増え続けているのだという。確かにお寺はイベントスペースとしてもってこいだ。広いし、照明や音響設備は整っているし、立地もいい。演劇やダンスや講演会など、様々な活動に向いている。お寺さえうんと言えば、こんな素晴らしいイベントスペースはないだろう。

 次に気になるのは「ペット霊園課税」だろう。ペットの供養は宗教行為か否か、行政は否と見るようで、ペット供養に関してお寺への課税問題が裁判になるケースが増えているという。「ちゃんと供養しているのだから、宗教行為なんじゃないの?」と、漠然と思ってしまうが、世の中にはペット霊園だけを営んでいる業者もある。そこはきちんと税金を支払っているのだ、などと聞くと、頭を抱えてしまう。じゃあペットの件だけ課税すればいいのか? するとなんだかペット供養にもありがたみが感じられなくなってくるから不思議だ。難しい話である。

 今月も「つっぱり和尚」高橋住職の癌進行状況が気になるところであったが、台風で敷地内の巨木が倒れ、それどころではない様子。ちょっとは病気から気がそれたのかなと、ちょっとホッとした。結構ファンなのだ。(小松朗子)

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