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2012年10月15日 (月)

とりあえず食べておけ/第3回 デトックス効果のあるフランス料理

東日本大震災の半年ほど前だったろうか、私は友人と「ダイエット倶楽部」を結成した。漫然と減量に取り組んでも食欲に負けるから、互いにワンサイズ下の服をプレゼントしあい、数ヶ月後にその服を着てレストランに行こうと企画したのだ。

そのための服をみんな買いに行ったときの女性陣は怖かった。身体のラインがハッキリ出る服をこれでもかと選び、仲間の試着室に送り込む。体型のウィークポイントを的確に拾う服を見ながら、各自、本気でやせないとヤバイと実感したのである。

しかし、ちょうどダイエットの成果を披露しようと考えていた時期に3.11が発生。ダイエットどころではなくなってしまった。私もスナップと呼ばれる、押して止めるタイプのボタンが付いたシャツをタンスにしまい込み、ダイエットを中断。見事に肥え続けた……。

しかし先日、ひょんなことから、せっかく買った服をお披露目しようという話になってしまったのだ。2キロは痩せて腹をへこませないと、すっごく格好悪いと感じていたシャツを、さらに2キロ増やした体型で着てみた。ボタンとボタンの間から肉が覗くというセクハラまがいのコーディネートとなった。レストランでお腹が膨れれば、いきなりスナップボタンがはじけ飛ぶ可能性も。超人ハルクかっての……。

あまりの惨状に泣きを入れ、下にTシャツを着て、ボタンを留めない形で着る許可をもらった。中年男性の腹を見て食事をするのは、みんなもさすがに我慢がならなかったのだろう。

さて、そんなお披露目会のためにセレクトしたのが、フレンチのル・ゴロワ。夏は死ぬほど忙しかったので、デトックス効果のあるレストランに行きたいとの提案に応えたものだ。

医食同源という言葉があるが、ある種の食事は身体の調子を整える。以前、「オテル・ドゥ・ミクニはうまくないが、多少の病気は確実に治してくれる」と教えてくれた人がいた。発言した当人も知人から聞いたときは本気にしていなかったそうだが、風邪気味で食べ始めたとき、食べ終わったころに全快。ミクニのすごさを再認識したとのこと。残念ながらミクニで食べたことはないが、圧倒的な食のエネルギーが病気を吹き飛ばすことはあるだろうと思う。

ル・ゴロワは特にデトックスをうたっている店ではない。ただ、食べると体調が整うという友人が何人かいる。私自身も、その効果を実感している。どうしてなのか理由はわからない。

かつては表参道に店があった。カウンターがメインの小さなレストランで美味しいと評判だった。値段も高くはなく、居心地もよかった。ただ、ランチにはいいけど、ディナーには物足りないとも感じた。スケール感が物足りなかったのだ。

人それぞれだと思うが、フランス料理のディナーを食べるなら、私は複雑さがほしくなる。付け合わせやソースの組み合わせで、肉や魚の作り出す世界をもう一歩広げてほしいのだ。豚の脂ってこんな形でうま味が出てくるのねとか、火の通ったカブは肉とこんなに合うのねとか、皿全体のスケール感に圧倒されたい。できれば、こちらのくだらない固定観念を吹き飛ばすほどの包容力で、料理にハグされたいのである。懐の大きな“漢”に憧れる乙女の心境なのだ。

Img_2873


かつのル・ゴロワは、どこか「学生」みたいだった。コンフィーなどかなり美味しいと感じたが、実直さが全面に出過ぎていた。ところが外苑前に店を移し、しばらくしてから化けた。実直さに裏打ちされた包容力が、皿からほとばしるようになったのだ。そのうえデトックス効果まで。素晴らしい!!

「ル・ゴロワちゃんも、ステキな男になったよねー」と、どこか中年女性のような口調で、絡みつく視線を皿に向ける私に、もちろん「ダイエット倶楽部」の女性陣はどん引きである。

それでもいい。ダイエットよりも、女性の視線よりも、うまいものが僕にとっては重要なのだから。そして、また肥えていきます……。

※写真はメインのシャリアピンのステーキ。美味しそうに写せなくて申し訳ない……。

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