「初老男の旧式映画館徘徊~シネコンに背を向けて~」第6回/映画好き金満説教役人の地上の天国「フィルムセンター」よ永遠に!?(前編)
筆者が「フィルムセンター」(通称FC)に通い始めたのは、実はついこの6~7年。70~80年代のFCの悪評は伝説的だった。『キネマ旬報』他の映画雑誌も、誌面で直接攻撃はしないが、読者欄には具体的な不愉快体験をワンサカ掲載(大人の事情で編集者も工夫したか?)。圧倒的だったのが従業員の態度の悪さへの批判。当時はまだ安月給だったニッポン公務員は、概して無愛想。役所の窓口他で、それに慣れてるはずの人々が激怒するレベルだったのだ。糞野郎共がでかい面してる施設など、死ぬまで行くまいと妙義山に誓った(自宅裏から望める)。しかし出版不況も万年化、主義主張に拘泥してられる身分ではなくなる。その頃だ。映画友達が、「東京駅経由で通勤してるなら、FCに行かない手はありません。1本500円ですし、従業員の態度も最近はそう悪くないです」にわかには信じ難かったが(完全に洗腦済みだった)、モノは試しと通い始めた。奇峰・妙義山に謝罪しつつ。
その通りだった。案内のオッサン、モギリの熟女も不自然なまでの笑顔で愛想満点。前者など場末のホストクラブの呼び込み風で、尻の辺りがこそばゆいほど。熟女も人によっては萌えるはずだ。「噂と全然違うじゃん!」やはり情報は現場で確認せねば(無節操な奴!)。無論昔の批判が嘘と言う訳ではなく、次第に待遇面で特権化した現代の世襲貴族階級・ニッポン公務員の、表面的防衛本能だろう(いざとなれば、生活保護申請窓口がそうであるように、即警察頼みで本性を暴露するはず)。理由はともあれ、帰宅前に500円(今は520円)で、古典映画を大画面で体験出来るのは貴重。定員310名の大ホールは椅子も豪華で、さすがにピンボケ他もまず無い(逆に地下の小ホールは館構造も椅子も最悪の不良品で、事情通はまず行かない)。他館で観たい映画を上映してない夜も、FCに行けば安い暇つぶしが出来る。初めて納税してる見返りを感じたのも本当だ。
そんな幸福感に包まれていたのも最初の半年程度(やっぱりね!)。厚化粧の下の醜悪な本性が次第に見えて来る。まずは関係者のゴキブリ並の数の多さ。1階正面では定年まぢかと思われる、スーツ姿のオッサン従業員が愛想良く迎える(警備員の場合も)。左手の受付には、熟女かオッサンが1人ないし2人でボケ-(息する案山子か?)。右折してエレベーターに。前にも警備員。2階の受付にはお待ちかねの熟女コンビ。1人で充分なのにご丁寧なこってス。横にはまたも警備員。半券もらって入口に向かうと、若めのスーツ姿の従業員がニヤニヤ。入ると別の警備員が館内をウロウロ(館内飲食禁止なので)。数学が苦手で合計人数は不明だが、裏方もこの調子なら一体幾匹が、いや幾人がFCに寄生を? 反原発デモでの機動隊の尊大な過剰警備を見る度に(下手するとデモ参加者より多い!)、しばらくはFCのロビーを連想した。
暇と金を持て余した役人くらい始末に置けない存在は無い。選民意識200%の連中がまず始めるのが、納税者へのエッラソ-なお説教(緊急用防災無線をカラオケ化してる、地元富岡市の痴呆役人とソックリ!)。最終上映は6時30分開場で7時からの上映。その間の30分を、筆者は落ち着いた読書タイムに。BGMも流さないし(見識!)、携帯他へのマナー注意放送も上映開始直前の1回のみ…だった。というのも今は、説教放送が10分置きごとに3回も繰り替えされるのだ! アンケート箱に、住所を書いて抗議の投書したがナシのつぶて。何の為のアンケート?(無論予算消化のためだ)追い討ちをかけるように、3回放送の合間に警備員が地声で放送と同一内容の説教を始める始末。「うるせえぞ糞馬鹿野郎!」忍耐強い方だがさすがに怒り爆発。警備員を一喝するだけで無く、2階のスーツ野郎に猛烈抗議。以降地声説教は中止になったが、3倍化された説教放送は今でもそのまま。毎週の月曜の休館日以外にも、FCは異常に上映休止期間が多いのでも悪評高いが、筆者にはこの説教放送の方が数倍苦痛だ。
客もFC側に負けてない。
(つづく)
(塩山芳明)
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