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2012年11月11日 (日)

寺門興隆を読む/2012年11月号

 やっと「じもんこうりゅう」と続けて打って「寺門興隆」に一発変換されるようになった。「寺」「門」「興隆」、「寺門」「興隆」の時期を経てついに。講読を始めてから5年ほど経って、今日やっと。大変感激です。

 今月の見出し。
宗派偽装の葬儀/国の無宗教政策/住職権紛争/墓所改葬最高裁判決/寺院の奨学金/新連載 未来の住職塾/稚児行列/足袋を洗う/カルト問題/いじめ対策/超現代本堂

 気になるものが多すぎてどこから手をつけたらよいか分からないが、まずは「宗派偽装の葬儀」。最近「派遣僧侶」が『寺門興隆』で悪し様に言われている。良心的な派遣会社ならば叩かれることはないだろうが、一般的な業者のマージンの高さ(なんと40%ほどだという)に強烈な批判がなされるのはもっともであろう。そんな編集部の神経を更に逆なでする事件が起こったらしい。編集部に送られてきた匿名の手紙に「寺院紹介システムのある葬儀社にお寺を紹介してもらったが、そのお寺を訪ねてみたら何宗の葬儀でもやってしまうところであることが判明した。産地偽僧はゆるされないと思う」というようなことが書かれてあったというのだ。「産地偽僧」、うまい。でも宗教のことは難しい。良く記事を読み進んでいくと、コミュニケーションの欠如から若干の誤解が生じていることがよく分かる。宗教のことは宗教家にまかせて、お坊さんに直接相談するのが納得いくお寺選びの近道だと思うな。切羽詰まってると難しいけど……。

 「超現代本堂」も気になるところ。「モダン伽藍に託す願いと新構造」というキャッチで飾られた写真に写っているのは、ドーム状の屋根に包まれたガラス張りの建物。これがお寺なんだって、世の中変わったもんだ……お年寄りのそんな感嘆のため息が聞こえてきそうな前衛的本堂だ。夜は山門の仁王像をライトアップするとのこと、それはひと目、ぜひひと目見てみたい! 名古屋市の天台宗成願寺だという。地下スペースには250壇の納骨壇を設置、お斎の間にもなる客殿スペースつきと、至れり尽くせりの設計。お寺を設計するのが初めてという建築設計所が建設したらしい。だからこそ前代未聞の本堂が出来上がったのだろう。

 個人的に大好きな記事が「足袋を洗う」。「白足袋の汚れを洗い落とす秘訣」とし、住職や寺庭婦人、プロにも取材。様々な市販の洗剤を試している。確かに足袋は白さが命。足元が汚れていると、とたんに不潔な印象を与えてしまいかねない。ここではあまり知られていない、正しい汚れの落とし方が8行程に分けて紹介されている。寺社仏閣や和服に縁遠い人には関係ない、というわけでもない。白シャツ、白タオルなどに十分応用が利く内容で、「saita」や「すて奥」にも出てこないような徹底的・実践的な汚れの落とし方に驚愕した。ぜひぜひご一読を。(小松朗子)

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