鎌田慧の現代を斬る/第156回 強靱化に奔走する安倍政権とユニクロ(1)
4月中旬、米・マサチューセッツ州のボストンマラソンでの爆破テロ事件の事後、ボストン郊外のウォータータウンで2人組の犯人と警官隊が銃撃戦を繰りひろげたのは、いまだに記憶に新しい。チェチェン難民の息子、タルメラン・ツァルナエフ容疑者が銃で撃たれるなどして死亡、その弟である19歳のジョハル・ツァルナエフ容疑者は重傷を負って警察に身柄を拘束された。ワシントンポスト紙によれば、弟は事件現場となったマラソンのゴール近くに爆弾を置いたことを認めたという。しかし、これは警察発表なので、真実かどうかはわからない。
注目すべきは、この兄弟とも2001年から米国で暮らしていたことだ。2人はロシアの迫害によって故郷を追われたチェチェン人であり、難民認定を受けて米国に移住、数年前に両親はダゲスタンに戻っている。兄弟は数年前からFBIに監視され、いやがらせを受けていたが、チェチェンのテロリストとしての証拠はない。複数の米国メディアによれば、弟ジョハルは犯行動機について、「アフガニスタンやイラクでの米国の戦争への反対がテロにつながった」と供述しているという。それは本当かどうかはわからないが、チェチェンでのテロリストをつくったのが、ほかならぬロシア政府への反乱をつくりだした、米国のCIAだ。それがいま、テロリスト対策として、国内での弾圧体制を強めている。
米国のイラク攻撃は歴史的な犯罪である。大量破壊兵器があるという「デッチあげ」によって、2代目ブッシュ大統領はイラクを空爆。イラク政府は解体され、フセインは縛り首となり、石油利権を米国のメジャー資本が握るという、きわめて悪質な収奪がなされ現在もつづいている。ちなみに父ブッシュが役員を務めており、軍需産業への投資に力を入れていたカーライルグループは、ビン・ラディン一族とも親しかった。こうした時代錯誤な帝国主義的侵略にたいする批判は世界中で起こっている。テロは憎むべきものだが、事件の背景をどう解決していくかという長期的な行動が、犯罪事件対策には必要だ。核軍縮を提起して、ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領は、軍事力で世界を支配する政策を転換していくべきだ。
しかし米国政府は、昨年10~12月に未臨界爆発という方法で2回も核実験をおこなった。実際に爆発させないとはいえ、核兵器を維持しようという方針に揺らぎがない。就任当時、オバマ大統領は「核なき世界」を目指す、と発言した。世界の期待を裏切る行為だ。
米国は世界最大の軍隊と軍需産業と軍事予算を持ち、世界を軍事的にも経済的にも支配している。いま問題となっているTPPも、アジアでの経済支配を強めるためだ。その結果として99対1の富者対貧者の対立が始まり、生活が圧迫され、平和が脅かされている。
米国は監視カメラを張り巡らせることによって、テロを防止しようとしている。これはテロの原因を拡大させながら防衛だけを強化する対策だ。今回のボストンテロ事件を持ちだすまでもなく、監視カメラでテロを防げるはずがない。一般市民のプライバシーが脅かされるだけとなる。監視する必要のない社会をどうつくるのか、オバマ政権が問われている。(談)
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