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2012年8月 3日 (金)

OL財布事情の近年史/第89回 2006年、セルフメイドなOLたち(前編)

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

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 ゼロ年代中盤のITバブルは、ライブドアの粉飾決算事件で急速にしぼみ、実体のないマネーゲームに踊らされた一般人もはっと目を覚ました。とはいえ、マネー的に恩恵に預からなかった人々にもインターネットは浸透して、とりまく環境が思いのほか変わっていった。それも気づかないうちに。先日もちょうどこの時期一緒に仕事をした人に会ったが、この頃まではまだ、以前と同じような方法で、同じような仕事観で、ぶっちゃけお金もそれまでとあまり変わらず回っていたよね、という話をした。でもその後、PCが変わり、携帯が変わり、メディアも仕事ツールも変わっていくと同時に、雑誌はなくなり、本も売れなくなり、ロープライス、ファストファッション等々安いものが出回り、入る方も出て行く方も、お金の出入りが小さくなってきた。仕事が激減して別の仕事をしたり、アルバイトしたり、という声も聞こえてきた。あれ? もしかして私、下流? という事態が、ふつうに起き始めていたのが、この頃からだったように思う。

 OLマネーも必然的に変わってきた。趣味に生きたり、主婦っぽくやりくりしたり、ゆるかわ服でイケメンゲットしたり、ネットで副業したりとか、言ってみればその場しのぎや他人まかせでは、もはやその先暮らしていけるのかわからない。そんな不安が、本格的に頭をもたげてきたようだ。この時期の女性誌では、女の一生にいくらかかるか、知っておきたいお金の知識、といったマネーの大型企画が目白押しだった。
 『MORE』2006年7月「めざめよ!お仕事ガール」特集では、読者200人へのアンケートで「25歳 超リアルな仕事観」を聞いているが、これがなかなか興味深い。いわゆる究極の2択問題で、「どちらの30代になりたいですか?」には「美人でおしゃれなキャリアウーマン。でも、彼氏はナシ」と、「おしゃれはガマンしている専業主婦で3人の子供アリ」では、66%が彼ナシのキャリアウーマンを選んでいるって、少子晩婚化傾向そのものである。「本当につまらなくて定収入の仕事だけど、彼に週5日会える!」VS「心底楽しくて高収入の仕事だけど、彼に会えるのは月2回」では高収入が84%、「給料が5万円安くなるけれど、すごーくラクな仕事」VS「給料は5万円高くなるけれど、残業が週4回の仕事」も、残業ありの5万円プラスを83%が選ぶ。「これ以上お給料が減ったら生活できなくなる」(IT)、「残業してでもガッポリ稼ぎたい」(医療事務)と、、また「おしゃれできないのは、女としてありえない!」(企画)、「キレイでいたいのが女の本能。その気持ちを失うような結婚はイヤ!」と、お金も人生も自己完結なのである。このセルフメイドの人生観、マネー記事のあちこちで表出していた。(つづく)(神谷巻尾)

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