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2014年12月

2014年12月 8日 (月)

「初老男の旧式映画館徘徊~シネコンに背を向けて~」第8回/「シネマヴェ-ラ渋谷」 渋谷に出向く唯一の理由がこの映画館の存在だが不満も。

2  渋谷という街は高齢者と縁が薄い。実際、繁華街を歩き回る中高年も極端に少ない。大人を引き付ける施設が少ないから当然だ。食事にさえも困る。脂っこさと低価格が売りのチェーン店ばかりで、和食系の店はほとんど見かけない。新旧の個性的映画館も多くが閉館、更に縁遠い街になり視野から消えた。事情が変化したのは5~6年前。円山町ラブホテル街ド真ん中の「シネマヴェ-ラ渋谷」(ビル4階)が、積極的に旧作邦洋画を2本立てで上映開始。同じビルには「ユーロスペース」(封切館)や「映画美学校」も入居、今やラブホテル街の映画のメッカ。入場料は一般1400円、老人1000円、学生800円。会員になれば料金割り引きの他(一般が1000円に)、9回通うと1回無料の特典付き。「神保町シアター」や「ラピュタ阿佐ヶ谷」に比べても、良心的料金設定だ。

 安い上にうれしい点が2つ。まずは途中入場に寛容な事だ。各種サービスにぬかりのない「新文芸座」でさえ、上映開始後30分以降の入場は禁止(俺は後方からコッソリ入るが)。「神保町シアター」は更に厳しく開始後20分で入場アウト。「ラピュタ阿佐ヶ谷」は完全予約制だし、従業員が上から目線の「ギンレイホール」では、途中突撃には相当の勇気が(HPに開始後の入場制限は特に記してないが、終映前30分以内の入場はご遠慮をと。席の取り合いでの鑑賞ムード破壊への憂慮か?)。ヴェ-ラは一番気楽に途中から見物可能。ただドアを閉める際は、最後まで把っ手を手離さないように。安普請のせいか閉じる際に「ドスン!」との轟音。途中入場者たる者、他の客に迷惑をかけるのは御法度。

 もう1つは美人揃いのモギリのお姉さんが、非常に親切な事。「神保町シアター」窓口も美人は多いが、いかにも訓練された営業スマイル的接客(2人のうち1人が必ず美青年なのも、腐臭オッサンには不愉快。若い女性客の多い「神保町花月」対策だろうが)。数人いる女性はぎこちない面もあるが、常に客の立場で対応する点に好感を。先日も最終回の1本でポイントカード招待を利用しようとすると、親切お姉さん軍団の1人からの優しい御言葉。「ご使用になられるのなら、2本観られる際の方がお得ですが…」即従ったのは言うまでもない(60を越えると、こういう際の機転が効かなくてのう。ゴホンゴホンゴホン)。自分の利益にならない事には一切無関心な風潮の、安倍ナチス在特会内閣下に咲く白百合の花束とでも言おうか(絶対オーバーじゃない!)。

  ここからは苦言。チラシ(プログラム)「シネマヴェーラ渋谷通信」を何とかしろ!(最新号の映画史上の名作特集で143号目)二つ折りで入場料の割に豪華だが、昔から特集開催年度が未記載。最低最悪! 筆者はこの種の紙物の保存癖があるが、西暦が入ってない物は穴開きコンドーム同様(天皇制・元号制即刻廃止論者だが、正直元号でもあった方がマシ)。「神保町シアター」「新文芸坐」「ラピュタ阿佐ヶ谷」、いずれも99%のチラシに明記(3館共に西暦派なのもうれしい。あ、「フィルムセンター」もだ)。多分担当者は若く、過去の歴史も頭に入ってるのだろう(スクラップしてるとか)。けどよ、そっちは分かってもこっちは、去年どころか半年前の記憶さえ消滅。上映する側の都合ではなく、モギリのお姉さんのように、観る側の立場で対応を。岸田森特集とか個性的企画も多い。もっと自分たちの仕事に誇りを持ち、後世に”記録”を残すべし(詩人の荒川洋治が、各地の文学館の企画展パンフ・ポスターに関して似た意見を)

1   座席が連結式で落ち着かない、スカしたトイレが実用的でない、チラシデザインが「ラピュタ阿佐ヶ谷」他に比べて泥臭い等、ケチはいくらでも付けられる(腐臭爺さんの特技)。でもモギリのお姉さんの笑顔でグッと我慢。我慢し切れないのが西暦未記載問題。作る側だって入ってた方が便利なはずだが……。ラブホテル街なので,行為の前後と思われるカップルとも度々遭遇(両者の股間が糸を引いてる場合も)。年がいもなく嫉妬で胸が全焼する時もあるが、こりゃ映画館の責任じゃないな。(塩山芳明)

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