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2014年1月 8日 (水)

●ホームレス自らを語る 第133回 路上生活者の矜持(後編)/山田元さん(仮名・53歳)

1401  新宿中央公園で会った山田元さん(仮名・53)は、山口県美祢市の出身。地元の高校を卒業後、子どもの頃から機械いじりが好きだったということで、京都の自動車修理工場に就職。希望通りの職場環境で居心地も悪くなかったようだが、なぜか6年で退職してしまう。理由は「都会の生活に飽きたから」だという。以後、故郷の美祢に帰って、職場を転転とする。そして、31歳のとき神奈川の自動車工場で期間工として働き、それををきっかけに、ずっと首都圏で暮らすようになる。自動車工場の期間工を1年で終えたあとは、上野公園の手配師の紹介で飯場に入って建築土木の作業員として働く。典型的なホームレスへの転落のコースである。ただ、山田さんは他のホームレス予備軍とは少し違った。建築土木の作業員として働く人の多くは、半月契約で飯場に入り、契約満了になると半月分の給料をもらって飯場を出る。あとはドヤ(簡易宿泊所)に泊まって、金のなくなるまで遊び暮らし、金がなくなるとまた飯場に入って半月間働くというのが一つのパターンである。
「オレの場合は職長から『おまえはもういい』と言われるまで、同じ現場で2カ月でも、3カ月でも働きました。長いところでは、同じ飯場に3年間いたこともあります。それで仕事を終えて飯場を出ると、上野公園に行き手配師から新しい飯場を紹介してもらい、すぐにそちらに行って働くという具合でした。真面目だったですよ」と言って笑う山田さんだ。過去にはいくつもの職場を転々とした山田さんだが、この飯場仕事は15年以上も続いたのだ。よほど水が合ったのだろう。
 その彼が48歳か、49歳で建築土木作業員の仕事をやめてしまう。
「オレは酒を飲まないし、ギャンブルもやりません。そういうのは飯場暮らしに向かないんです。つき合いが悪いから、人間関係がうまくいかなくてやめました」
 最初はそう応えていた山田さんだったが、しばらくしてこんなことを漏らすようになった。ほんとうの理由はこちらのようだ。
「バブル(経済)の崩壊から、建築土木作業員の日当は下がり続けていて、いま6000円ですからね。最盛期の半分以下ですよ。そこから3食の食事代、風呂代、それに夏はクーラー代、冬は暖房代が引かれます。雨の日は仕事が休みになって日当は支払われませんが、食事代などはキッチリ引かれるでしょう。雨の日が3~4日も続いたら赤字になりますからね。だから、15日間飯場に入っていても、いまはいくらの稼ぎにもならないんです」
 それで山田さんは新宿中央公園で路上生活をするようになった。路上生活をするようになっても、怠惰な生活に陥ることはない。
「ホームレスといっても上等なのから下等なのまでランクがあって、私は道端に寝転がっている連中とは違います。ホームレスをしていても、プライドがありますからね」
 そう言い切る。ホームレスをしながらも、誰にも迷惑をかけないこと、後ろ指を指されるような生き方はしないことを心に誓っているのだ。

 いま山田さんは働いている。
「週2日間、月曜日と金曜日だけですけど、アルミ缶拾いをやっています。缶拾いの日は深夜の12時頃自転車で出て、東は四谷あたり、西は笹塚あたりを、朝7時頃までかけてまわります。朝10時頃には買取人が来るから、それまでに拾い集めたアルミ缶をつぶして準備しておきます。いまはキロあたり105円で買い取ってもらえるから、1回で約5000円、1週間で約10000円の稼ぎになります」
 食事はその金ですべて賄う。コンビニやスーパーで売っている弁当やインスタント食品が多いという。
「オレの食事は、朝、昼、晩と3食決めて食べているわけじゃありません。腹が減ったら食べるという方法です。それが夜中だろうと、腹が減ったら食べます。そうやっていると、だいたい1日2食でいけるようになります。週2回のアルミ缶拾いのほかは、身体を動かすわけじゃありませんからね。腹もそんなに空きません。腹が減ったら食べる。それが私の健康の秘訣です」
 山田さんはアルミ缶拾いで得た収入で、食事代を賄うほかに、定期的に銭湯にも行っている。それに髭も毎朝剃り、洗濯もこまめにやって、常に身奇麗にしているのだ。
「飲食店のゴミ箱を漁って食べられるものを探したり、シケモクを探してウロウロしたり、道端の適当なところに寝転がったり、ホームレスに堕ちたからといって、そんな真似はしたくないですからね」
 路上生活をしながらも矜持を失わない生き方だ。
「ホームレスのなかには生活保護を受けている人もいますが、私はイヤですね。生活保護の申請をすると、田舎の親兄弟や親戚などに照会がいくんでしょう? そんな恥晒しなことはできません。そんな恥をかくんなら、飢えて野垂れ死んだほうがマシですからね」
 これもプライド高い山田さんならではの考え方である。
 最後に山田さんはこう結んだ。
「明日のことは考えません。今日一日を無事に終わることが大切です。一日を無事に終えて、公園内に段ボールの箱を組立てて、その中に潜り込んでいくときに幸せを感じます。というのも、最近この公園の管理が新宿区から民間業者に委託されたんです。公園で暮らしている仲間たちのあいだで、近く追い出しがあるんじゃないかという噂が囁かれています。いまのところ、そんな動きはないようですが……そんな状態だから、今日一日を無事に終わることが大切なんです」(この項了)(聞き手:神戸幸夫)

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