« 東京みくじ巡り/水天宮 | トップページ | OL財布事情の近年史/第96回 なんだか財布記事が大ブレイクした!お金への愛憎入り乱れる09年(後編) »

2012年9月26日 (水)

寺門興隆を読む/2012年9月号

 急に秋めいてきたこの頃。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉は偉大だ。同時にお彼岸というのは住職が檀家まわりで忙しい季節にもあたり、厳しい暑さの中どうなることやらと気を揉んでいた住職もホッと一安心であろう。そんな9月の寺門興隆、見出し。

直葬か寺院存亡か/寺院は避難所か/霊園商標裁判/布施脱税葬儀社/女性説談説教/身体を害する建物/臨床宗教師/写経会実践/宗門住職解任裁判/幼児脳死移植問題

 やっぱり見逃せないのは「布施脱税葬儀社」だろう。今年6月に発覚した、埼玉県にある僧侶派遣会社の所得隠しについてだ。僧侶派遣会社が葬儀社に支払った紹介料の一部が脱税に利用されたのだ。その紹介料というのはつまり遺族が僧侶に払ったお布施の一部である。僧侶も遺族も縁をもらう以上は紹介料を差し引かれてもしょうがないだろう(というか、僧侶派遣会社はそれで食べているのだし)けど、こういう事態が発生すると、「私たちって誰にお布施してるんだろう?」と不安になってしまう。本記事は「僧侶へのお布施はお布施とし、紹介料は紹介料としてちゃんと施主に業者が正直に請求すればそれですむことではないのか。お布施を「不透明」にしているのは、当の業者なのである。僧侶もそんな業者に加担してほしくない。」と締めている。本当にその通りだ。私たち、お坊さんにはお布施するけど、どこか知らない会社に現金を喜んで捨てたくない。

 そして聞き慣れない言葉「臨床宗教師」。本誌では「在宅ホスピスに不可欠は医療者のみならず臨床宗教師だ」とし、医療法人の理事長が記事を書いている。看取りの現場に医療関係者しかいないと、死後やあの世に関する患者の求めに応じることができずもどかしいというのだ。「がんを患って、死を嫌でも意識せざるをえなくなってくると、生の世界と死の世界とが同時に視界に入ってくる、そのような心地がした。その時痛感したのは、死の側の方には道しるべが何も見当たらない、ということであった」とあり、一瞬で腑に落ちた。確かに死への道しるべをするのは宗教者しか考えられない。死にゆく人はもちろん、遺族となりつつある親族のケアも、生ある時から必要ではないか。

 個人的には「歯を見せている阿弥陀様がおられるのはなぜか」という記事に痺れた。歯を覗かせている仏像は「歯吹の仏」といい、全国に数十体しかないという。しかもほとんどが阿弥陀様だというのだ。その理由を知りたい人はぜひ本誌を買うと良いと思う。ずっと書くのをサボっていたので一日発行の月刊誌の紹介が月末になってしまった。急ぎ入手してほしい。(奥山)

|

« 東京みくじ巡り/水天宮 | トップページ | OL財布事情の近年史/第96回 なんだか財布記事が大ブレイクした!お金への愛憎入り乱れる09年(後編) »

寺門興隆を読む」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 寺門興隆を読む/2012年9月号:

« 東京みくじ巡り/水天宮 | トップページ | OL財布事情の近年史/第96回 なんだか財布記事が大ブレイクした!お金への愛憎入り乱れる09年(後編) »