寺門興隆を読む/2012年2月号
分厚い。2月号、ものすごく分厚い。どうしたんだろう? と思って1月号と比べてみる。あれ、同じ202ページ! いつから? いつからこんなに分厚くなったの? と調べてみたら、11年12月号は190ページ、10年12月号は184ページ、2009年5月号は174ページ。年を経る毎にどんどんページ数が増えており、出版不況の流れからは逆行している。羨ましい限りの寺院実務誌、今月号の見出しはこちら。
仏教60年推移/行方不明住職/阪神震災寺院復興/東日本大震災以後/寺領奪還訴訟
法事をやらせる秘策/駆け込み寺住職/太陽光パネル選び/国の終末期支援の本音
1行目の並びには平仮名も片仮名も見あたらない。いつも通りの気合いがとても清々しいが、なんといっても「行方不明住職」が圧倒的に気になる。そして「法事をやらせる秘策」も。一体どんな秘策でもって法事をやらせているというのか。うちは年忌法要を全く欠かしたことはないが、それが住職の営業テクニックによる成果だとは考えたこともなかった。法事ってやらないという選択肢もあるのか。そんな疑問を携えてページをめくってみる。
なんと最近は「せいぜい三回忌まで」という地域もあるらしいのだ。また「次は何回忌を迎えるのか分かんなくなってしまった」という檀家もあるらしい。特に都会では、お寺との継続した関係を保つことが難しく、常日頃から年忌に対して意識するということが少なくなっている。それに対して、年回表をラミネート加工して配ったり、ホームページで法事の相談に応じたりと工夫を凝らしてアピールしている住職が紹介されている。
とくに個別にハガキで告知をするという住職の試みはユニークだ。「住職!このお寺って 宗教施設だったんですねえ・・!!」というハガキの文句が目を惹く。これは確かにインパクトがある。忘れられない。法事もついついしてしまうというものだ。
貴重なアンケートも。「東日本大震災で「葬式はいらぬ」の風潮は変わったか」という記事では、冠婚葬祭互助会組織である(株)くらしの友社と、(株)全国儀式サービスが行ったアンケート結果が紹介されている。「震災後、葬儀に対する考え方は変化したか」「供養のあり方で一番ショックだったのは?」といった、葬儀業界にいる者であればぜったいに知りたい情報が詰め込まれており、絶対保存版だ。
そして個人的に目からウロコだったのが「今さら師匠に聞けないこと」。今回の記事は「漢字の読み方をちゃんとしよう」。「七回忌」を何と読むか、これには明白な理由があるのだ。編集者の自分にとっても「今さら師匠に聞けないこと」であり、とても役だった。感謝。さらに、様々な人にとってもお役立ち度がかなり高いと感じたのが「小銭から紙幣までを包む折型礼法」。慶弔時やお見舞いの際に、自分で選んだ素敵な紙を折ってお札を包めたらちょっと嬉しい。コンビニで買うくらいなら自分で作るわ、の域に達したい。(奥山)
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