« 2012年5月 | トップページ | 2012年7月 »

2012年6月

2012年6月29日 (金)

OL財布事情の近年史/第84回 非モテの時代に突入か?仕事は「生活費を得る苦役」(後編)

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

全国書店から注文可能。
Amazonでも予約・注文できます!

 前回のつづき。『日経ウーマン』2003年5月号を見ていた。

 同誌は約1年後の2004年4月号、1818人調査の「女の給料 5つの新常識」特集がある。平均年齢31.5歳、平均年収357万円と低くはないかもしれないが、雇用形態別に見ると、正社員413万円、契約社員316万円、派遣社員278万円、パート141万円とかなりの格差。「年収は02年と03年を比べどう変わりましたか?」では、「下がった」23.9%「同額」37.7%で過半数を占めるが、ここに入るのが契約や派遣やパートということだろう。識者のコメントでは『コツコツ働いても年収300万、好きな事だけして年収1000万』などの著書がある人事コンサルタント、キャメル・ヤマモト氏が「会社員は『安い人』『稼ぐ人』へ両極化する」と分析しているが、両極化したって会社員だったら今や「稼ぐ人」で、勝ち組じゃない? いやこの時点だって、「安い人」は派遣やパートってはっきりしてるのに、そこは眼中にもなかったんでしょうね。ワトソンワイアットコンサルタントの川上真史氏は「年収300万円未満でスローライフするか、年収1000万円目指してもっと稼ぐほうに行くか?迷っているはず」って、迷わなかったらどっちかに行けるのだろうか。コンサル、呑気すぎ。

 もうひとつ調査記事をみてみよう。『シュシュ』では2005年5月16日号「私たちのオシゴト白書」で読者300人に調査。正社員54%、アルバイト25%、派遣10%、契約11%で「意外!? 正社員は約半数」と正社員の少なさに驚いていて、やはり雇用形態の変化には無頓着だったことが伺える。「いまの仕事に満足してる?」には、NOが71%、その理由は「給料が少ない」49%がダントツ。「オシゴトは続けていきたい?」といえば「一生続けたい」が47.7%と約半数、「結婚まで」は10.2%と少数派だ。「給料安くてイヤだけど、一生働く」という仕事観、そこにモテ感は、やはりない。意識の上だけでは、ジェンダー格差がするっとなくなったようだが、働く土俵が厳しくなり、機会均等になる前に、雇用がない時代になっていた。ぶるぶるぶる。(神谷巻尾)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月28日 (木)

電子書籍『日めくりダイエット』7月4日発売

最近、メタボが気になる…。

何度ダイエットしてもリバウンドしてしまう…。

そんなダイエットの初心者さんにも、挫折者さんにもおすすめの

ダイエット本が電子書籍で登場します。

『インストラクターが90日間つきっきり!
ヤセる習慣を徹底的にたたき込む
日めくりダイエット』

小林一行 著

価格:800円(税込)

Himekuri_diet 詳しくは、左画像をクリック!

より見やすいPDF版はこちら↓

「himekuri_diet.pdf」をダウンロード

著者は自らも25kgのダイエットに成功しているインストラクター。90日間つきっきりで、あなたのダイエットをメンタルからサポートします。

著者ブログ「キモチからダイエット」にも注目!

配信日は7月4日。

電子書店「honto」での発売です。

発売後、すぐに手に入れたい人は「honto」会員登録を済ませておくとスムーズです。

(奥山)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月22日 (金)

OL財布事情の近年史/第83回 非モテの時代に突入か?仕事は「生活費を得る苦役」(前編)

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

全国書店から注文可能。
Amazonでも予約・注文できます!

 それにしても、ほっこり系に極貧に負け犬、働きマン、て。いわゆる非モテ要素が時代を象徴する女性アイコンだった。 ほんとに? モテとか、合コンで勝てる、みたいな価値観なかったっけ? と問われればもちろん存在していたのであろう。が、このゼロ年代中盤を振り返ると、モーニング娘。ブームが終息し、AKBも韓流ポップスターもまだ出てこない、いわばアイドル狭間の時代。音楽界では倖田來未や大塚愛、一青窈など、女優では松嶋菜々子、深田恭子、菅野美穂とか、ルックスだけじゃない実力派がランキングの上位にいる。“若くてきれいでモテる”だけの価値では勝負できなくなってきた。というか自分たち自身が、それでは物足りなくなってきた、というべきか。

 かたちは違えど非モテを是としはじめた女性のお財布にもその片鱗が見られる。仕事や収入に対して、夢や遊びではなく「稼ぐための手段」という意識が浸透してきた。
 『日経ウーマン』2003年5月号、「収入と満足度のベストバランス」で読者3155人に大調査を行っている。「あなたにとって仕事とはなんですか?」という問いに、「自立に必要な要素」28.1%、「生活費を得る苦役」26.6%がツートップ。苦役ですよ!苦役ということばを『苦役列車』よりもはるかに前の女性誌で見るとは。4人に1人の女性がこのことばに反応したというのが、働く女性の不遇を物語ってはいないか。また「収入とは?」については、64.0%が「生活を維持するための必要な要素」と、圧倒的。「頑張った評価」「自分のパワーを証明するもの」みたいな、OL・キャリアウーマン的文言は全くピント外れのようである。
 「仕事、収入、私生活のバランスをこれからどう変えたい?」と聞かれれば、「仕事と私生活は現状維持、収入アップ希望」が35%、「仕事収入はキープ、私生活充実」が27.6%。仕事はやらなきゃしょうがないが、金か時間が欲しい。人間の根源的な欲求である。(つづく)(神谷巻尾)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月20日 (水)

『文学少女図鑑』予約販売開始

7月17日発売の『文学少女図鑑』。

amazonにて予約発売を開始しています。

もちろん全国書店に並ぶ予定ですが、

確実に手に入れたい、書店に赴く余裕がない

そんなお客様は是非ご利用下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月18日 (月)

『文学少女図鑑』7月17日発売!

例えば電車の中、隣で本を読んでいる女の子。
何を読んでいるのか気になっても、声をかけることなんてできませんよね。
同じように、カフェで紅茶を飲みながら、公園で日向ぼっこしながら、待ち合わせなのか街角で……。
本を黙々と読みふけるあの子に声をかけて写真を撮らせてもらい、ちょっとだけインタビュー。
彼女たちは、本が大好き。語りはじめたら止まりません。
そんな大好きな本の中でも、マイベストな3冊を選び、愛にあふれた感想をもらいます。


そんなこんなで声をかけ、撮影させてもらった女の子は、51人になりました。


晴れて一冊の本になり、作家の中森明夫さんにコラムを寄せていただきました。
Bungakushojo_cover

『文学少女図鑑』

2012年7月17日、全国書店にて発売開始!
[撮影]萩原 收
[定価]1600円+税
[体裁]A5判フルカラー128P
[発行]アストラ
[ISBN]978-4-901203-49-4

公式ブログも始めています。

ジュンク堂池袋でのイベント情報をUP中!

中森明夫×タナダユキのトークセッション。本に出てくる女の子も登場します!

http://blog.livedoor.jp/bungakushojozokan-494/

↑文学少女図鑑 公式ブログ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月15日 (金)

高橋克也容疑者逮捕

とうとう、サリン事件の最後の大物、高橋克也容疑者が逮捕されました。

これから裁判は、どのような展開を見せるのでしょうか。

そう、逮捕されて終わり、ではなく、また裁きが始まるのです。

アストラで12年前に書かれたオウム論が、今、再び人気です。

『カルトにハマる11の動機―オウム真理教古参信徒が実例で証明』

加納秀一 著

amazonでのカスタマーレビューでも、高い評価を頂いています!

今まで気付かず申し訳ございません。本当にありがとうございます!

(奥山)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

OL財布事情の近年史/第82回 03年、ナチュラル系ライフスタイル雑誌が続々発刊!ほっこりな日々(後編)

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

全国書店から注文可能。
Amazonでも予約・注文できます!

前回のつづき。

 ほっこり旋風が吹き荒れているちょうど同じ頃、派遣労働法改正で製造業務にも派遣が解禁になったのが2004年。正社員OLはますます衰退の一途になるわけだが、働く女性自体は確実に増えている。25~29歳女性の労働力は、1985年に54.1%だったのが2005年には74.9%、従来出産育児で労働力が下がっていた30〜34歳も、85年50.6%が2005年62.7%と、働かない方が少数派。だけどその実態は、多様化なのか散逸なのか、見えにくくなっている。
 そんなもやもや感を受けたように、働く女性の実感を表現した作品も登場した。酒井順子のエッセイ『負け犬の遠吠え』(2003年)と、安野モヨコの漫画『働きマン』(2004年連載開始)である。『負け犬〜』は、30代以上、独身、子なしの女性を自虐的に負け犬と定義、夫も子どももいる主婦にあえて勝ちをゆずりつつ、仕事も趣味も楽しむ幸せな生き方を語り、働く高年齢シングル女性に支持された。一方『働きマン』は、男社会の週刊誌の現場で猛烈に働く女性編集者が主人公。「男スイッチが入る」と、寝食も恋人も忘れ徹底的に仕事に没頭する姿は、確かにOLはおろかキャリアウーマンとも仕事人間とも言いがたく、男女関係なく「働きマン」がふさわしいのかもしれない。

 新しい働く女性像が出始め、いよいよ「OL」が形骸化してきた。『日経ビジネスアソシエ』2004年3月16日号では、女性向けwebサイト、カフェグローブの編集長青木陽子氏が、同サイトで「OL」「キャリアウーマン」という言葉について行ったアンケートを紹介しているが、OLという言葉を「好き」と答えたのはわずか3%、「あまり好きではない」「嫌い」を合わせると75%で否定派が圧倒的だ。一方「キャリアウーマン」は、平均では肯定42%、否定58%と拮抗しているが、年齢が高いほど人気がなくなり、30代後半では「好き」がわずか4%、「まあ好き」27%で肯定派がぐっと少なくなる。15年以上働いてきた世代からの「働く女性を異質な物と見る時代の言葉」「仕事以外を犠牲にしていそう」などといった声は、そうではない働き方を実践している主張だろうか。『AERA』2003年4月21日号でも「平均在社4.6年キャリア女性離職調査」で、雇用機会均等法第2世代に相当する1991年~95年入社の調査をしているが、そこでも「キャリアウーマン」という言葉をどう思うか尋ねている。回答は「違和感がある」が34%。「いまの時代、女性が働くのは当然のことなので、死語だと思う」「バリバリのエリートっぽいイメージが現実とかけ離れすぎて、もはやギャグにしか使えない名称」と、まあおっしゃるとおりの回答だ。
 貧乏OL、ほっこりぐらし、負け犬、働きマン。みんなちがって、みんないいんだけど働くのが当然の世界。そのお財布を、再び探っていこう。(神谷巻尾)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月 8日 (金)

OL財布事情の近年史/第81回 03年、ナチュラル系ライフスタイル雑誌が続々発刊!ほっこりな日々(前編)

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

全国書店から注文可能。
Amazonでも予約・注文できます!

 OLマターの雑誌が活気を失う一方、女性誌に新しいムーブメントが起きていた。シンプルで気持ちいい暮らし、環境に優しく無理しないライフスタイルを謳う、ナチュラル系と呼ばれる雑誌が相次いで生まれた。『anan』増刊号として2002年から3冊刊行、やがて03年9月に隔月刊化した『ku:nel』を筆頭に、『Lingkaran』(2003年4月創刊)、『天然生活』(2003年10月創刊)と、2003年に3冊も登場。05年に京都議定書が発効し、愛・地球博が開催されるなど「地球に優しい」が一大テーマとなった追い風もあろうが、『エココロ』(2005年11月)、『リンネル』(2008年3月)、『ナチュリラ』(2008年9月)等々、口にするだけでここちいいようなタイトルの雑誌が続々と生まれた。不況がどんどん進むなか、なんと活況な分野だろうか。『Lingkaran』が2009年2月に休刊した以外はどれも現在刊行中、追随誌もいまだ絶えず、ナチュラル志向は完全に定着している。ちなみに「コムスメに勝つ!」というキャッチフレーズで2004年9月に創刊した30代大人女子ファッション誌『NIKITA』は2008年にはやばや休刊。今でこそアラフォーだ美魔女だ、いくつになっても現役だ、という風潮になっているが、10年程前はまだ、肉食系は20代まで、という社会通念があったようだ。

 さてこのナチュラル系、テーマは「くらし」であるが、日常ではない。エコや昔の知恵はあっても、節約や貯蓄はないのである。誌面に登場するのは主婦ではなく、未既婚、有職無職に関わらず、何か自分なりの活動をしている人たち。カフェオーナーとか、縫い物名人とか、古民家に移住とか。素敵な人の憧れの暮らし方をこれでもかと紹介し、この世知辛い世の中こんな生活があったなんて!ここをめざせばいいのね!という道しるべを作ったという意味では、画期的。毎日の暮らしそのものではなく、くらし系?みたいなニュアンスが受入れられたのだろう。
 しかしながら日常ではないので、お財布も厳しい仕事環境も出てこない。『ku:nel』は、食う・寝る、ですもの。どうやってそのほっこり生活を維持しているのか、というところは暗黙のスルーである。が、この小さくないマーケットを支えているわけなのだから何かしらの活発な経済活動があり、したたかな生き方をしている人々には違いあるまい、と踏んでいる。(つづく)(神谷巻尾)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月 7日 (木)

池田大作より他に神はなし/第32回 世界平和も花のお江戸は八百八町の平穏も、“桂冠詩人”たる池田名誉会長が全部引き受けた!ほらほらどきねえまた銭が飛ぶぜ!!

 素晴らしいの一言だった。5月下旬に『聖教新聞』に熱狂連載された、待望の池田名誉会長“直筆”の、「新社会人に送る」シリーズの事だ。実社会へと旅立つ新社会人にとり、時空を超えた珠玉の言葉の数々は、どんなに励ましになった事だろう(先の長くない筆者とて、改めて人生の機微を考えさせられた)。えてしてこういう場合、若者を高みから見下した“年寄りのお説教”になりがち(傲慢オヤジの自己満足!)。ところが名誉会長の発言には一切それがない。“日本のゲーテ”とドイツ人さえ賞讃せざるを得ない、傑出した芸術家兼人生の達人の言葉は、外側からではなく精神に直接働きかけるから(ヴァルター・ベンヤミンのいうところの、アウラ100%から成る表現の奇跡だ)。

 “明るく誠実(せいじつ)に、心を込(こ)めてあいさつできる人が、偉(えら)い人です。あいさつは境涯(きょうがい)の芸術(げいじゅつ)です。「おはようございます!」「こんにちは、よろしくお願いします!」「ありがとうございます!」”(『聖教新聞』5月23日付けの同欄)

 1つ1つの言葉を取り出せば、はっきり言って幼稚園児へのしつけの類いだ(ウンチの後では手を洗いましょう!)。凡人が発すれば実際にそうなる。ただ“東洋生まれの世界の哲人”がありふれた言葉を紡ぐと、市井の人々から世界的知識層までを、驚愕させずにおかない大思想が一挙に形成される。“「朝に勝つ」人が人生の勝者です”。同欄のリードも、胸をかきむしるポエジー溢れる哲学だ。実はこれを書いた普段凡庸な担当記者も、無意識に名誉会長の哲学的指針を踏破しているに過ぎない。無意識に人々を真実に導いてしまう叡智の保持者ーーかくなる宗教・思想的指導者が、かつて世界に存在したであろうか?

 ただ23日付け連載分の構成には疑問も。1983年に松下電器(現・パナソニック)創業者、松下幸之助と会談した際のカラー写真を配置している。しかし現状では、大赤字で大量リストラ準備中の同社の、免罪符にならないか? 確かに名誉会長は、立志伝中の創業者と深い親交を交わしていた。当時の松下は、従業員を何よりも大切にする社風だったからだ(その為には、他社の売れ筋新製品を即パクり“マネシタ電気”、あるいは“電気業界の集英社”とまで蔑まされながらも利益追求に邁進、社員の生活を保証した)。既にPHPスピリッツを喪失した現経営陣の無責任さを、名誉会長の偉大なイメージでか隠そうとの疑惑が感じられる。灼熱地獄を這いずり回る一握りの日顕一派は、『聖教新聞』編集部にまで潜伏しているのでは?(さすがの名誉会長の“無意識の叡智”も、狂信的畜生共には及ばない)

1_2  義憤の余りまた血圧がアップ(事務所には血圧計が)。用心せねば。一方、うれしい発見も。探偵・推理小説界にはうとい筆者だが、最近素晴らしい1冊を例によって通称コミガレ(岡崎武志命名。何でも3冊500円)、つまり「小宮山書店」のガレージセールで発見。書名からして完全にノックアウト。『池田大作捕物帳』(野村胡堂・'71広済堂出版)だ。既に40年以上も前から、エンターテイメント小説界でも名誉会長が大活躍してたなんて、全く知らなかった。本傑作短編集で名誉会長は、大岡越前の懐刀と擬せられ、庶民を苦しめる悪党(日顕一派)と体を張って闘う。江戸時代でも師弟原点・民衆勝利・創価文化の音律を忘れない、叡智に満ちた主人公! 400ページ以上ある2段組本にもかかわらず、3日で読了。『聖教新聞』他は、“桂冠詩人ミステリーの金字塔”たる本著を、もっともっと強力に広宣流布すべきだ。

 「痛い!」その時だ。5円玉が筆者の頬に当たった。例の元フリー編集者で今は警備員の友人が、挨拶もなく事務所に忍び込んでいたのだ。「止めろよ、いい歳して銭形平次の真似なんか!」「へえ。お前も平次は知ってんだ。感心感心」「何を偉そうに。酒臭いぞ。もうまたクビか?」「放っとけ。今日は休みだ。銭形平次を書いた野村胡堂は新聞記者上がり。あらえびすの筆名でレコード評論でも有名だけど、平次モノの他にも全10巻のヒットシリーズがあるの知ってる?」「知らないよ。僕は純文学専門だから。『人間革命』とかの」「す…凄い純文学もあったもんだ」「今度20巻ばかり貸すよ。遠慮するなよ」「遠慮しとくよ。そのもう1つのシリーズが『池田大助捕物帳』。あんたが『池田大作捕物帳』だと勘違いしてる1冊本は、そこからセレクトしたもんだよ」「…………」

 「別に恥ずかしがるこたない。誰にも間違いはあるよ。たった一文字の違いだし。無知蒙昧なあんたが、自分の生まれた昭和20年代後半のベストセラーを知らないのは、やむを得ない訳でさ。去年夏の、くも膜下出血手術の後遺症が、今になって出たなんて事は絶対、いや多分ないと思うよ。ヒヒヒヒ」「………」間違いを素直に認めるのも、異体同心・師弟有縁に生きる者の義務である。「カッコ付けてんじゃねえよ!」「………」(つづく)(塩山芳明)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『終活ファッションショー』――終活は、終わってはならない

「人生の終わりを見つめ準備する活動」略して「終活」。「終活ファッションショー」とは、自分の死に際して着たい服、いわば希望の死に装束を披露する催し物だ。この本の主人公である司法書士の市絵が、お年寄りたちの遺言相談にのるうちに思いついた企画である。

著者が主催する終活ファッションショーを、私は観に行ったことがある。

著者の安田依央氏は、主人公と同じ司法書士。そして「終活」を考えるセミナーなどを行っており、今回の主人公・市絵と、かなり重なるところがある。さらに「終活ファッションショー」を企画するところまで同じ、とくれば、「もしかしてあのファッションショーの舞台裏が読めるのかも?」とドキドキしてしまう。

2年前に開催された実際のファッションショーでは、チアリーダーがコスチュームで、僧侶が作務衣で、老婦人が真っ白なドレスでと、様々な衣装で登場した。パフォーマンスのあとに発表する「大切な人に伝えたい一言」は、身のまわりの人への感謝に溢れ、感動を呼んだ。

何もかもが素晴らしいショーだったが、そこに行き着くまでにはたくさんの困難と、企画者・参加者ともに様々な葛藤があったことを、この本は教えてくれた。物語にはチアリーダーも僧侶も出てこず、完全なフィクションとして描かれているにせよ。

特に、参加を希望しながらもショーを否定するかのような言動を繰り返す荒川という婦人の辛辣な言葉が、自問自答しながらショーの企画を進めてゆく主人公の影とも思える。所々にユーモア溢れる文章を挟み、個性ある登場人物たちは基本的にのほほんとしているのに、物語全体に流れるピシリとした緊迫感。それはこの問題に対する著者の真摯さを物語っている。

本を読んでいるうちに思い出した。体力仕事に疲れ果て葬儀社をやめた頃の私は、「明日死んでも悔いの残らぬように」と思って生きていた。そもそもしたいことがあまりないので、それは簡単に成就した。しかしそれからがつまらない。新しいことを始めず、気ままに暮らす日々はただ死ぬのを待つのみだった。
それから数年後。上京し、フラフラと好きなことばかりしていたある日、「今日だけは死ねない」と唐突に思った。それは自分が脚本を手がけた演劇の初日前夜で、「夏もサイレンナイ」という大変バカバカしいタイトルと内容の喜劇なのだが、幸福なことにみんなに愛され、演出家の手によって魂を吹き込まれていた。あとは動かすだけなのである。
それを見られないのは嫌だ。このとき初めて、「無念じゃあー」と化けて出る幽霊の気持ちがわかる気がした。

「今日死んでも悔いはない」と思うことと「今日だけは死ねない」と思うことのどちらが充実した状態なのかは、いまだにわからない。しかし少なくとも私には、後者の方が幸せであったことは間違いない。

「終活」は、思い残すことなく逝くための準備だ。ということは、その手前に「思い残すこと」があらねばならない。伝えたいこと、会っておきたい人、託したい気持ち。それがたくさんあることこそが、幸せな状態なのかもしれない。
終活は、終えてはならない。
そんな温かな矛盾に、この本は気づかせてくれた。(おもだか大学:「フリースタイルなお別れざっし 葬」発行人)

■『就活ファッションショー』安田依央、集英社/四六判264P/¥1,470(税込)

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2012年6月 4日 (月)

●ホームレス自らを語る 第114回 高血圧で路上生活に(後編)/藤川健次さん(60歳)

1206 鳥取県倉吉市出身の藤川健次さん(60)は、20年間働いた名古屋のパチンコ店を30 代後半でやめた。
「いつの間にか、周りの店員が20代前半の若い人ばかりになっていましてね。客との応対とか、ホールの運営とか、私のやり方にみんなが反発してくるんですね。私一人が浮いたような状態になっていて、もうやめるしかなかったんです」とそのときの事情を語る。
 パチンコ店をやめた藤川さんは、同じ名古屋市内にあった工務店に転ずる。建設現場の作業員になったのだ。ただ、そこは何でも前向きに取り組む藤川さんだけに、すぐに玉掛け作業の資格とクレーン運転免許を取得したという。建設現場でもっとも重宝される資格と免許である。
「クレーンの運転には、かなりの自信があります。当時のクレーン操作は、誘導員の手や旗の合図だけでしたからね。クレーン運転士の腕の差がモロに出ました。私の運転操作はみごとなものでしたよ。いまのクレーン操作はインカムを使って、何台も設置されたモニター画面を見ながらするんですからね。誰でも同じようにできますよ」
 一徹な職人気質が顔を覗かせる藤川さんだ。彼はその腕を買われ、マンションやオフィスビルなどの建設現場で腕を奮うことになる。
 ところが、その工務店は数年もしないうちに倒産してしまう。社長が市会議員選挙に立候補して落選。その選挙戦に多額の資金を注ぎ込みすぎたためだ。
「工務店が倒産したのが、バブル経済のもっとも盛り上がった時期でした。私たちの日当も2万7000円まで跳ね上がっていたときだったから、この倒産は痛かったですね。ただ、工務店のナンバー2で番頭格だった人が、すぐに新しい工務店を興して、私も誘われてそこで働くことになりましたから路頭に迷うことはありませんでした」
 こんなとき真面目で人柄のいい藤川さんには、真っ先に誘いの声がかかる。パチンコ店で働いていた頃と同じである。
 しかし、新工務店に移って間もなく、バブル経済が崩壊。それまで活況を呈していた建設業界は、火の消えたように静まり返って、長い不況の時代に入る。
「我々作業員にとっては、作業日数が減少したうえに、日当も下がるというダブルパンチでした。名古屋の工務店には今年の2月までいましたが、日当は1万3000円まで下がってしまいましたからね。最盛期の半額以下ですよ。これじゃ食っていけません」
 藤川さんは2月いっぱいで工務店を辞めた。地元のハローワークで、もっと割りの良い仕事の求人を見つけたからだ。3月1日、藤川さんはその新しい仕事先に向うことになる。向った先は福島県いわき市である。

「その新しい仕事というのは、“除染作業”ですよ。福島第一原子力発電所の事故で、放射能汚染された道路や公園、学校、ビル、住宅などを除染するのが仕事です。いわき市はその集合場所で、そこで受け付け手続きと健康診断を受けてから、福島県内の各除染現場に送り込まれるという段取りでした」
 新しい仕事に意欲満々で赴いた藤川さんだったが、健康診断ではねられてしまった。高血圧である。
「上(収縮期血圧)が210Hgもあって、その場で不採用になってしまいました。意気込んで行った分、不採用はショックでした。だからといって、また名古屋にスゴスゴと引き返すわけにもいきませんしね。それで東京でホームレスでもやろうと思い、前に新宿で暮らしているホームレスのことをテレビで見たのを思い出して、まっすぐここ(新宿中央公園)にやって来たんです」
 藤川さんにとって、東京ははじめての土地だけに、不案内でいろいろ心配だった。だが、公園で暮らしていた先輩ホームレスたちは、みんな親切にしてくれたという。
「私が事情を話しますと、段ボールを分けてくれる人、段ボールの組み立て方を教えてくれる人、そうかと思うと食べるものを分けてくれる人もいましてね。ホントにみんなの親切に助けられました」
 そうやって始まった藤川さんのホームレス生活だが、それから1ヵ月半がすぎて、すっかり板についた。
「晴れている晩は公園の水の広場の片隅に仲間と寝て、雨の晩は東京都庁舎の駐車場が開放されますから、みんなでそっちに行って寝ています。それに新宿の福祉事務所の医療保護を受けられるようになって、血圧の降下剤が処方されるようになりました。だから、この生活もなかなか快適ですよ」
 それに藤川さんは仲間に教わって、アルミの空き缶拾いも始めたという。日がな一日、ゴロゴロしてすごすのは、この人の性に合わないのだ。
「毎日、夜中の3時にここを出て、周辺のゴミ収集所を回って拾ってきます。音をたてないようにして、コッソリ拾うんです。東京の地理に不案内ですから、あまり遠くまでは行けませんが、それでも月に5万円にはなります。十分とはいえないまでも、ある程度の飲み食いはできます。このあいだまで花見の場所取りのバイト仕事があって、1回1000円もらえて思わぬ臨時収入になりました」
 そう言って、藤川さんは焼酎をグビグビと流し込むのだった。
「ほかの誰のせいでこうなったわけではありませんからね。みんな自分のせいなんですから、クヨクヨしても仕方ありません。65歳まではアルミ缶を拾いながら、楽しくやらないと……それで65歳になったら生活保護を受けて、また楽しくやる。それが私の生活設計なんです」
 どこまでも前向きな藤川さんである。(この項了)(聞き手:神戸幸夫)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年6月 1日 (金)

OL財布事情の近年史/第80回 遂に力尽きた!OL系雑誌大量廃刊の06年(後編)

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

全国書店から注文可能。
Amazonでも予約・注文できます!

前回の続き。

 過去を振り返り、その近い未来を想像してむなしくなってみたりしたが、とりあえず2003年に突如現れた『Caz』のマネー特集を見ていこう。
 この特集は、毎回30人もの読者のマネーライフが登場、職業、収入、支出、貯蓄額のほか、住んでいる家の間取りや自室の写真を公開している号もある。2003年1月27日号「快適生活を送る30人の貯蓄残高、拝見します!」では、ライフスタイル別バランスシートとして、ひとり暮らし、親と同居、ルームシェア、と住居タイプ別に紹介。ルームシェアがこのようにライフスタイルとして登場するのは、おそらく初めて。シェア文化の萌芽もこの頃だったのも。ここにはマンションを購入した36歳の会社員、一軒家で一人暮らしする20歳の声優、親と同居の23歳派遣社員、ルームシェアするフリーのプログラマー26歳など、年齢も仕事形態もさまざまな事例が並ぶ。ただし、収支の表を「やりくり帳」と表現しているように、無計画に浪費している人は誰もいない。37歳でマンションを買った商社勤務女性は、食費、水道光熱費、服飾費等住宅ローン以外の出費がすべて4ケタ(つまり数千円)で貯蓄700万円とか、アルバイトで月収13万円ながら、4人暮らしで渋谷近くの2LDK住まいとか、それぞれにうまくやっている。

 「Caz世代のマネーライフの実態がわかる!と大好評」と企画された同年6月23日号は「私の給与明細&貯蓄残高全部見せます!」で、今度は職業別に公開。こちらもひとりとして同じ職業はおらず、収入も支出も人それぞれだ。ただし仕事別と銘打っているだけにアルバイトや派遣はおらず正社員中心、収入は比較的高く、将来に向けて勉強したり貯金したりと大変ちゃんとしている。いっちゃなんだが、前回より面白みに欠けます。だってこれ、「Caz世代」の実態というよりは、「勝ち組」の実態なのでは。正規雇用者が主流じゃなくなり、多様な働き方暮らし方が生まれてきていることがわかったんだから、そちらにこそ目を向ければよかったのでは。だから休刊しちゃったんじゃ? と、過去に向かって余計なお世話ではあるが。(神谷巻尾)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年5月 | トップページ | 2012年7月 »