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2012年11月17日 (土)

元・乙女のゲーム私生活/キャサリン

  『キャサリン』は非常に凶悪なゲームだ。
 パズルがとんでもなく難しい。あんなにもEASYが文字通りの言葉でないのもめずらしい。NORMALやHARDで進めていてどうにもならない時は、一時的にEASYにすることがある(あとはさっさとクリアしたいときとか)が、これはモードを下げてもパズルが簡単になるのではなく、リトライできるようになるだけ。パズルは好きでよくやるけれど、これは強敵すぎる。仕組みはいたって単純で、ブロックを押して引いてとにかく頂上を目指すだけ。各章のラストステージ以外は時間制限がないのでゆっくり解くことができるものの難しい。一こまずつ戻ることもできるが回数が限られているので、失敗の原因が数歩前ならば使えるが、かなり前ならば思い切って死んでしまったほうがよかったりする。
 アトラス製作ゲームといえば女神転生。メガテンといえば天使と悪魔。清く正しい道を行くと天使ルートに行き、道にはずれたことをすると悪魔ルートにいくってだけなんだけど、女神転生で悪魔派になると神と戦うことになるらしい。キャサリンもその分岐があるもよう。ニュートラルっっていうルートもあるけれど、中立ははっきりいってつまらないですぅ。どっちかに偏っているほうがゲームとしてはおもしろい。
 肝心の内容だが、一言でいうと「よくわからん」。恋人がいる男が酒に飲まれて浮気してしまう。さらに世では、ベッドで男性の変死体が発見され、それは女の恨みを買っている男がみる悪夢のせいなんじゃないか……という噂が流れている。なんというか、女を敵に回すと死ぬよ、みたいなところだろうか。悪夢の中でパズルを解いて頂上に行けば助かるし、落ちてコンティニューしないと現実で死んでしまいゲームオーバー。まさにDEAD OR ALIVE!生き残りたけりゃ登れ、他の奴を落としてぶっ殺してでも!手に汗握るパズルアクション。そして誰が悪夢の世界に落としたのか。本当のことを知りたければ登れ、襲いかかる罠をくぐり抜けて!真相解明サスペンスパズルアクション。
 ……それっぽく書いたけど、だいたいそんな内容だと思う。
 プレイしていて感じたのが、「カップルでやらないのが吉」ということ。はじめに書いたようにパズルが難しいから必然的に協力プレイをする人が多いと思う。まずここで揉める。「そこは押すな」だの「その隣を引けばいいのに!」だの「もうお前がやれ!」といった争いがちょくちょく起こるでしょう。私のヒアリング調査では100パーセント発生していたので確実。興味を持っていた女子には警告を発しておいた。
 さらに、パズル以上に危険なのがこのゲームのテーマである「男の浮気」。長くつきあってきた彼女と、バーで知り合った行きずりの女とのあいだで揺れ動く男心を描いているのだけれど、男性諸君には単身プレイを推奨したい。ステージが終わるごとに天使悪魔分岐のための選択肢が用意されているのだが、それがなかなかきわどい。現実の二人の絆を試されているとしか言いようがない。質問内容忘れちゃったんだけど、ヒアリング調査では二人でやるとかならず相手に弁解するとの回答をいただいた。たかがゲームの選択肢なのに男は大変だ。
 私のところ? 我が家では、「ときめきメモリアルGS」その他恋愛ゲームにまつわる幾多の件で、私自身がパートナーに常に弁解している(これは浮気ではない!とか)ので、キャサリンでの選択肢などどうでもいい。鼻ホジしちゃうよ。
 このゲームに関することで弁解するならば、結局クリアせずにやめてしまったこと。ゲームはきちんとクリアすることをモットーにしているが、パズルに時間がかかってストーリーが進まないので途中で飽きた。このゲームはパズルゲームなのか、それともアドベンチャーなのか、そこがどうにもわからない。「男の浮気と女の恨み(嫉妬)」というテーマはめずらしいし、主人公の「どうすりゃいいんだ」っていう姿もリアリティーがあっておもしろい。もっと言えば子安武人が出ているから最後までやりたかったんだけど、基本的に行動が酒場でクダ巻いてるかパズル解いてるかのどちらかなのでどうにもなじめなかった。
 挑戦的な作品はゲームファンとして大歓迎だし、これからも増えてほしい。おもしろくてハマる人は何周もするけど、世界観に馴染めない人やパズルで嫌になる人は途中でやめてしまうといったとても人を選ぶゲームなので、興味がある人はとりあえず話を聞くなりHPを見るなりしてから判断した方が吉。(奥津)

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