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2012年8月31日 (金)

OL財布事情の近年史/第93回 品格とカツマーの06年、起業に派遣に女は働く!(前編)

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

全国書店から注文可能。
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自分で人生設計しなきゃならないわ、男は「男子」になって頼りにできないわ、もちろん景気は悪いわで、これまでの価値観がことごとく通用しなくなってきたゼロ年代後半である。案の定「これまでの価値観」の女性誌が次々休刊していた。2006年『コスモポリタン』、2007年『ヴァンテーヌ』、2008年『流行通信』、2009年『シュシュ』『マリクレール』。普通のOLもお嬢様もエッジなお洒落系も、既存のモデルには満足できなくなってしまったのだろう。

それじゃあこのころの女性は何に心惹かれてのだろう、と女性誌をめくると、おや、見慣れないものが。「マナー」「作法」の特集、そしてあの女性の名前が、急に誌面に増えていた。そう、大ベストセラーになった坂東眞里子『女性の品格』と、カツマーブームを巻き起こした勝間和代であった。
『女性の品格』(06年)は伝統的な女らしさを社会に取り入れるべきと説いて300万部、勝間氏は『お金は銀行に預けるな』や『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』(07年)などでお金や時間の効率的な使い方を指南して一役人気者になった。女性のエグゼクティブや成功者が、それを堂々とアピールして評価されるというのは、それまであまりなかったのではないか。

確かに、どちらもそれまで「枠組み」には収まらない主張である。均等法が前提の企業社会で、今さら「女らしさを大切に」なんて言いだせないし、へたすれば女性からバッシングされかねない時期。そこを、男女共同参画局長やら女子大学副学長やらまちがいなく女性カースト最上位に位置する人が、『国家の品格』(藤原正彦)で一役注目された「品格」というワードとともに発することで、女性の心をつかんでしまった、のか。いってみれば「働いていてもかわいい服を着てもいい」免罪符となった「エビちゃん」現象にも通じるものがあるのかもしれない。その後テレビドラマ「ハケンの品格」もヒットし、「品格」という言葉は鮮度があった。

勝間ブームの方は、さらに具体的に影響力があったように思う。初期の勝間本は、投資法、IT活用法、読書術など、事細かに固有名詞、商品名まであげてたたみかけるように解説してあり、ビジネス書として目新しかった。フォトリーディング、リスクリテラシー、ドルコスト平均法とか、いかにも勉強好きな女性が取り入れやすそうというか。せっかく高学歴になったのに、仕事であまりそれが活かせない女性たちが飛びついたのではと思われる。(つづく)(神谷巻尾)

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