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2014年11月10日 (月)

「初老男の旧式映画館徘徊~シネコンに背を向けて~」第7回/「フィルムセンター」(後編) 死に損ない老人どもの痴呆映画論を強制拝聴させられる京橋映画地獄へいらっしゃい!

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  センターの入場料は520円。老人割り引きは民間映画館より5年遅く、65歳からで310円(大学生・高校生も同額。なお、筆者の辞書に“シニア”なる恥語は存在しない)。図書館等のあらゆる公共施設が今はそうだが、ココも貧乏老人の溜まり場に。それ自体は問題ないが、耐えられないのが一部お喋り老人の存在。基本的に日に2度、ないし3度上映されるが(企画によって相違が)、話を漏れ聞いてると朝からずっとという人もザラ。余程家で邪魔にされてるのだろう。筆者は夜7時からの上映に行く場合が多い。30分前の開場。この30分間の読書タイムが心地良い…はずだったが、ここ数年の館内説教放送の増加でぶち壊しとは前回書いた。アホ役人の尊大な道徳的指導者面も不愉快千万だが、“溜まり場の老人”の傍若無人さも、裏金公安警察の別働隊との見方も多い、例の在特会真っ青だ。

 コノ種の老人はとにかく暇。並ばなくても座れるのに(定員310名の大ホールが満杯になったのは、個人的体験によれば『日本暗殺秘録』の時だけ)、警備員や職員に馴れ馴れしい態度を示しつつ、列前方ででかい面(元々が全身が貧相なので、当人の“意志”は周囲に伝わらないが)。開場するなりいそいそと、自分だけで勝手に決めてる“指定席”へ(脚をずってるのに、他の客を押しのける腐れ爺さんまでいる凄惨な光景だ)。マレに他の客に指定席を奪われると、ガラガラなのにすぐ横に着席。「落ち着かねえなあ、いつもの席じゃないと。もう長くねんだし、映画くらい落ち着いて観たいよ。若い人はまだ先があるんだし…」とか何とか、嫌みのオンパレード。「あ、イテテテテ。冷えるせいか今日は脚が痛む」昨今の若者でこのダメ押しに耐えられる者は皆無。指定席をつつがなく(?)確保すると、後は仲間の到着待ち。周囲の者が“京橋映画地獄”に叩き込まれるのはこれから。

 「あん時の上原謙の演技はどうも陰気すぎてねえ」「やっぱり佐分利信や佐野周二に比べると投げ遺りというか……」「戦後の清水宏監督はもうひとつぴりっとしないね」「喜劇の斎藤寅次郎監督に比べればずっとマシですヨ」「島耕二なんてそういう意味じゃ一番ひどい」「原節子もやっぱり100まで生きるのかね?」「山口淑子ももう一息で……」センターには広いロビーもある。指定席を確保したら、下らない仲間同士のお喋りはそっちでやって欲しい。しかし幾つかの老人グループは、静かな館内での無駄話に執着。難聴気味の老人は一般に大声だから、説教館内放送と並ぶ騒音公害だ。

 筆者だけの思いではなかった。館内で携帯を用いたりすれば、「外で話せ!」と即一喝する。ただ普通の会話自体は自由(当然だが)。騒音公害老人映画鼎談に耐えつつ、悶々と集中力を欠く読書に打ち込もうとしていると、50代位のオッサンが叫んだ。「うるさいぞあんたら大声で! 喋るんなら外のロビーで話せ!!」さすがに一瞬静まり、周囲の老人も散る。が、ボス気取りの爺さんはポツリ(正面切って怒鳴り返す程の度胸はない)。「別に話をするのは禁止されてないよ。ブツブツ…」無論、翌日からはすっかり元通り(50代のオッサン、カンバーック!)。最近やっと気付いた(鈍感!)。老人らは多くの人間に自らの“映画論”を聞いて欲しいのだ。同じ境遇の老人がたむろってるだけのロビーじゃ駄目。若い女性も男性も、そして婆さんもいる館内でなくてはならない。

 無論、類した騒音公害老人は「神保町シアター」でも「シネマヴェ-ラ渋谷」でも、「新文芸坐」でも見かける(若いOLがメインの、「ギンレイホール」には絶無)。しかし、人数・声量・不潔(悪臭派も一部に)さはセンターの老人集団が圧倒的。公の施設だし遠慮する必要はないとの意識に加え、団塊派老人はより自己主張が強烈との一面があるのかも。同世代老人は何かと“俺様振り”が悪評高いが、一方でサバイバルスピリッツは見倣う必要があると感じる時も。

 例えばセンターは館内飲食禁止。食事禁止なのは分かるが、客層に高齢者が多い中、飲み物まで許さないのは官僚的過ぎると昔から。暗闇での上映が開始されると、自分も含めてコッソリ飲む人も多い。が、休憩時間は警備員が発見すると即注意を(昨今は帽子着用客にさえ警告。ガタガタうるせんだよ! 「国立京橋道徳説教センター」か?)。そんな環境下、老人たちは周囲に迷惑顔をされたり、文句言われながらも大声で映画談議を30分も(朝からだと数時間以上のはず)。筆者はもう1度高血圧で倒れると、まず助からないとの医師の保証付きの身体(3年前にくも膜下出血を)。特に長生きをしたい訳ではないが、この太々しく騒々しい世代の先輩老人が待ち受ける、地獄だか天国だかにはまだまだ行きたくない。(塩山芳明)

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