書店の風格/勝木書店本店
北陸を拠点とし、首都圏にも展開している勝木書店の本店を訪問した。本店は福井駅から続く商店街内、西武福井の目の前にある。奥に長い設計のため間口からの印象よりもずっと広く、3階建てでジャンルも豊富だ。地域資料や政府刊行物も豊富に取り扱っていて、まさに福井の老舗一番店だ。
お店に入ると、すぐ右側がレジ、左が雑誌のラック。ラックの一番目立つところに福井情報誌「月刊URARA」が置かれているのがいい。このとき買った10月号は、まだ「うらら姫23」候補100余名が可愛らしくエントリーされているところであった。すでに最終的に23名が選ばれたらしいが、どうもインターネットだけでは情報が集まらない。センターは一体誰なんだ。個人的には巫女姿の少女がとっても気になるのだが、最終選考まで残っているのだろうか。前記事を読んでしまったからには気になるが、東京には売っていない「月刊URARA」……。
雑誌棚は奥まで続いていて、どん詰まりにエレベーターと階段がある。エレベーターで3階へのぼると、学習参考書やコミックのフロアであった。若い人にこそ高層まで登ってもらうお店づくりは本屋のキホンのキ。二階へ下りると、ビジネス書や人文書がずらっと並ぶ。アストラの新刊『悲しきアフガンの美しい人々』も棚差しになっていて、思わず感動した。全くの妄想だが、何だか歓迎されているような気分になった。
そして注目すべきは宗教書のコーナー。福井には曹洞宗の大本山、永平寺があるうえに、浄土真宗の中興の祖、蓮如が布教をして歩いた場所。どんな棚構成になっているのか、とわくわくしながら拝見すると、なんと「正信偈」(浄土真宗の讃歌)と書かれた棚仕切が! 日本広しといえども、「正信偈」が一つのカテゴリーになって棚を形成している本屋さんは他にないだろうと思う。それほど需要があるということだろう。仏事をきちんと後世に伝え、継続していこうという地元の確かな意志が感じられる。
店を出ると、隣の西武敷地内にあるベンチに群がり、いっしんに「ジャンプ」を読んでいる男の子3人組が目に入った。みんな漫画が、本が好きな子に育ちますように。(奥山)
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