ロストジェネレーション自らを語る/女、28才、主婦(前編)
東京都内の閑静な住宅街で生まれ育ちました。小学校までは公立だったのですが、中学からは中高一貫の進学校を自ら選びました。何故そうしたかというと、私には6才違いの妹がいて、とても可愛らしくて回りからチヤホヤされるタイプだったんですね。妹と正反対で容姿に恵まれず、人を頼るのが苦手な可愛げのない性格だった私は、物心付いた頃から「誰にも頼らず、自力で生きていかなければならない」と強く思うようになったんです。選んだ学校は、女子校ながら「女である前に、一人前の人間たれ」と自立を旨にしており、それに強く惹かれました。
その頃は今より10キロ太っていた上に、顔中ひどいニキビでずっと皮膚科に通っていたので「ブスでデブで醜い私が、一生結婚なんかできるわけない。自分で頑張ってどうにかしなくちゃ」と思っていました。幸いにも周りの友達が、女の子であることを前面に押し出すようなタイプではなかったので、学校生活は楽しく過ごせました。腐女子などという言葉が市民権を得ていなかった頃から、同人誌を読んでいるような二次元オタクだったりもして。コミケデビューは中学2年生の時です。
高校生になった頃、ダイエットに成功して10キロ痩せました。
すると後姿だけはイマドキの女子高生になったので、街中で「3万でカラオケどう?」なんて、おじさんに声を掛けられることがあって。援助交際という言葉がちょうど流行っているときでした。男の人って汚い! と感じて、やっぱり一人で生きていこう、という決意を固くしました。同世代の男の子と交流を持てばまた見方も変わったんでしょうが、デートや合コンをしている人たちは自分とは完全に別世界だと思っていたので、そういう機会は全くありませんでした。
そして受験。ずっと真面目に勉強してきたので、ストレートで日本でも五指に入る大学に入学することが出来ました。CanCamに出てくるようなキラキラした女子大生には絶対になれないから、一人の人間として勝負できるようなところに行こうと、むさ苦しいことで有名なその大学を選んだんです。昔から人に悩みを相談されることが多く、将来は臨床心理士になろうと思い文学部に進みました。しかし、学んでいくうちに、悩んでいる人に感情移入しすぎてしまう自分には向いていないと気付いて、2年次に専攻を文学に変更しました。みんなをまとめるゼミ長をやったり、研究にも懸命に取り組み、返さなくてもいい奨学金をもらえるほどの超優等生でした。授業もバイトも飲み会も全部こなして、今思えばほとんど寝ていなかったんですが、毎日が充実していて楽しいと思っていました。当時は体力があったんですね。
さらにその頃から、急にモテるようになりました。悩みを聞いて褒めたり励ましたりするのが得意だったので、今思えばそれが男性のプライドをくすぐったんでしょうね。驚くほど多くの人に告白されました。でも、今まで恋愛に無縁な人生を送ってきていたので、なぜこんな自分が好意をもたれるのかもどう振舞っていいかも全くわからず、大パニック。うまく断れなくて結局ズタズタに傷つけてしまったり、追いつめてしまったりして、人間関係が壊れていくばかりでした。
実際につきあった人は、いわゆる「だめんず」でした。一回り年上のおじさまで、同じ世代の男子たちにはない落ち着きのある感じと博識さに惹かれたのですが、お金のない人でした。私はバイトを三つかけもちして、彼の生活を支えていました。どの仕事もやりがいがあり、働くこと自体も面白いと思っていたので、苦ではなかったです。そして周りの人達から散々大学院に行くことをすすめられながらも、「私が働いて彼を食べさせるんだ!」と、無理矢理就職活動に入り込んでいきました。ここからです、私の人生に、明確な翳りが見え始めるのは……。(前編終わり)
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