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2012年12月14日 (金)

OL財布事情の近年史/第107回 30年間総ざらい、財布の中身はどう変わった?(前編)

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

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 さて、1980年から2010年まで、30年間の女性のお財布をみてきて、はや100回以上。連載最初の頃を振り返ると、30年前のOLはみんな一般事務、実家暮らしで月給をほとんどおこづかいに使い切ってるなー、それにひきかえ今は専門職に派遣に契約、働き方も給料もバラバラで、ずいぶん様変わりしたわねー、と、その違いをおもしろがっていた。
 しかし、経済が上り調子だった80年代から始まり、バブル景気、平成不況、ITプチバブル、就職氷河期など順を追ってみていくと、働く女性の変化はなんと景気の波をもろに受けていることよ。ようやく女性も大学に行き、仕事を持つようになって、雇用機会均等法も出来たのに、あっという間にバブルが崩壊して、キャリアアップできたのは一握り。均等法、派遣法が改正になって、深夜・休日労働もあり、派遣でできる業務が広がり、激務、不安定、といった要素が増えた。
 それなのに「消費の原動力を握るのは若い女性!」とばかりに、どの時代でも女子の財布があてにされてきた。海外旅行、ファッション、ブランドバッグ、エステ、矯正下着、そして美顔器……。買って買ってー、便利なカードもリボ払いも用意しますよー。そして自分磨き、美の追求は際限なく、いくらあっても足りることはない。それに、今どき結婚がゴールなんてダサいから、キレイになる目的は彼じゃなく自分のため、歯止めもきかない。さすがに結婚年齢がどんどん上がり、2010年東京では25~29歳女性の71%が未婚、これはまずいというわけか、この頃女性誌でも「合コンでモテる」「結婚式二次会で彼ゲット」みたいな記事をよく見かけるが、世の中に翻弄されすぎた結果、時代を逆戻りしているのか。
 この30年、確かに働いて稼いで好きなことができる女性は増えたけれど、現状をみるともう少しなんとかうまいことできなかったのか、と歯がゆい思いである。と、思いながら溜まった資料を見ていたら、「〈女性の働き方〉抜きに賃金は語れない」というタイトルを見つけてどきっとした。『日経ウーマン』1988年9月号「女性の賃金」の中の、お茶の水女子大学助教授篠塚英子氏のコラムである。「均等法自体が男の働き方のシステムのワクの内の法律で、結婚も子育てもと望む大多数の女性たちは、そんな男の働き方ではやっていけないと思っている」「日本の女性は経済的な自立のための職業訓練が与えられないまま、大多数が一般事務の仕事に就く」「企業の意思決定のところに女性がいない限り、男中心の経済システムは変わらない」。うむむ。この88年の段階で、こういうことに手をつけていればよかったのだろうけど、バブル絶頂期に耳を傾ける企業も、女性も、少なかったことだろう。この篠塚氏は2009年に、女性初の人事官に就任したという。日本の行政の、意思決定のところにこの考えを持つ女性が入ったということは、せめて明るい兆しと思いたいが。(つづく)(神谷巻尾)

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