元サイテイ車掌の田舎日記/春らんまん
○月×日
んだ。
酒田もやっと春だ。
まるで1年の半分が冬のような、天気の悪さといったら日本一ではないかと思うほどだったが、そんなことは嘘みたいに連日この上ない穏やかな日差しに包まれている。
景色は見渡す限りウララカで、何から何までキラキラと輝いて見え、眩しく感じる。これまでのことは何もなかったことにしましょうと、桜も梅とほぼ同時にほころび、今は満開となっている。
さぁ、これからだ。何もかも新しくスタートするんだという気持ちになれる。雪もすっかり溶けて、土が顔を出してからは暫く経ったが、おれも畑の草刈りを開始した。今年で3年目になる。丁寧に耕して、肥料もたっぷりやり、今年こそ立派な野菜に育つように成功させたい。
スーパーにもたけのこやわらびなどの山菜が山のように並んでいるし、酒田中が春。もうどこへ行っても春なのだ。
先日ラジオを聞いていたら「大きくなったらケーキ屋さんになりたいです」という4~5才くらいの女の子が「えんか」を歌いますというのでちょっと驚いたのだが、かわいい声で歌い出したのは「演歌」ではなく、学校でいえば校歌の「園歌」なのだった。メチャクチャほほえましいと感じちゃってね。
感じるといえば「アイヴ・ガッタ・フィーリング」。ビートルズのゴキゲンなナンバーで、レコードの中ではジョンとポールが仲良くシャウトしている。「感じるんだ。春を感じるんだ。誰もが辛い冬を過ごし、今は誰もが気合いを入れ直した。感じるんだ。春を感じるんだ」と聴こえて来る。オー、イエイッ!!
おふくろの施設でもどこの老人ホームも然りだが、皆して歌う歌といったら童謡や唱歌、演歌と決まっている。ビートルズなどは歌わないのか。もしおれがホームに入ったらこれだけは耐えられないといつも思う。それともおれも、入れ歯の具合などを気にしながら皆と迎合して一緒に歌っているのだろうか。いや、そんな心配をする前に死んでるか。いいのか悪いのか、やれやれだな。
政治は相変わらずだ。ズルズルと混迷の度を深めている。問責は理解できるが、審議拒否とは国民のことをそっちのけだとしか思えない。がしかし、各党幹部がしっかり勢揃いしてテレビの日曜討論などで議論している。もうこの際だから、大所帯の国会劇場は止めにしたらどうだろう。各党が意見集約をして、幹部だけでやり合えばいいのではないか……。
「チャリの季節だよ~。典ちゃんも一緒に走ろうよ。5月にまた行くからね」と同僚から連絡があった。今回は後輩も連れて5人で来るという。村上(新潟)でチャリを組み立てて、日本海の絶景を眺めながら酒田までの約100キロ余を北上して来る。「人生、下り坂最高!」の気分はチャリをやっている人にしか分からない快感だろう。家の布団では足りないから、全員寝袋で雑魚寝の予定だ。
その後も年中行事になってしまったかのように何人かがやって来る。おれは大歓迎で嬉しい限りだが、皆会う度に老け込んで、あの頃の若さが薄れたとしみじみ思う。
飲み過ぎて「今日は休む」と仕方なく職場に電話した。そしたら「一生休んでていいよ。お前の席はもうとっくにないんだから」とあっさりいわれてしまった。「……そうだったな」と気付いたところで目が覚めた。夢だったのだ。
ということで、春らんまんだね。(斎藤典雄)
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