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2012年4月 9日 (月)

寺門興隆を読む/2012年4月号

 めっきり春めいてきたこの頃。先週の土日には都内各所で桜が満開になり、晴天にも恵まれ、各公園は花見をする人であふれていた。「寺門興隆」4月号も桜に水鳥と、春らしい表紙。
今月の見出しは以下の通り。

寺族規程変更の波紋/寺院建築訴訟/震災孤児を救おう/汚染土を受け入れる住職/寺の交通事故裁判/災害記念碑総覧/天蓋選び/手元供養/本誌住職アンケート結果

 ひときわ目を惹くのは「汚染土を受け入れる住職」。一読すると立派な住職、と感心してしまいそうになるが、近所の人の納得は得られているのか。早速読んでいこう。
 活動をしているのは、ラジオ福島でパーソナリティも務める住職。「自宅の放射線量が高い。小さい子どもがいるので心配」とラジオ番組に寄せられた手紙をきっかけに、除染を思い立った。中心となって立ち上げていた「福島復興プロジェクトチーム・花に願いを」により、PTAや町会に呼びかけて通学路の除染を独自に進めることにし、活動する中で仮置き場の問題に突き当たる。みな、なるべく遠ざけたいと思っている中、住職は決断した。お寺の裏山を仮置き場にすることにしたのだ。その際、最も奥を選び、ドラム缶を用い、地域住民に見せて説明したという。反対意見は出なかったというから驚きだ。近所の人々が、住職の必死の活動をその目でしっかり見ていたからこそ信頼が生まれたのだろう。

 余談だが、筆者の故郷は山形の内陸部である。誇れるものといったら積雪量しかない土地に生まれて、野菜も魚も果物も豊富な福島の太平洋側がどれだけ羨ましかったことか。自分から見たら天国としか言い表せなかった土地が、豊かな土地で食べ物を育てて私たちに運んでくれていた人が、今苦しんでいる。非常に勿体ないことだ。悔しいことだ。

 そしてなんと、毎回豪華有名人が登場するコラムに、ついにあの人が登場!勝間和代氏である。「経済人と宗教倫理」という、なんとも難しそうなタイトル。しかし内容はとてもわかりやすく、「ディズニーランドと大きな神社では、どちらが訪れる人が多いか」「スピリチュアル系書籍の売り上げに見る日本人の心理」など、切り口が経済学者の視点ならではで、ついつい引き込まれてしまう。本当に、今回も素晴らしく豪華なコラム。

 さらに「手元供養」についての記事。「今喧伝されている『手元供養』って何か」という見出しから「『手元供養』という言葉をご存じだろうか。新造語だが、最近“新しい供養のかたち”などと喧伝されているのだ。どんな供養なのか。まさか仏事離れを進めるものなのか。」というリードに続き、かなり警戒している模様。手元供養とは、お骨をオブジェやジュエリーに入れたり、ダイヤモンドなどに加工し、自宅などで供養すること。記事によれば「7年間で46倍の供給になった」とのことで、「こんなのが流行るとお墓が売れなくなるんじゃないかと心配しているお墓も多い」という記述にも頷ける。
 しかし、手元供養品の意味合いは「お墓の代わり」というよりも「分骨かめのかわり」である。お墓にも入れるけれど、少しだけ手元に置いておきたい。多くは、そんな人のための品だということが分かり、記事も「お墓が要らないというものでは、ないわけだ」と胸をなで下ろす。そして取材をしていく中で、手元供養のニーズの背景にある声に気付くけれど、ここから先は本誌をぜひ読んでほしい。(奥山)

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