« OL財布事情の近年史/第59回 これじゃあ自活出来ません! 1997年、不況の影?(前編) | トップページ | 元・サイテイ車掌の田舎日記/逞しい男、今年最後の漁、鮭のゆく道 »

2011年12月18日 (日)

元・サイテイ車掌の田舎日記/「何やってんの?」「なんなんだよ」「東京だよ、おとっつあん」

○月×日

 んだ。
 何やってんの?なのだ。
 おれがよく聞かれることは、お前いつも何やってんの? だ。おれは何もやっていないと答える。また、55で会社を辞めてお母さんのことは分かるけど何やってんの? だ。おふくろとはいつも一緒にいるわけではない。誰だってそうだろ、何もやっていないと答える。そしてまた、そんなに早く起きて何やってんの? だ。明るくなるのを待っているだけだ。何もやっていないと答える。
 とにかくおれは何もやっていないことになっている。だから時には白い目で見られて軽蔑されたりする。でもそんなことは構わない。人がどう思おうと勝手だ。全然気にしない。おれは音楽を聴いたり本を読んだり好きなことばかりやっているが、もちろんそれだけでは一日は終わらない。
 会社で退職後の研修みたいなものがあり、時間が余るほどあって暇になるから、趣味を持てだの人や地域と関われだのボランティアでもしろだの、どこかで聞いたようなことばかり説教された気がする。
 いいではないか。何もしなくても暇でも。それもその人の生き方だろう。やることがないと思えば悲しめばいい。面白くないと思えば落ち込めばいい。お金がないと思えば働けばいい。ノイローゼだけは困るが、いい大人がそうなったら自業自得だとおれは思う。誰のせいでもない。冷たいようだがそんな人の面倒まで見ていられない。診てくれるのは医者だけだ。
 これまで長い間仕事をして来た。いつも何かに縛られて来た。それが社会なのは分かる。でももう嫌なやつとは会わなければいい。自分の好きなようにやればいい。社会のルールは守り、自由に生きればいい。ただそれだけのことだ。先のことは分からないが、おれはいつもそう思う。何やってんの? なんだけど……。

○月×日
 んだ。
なんなんだよ~、なのだった。
 いつもの床屋さんが何日経っても開かないので、仕方なく近所の別の床屋さんに行った。理容師さんがおばあちゃんだったが、今さら髪型なんてどうでもいいし、おれにとっては十分だった。今度からはここにする。だって、これまでより1200円も安かったのだ。なんなんだよ~。
 魚を送る発泡スチロールの箱が欲しいのなら市場の隣の焼却処理場に行ってみぃ、と漁師さんにいわれた。顔見知りになればタダでもらえるよと。行ってみたらナント30円だった。使用済みでも用が足せればいい。いつも400いくらかで買っていたのに。なんなんだよ~。
 おふくろのところにバスで行くと片道320円かかる。お客はいつも2~3人しか乗っていない。いや、人数の問題ではない。最近では市が運営している福祉バスとやらを利用している。こっちの方だと、どこまで乗っても料金は100円なのだった。なんなんだよ~。
 タッパーなどのちょっとしたキッチン用品が必要な時は近所のデパートの一階で買っていた。最近知ったのだが、四階に100円ショップがあったのだった。なんなんだよ~。
 夏のことだが、オクラが1袋なんと30円で売っていた。値札をよく見ると3袋なら100円と書いてあった。ん!?。超暑い日だったが、これが酒田だと思った。意味は違うが、なんなんだよ~。
 おふくろの冬用の靴下が足りないので用意しておいて下さいといわれた。近くのツルハ(ドラッグストア)にありますからと。行くと、2足で398円とバカ安だった。これまではスーパーなどで2足980円で買っていたのに。なんなんだよ~。
 おれはこのようなことが本当に多い。だからドッと疲れてしまうのだが、色々と工夫をすればずいぶんと倹約になるのだと改めて知った。今度からは魚も冷凍にするだけではなく、干物にすれば保存ももっと効くだろうと、ベランダに干してもカラスやハエなどから守る本格的な筒状の網を買ってきた。それなのに高波で海が荒れ、漁に出られない日が2週間以上も続いていて、魚はまだ手に入らない。これもまた、なんなんだよ~、なのだった。

○月×日
 んだ。
 東京だよ、おとっつあん。
 東京にいる息子から電話があった。久しぶりだった。何やら、パスポートの期限が切れたので戸籍謄本が必要だという。大至急送ってほしいと慌てていた。明日中に届くかどうかと気が気でない様子だった。「なら、今から飛行機で取りに来なさい」とおれはいった。どうせ日帰りできるのだから。そうしようかと一瞬迷っていたが、結局書留速達で送った。
 タイに出張なのだという。アパレル関係の仕事をしているのだが、何年か前も転勤で1年ほど上海で暮らしたことがあり、驚きもしなかったし心配もしていない。
 ただね。いつもギリギリにならないと動かない。今日できることでも明日でもいいなら明日しないで明後日でもいいかと考えている。いつも土壇場になってバタバタするのだ。弛くて甘いというかのんびりしすぎなのか、そんな性格は相変わらずだ。一人で気楽にやっているようだが、もう少ししっかりしてほしい。
 また、東京にいる末の息子の嫁さんは、実はナント、酒田の人なのだ。これには驚いた。東京で知り合ったそうだが、相手は全国どこの人か分からないではないか。それがあまりにも偶然な出来事だった。しかもこの子はおれが帰省しなくなって実家に連れてきたこともなく、酒田のことなど殆ど知らないからだ。人の縁とは本当に不思議だとしかいいようがなかった。
 そんなわけで、おれがこっちに戻ったら酒田の親戚が一つ増えてしまったのだ。色々とお世話になっているが、とっても明るい家庭だった。明るすぎるのだ。いや、それもそのはず、家業が今は少ない、地域の電気屋さんだったのだ。この通り驚きの連続だったが、本当に良かったと思っている。
 子どもたちは東京で楽しく暮らしてくれれば、それでいいよ。じゃあね、また。(斎藤典雄)

|

« OL財布事情の近年史/第59回 これじゃあ自活出来ません! 1997年、不況の影?(前編) | トップページ | 元・サイテイ車掌の田舎日記/逞しい男、今年最後の漁、鮭のゆく道 »

サイテイ車掌のJR日記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/122338/53474317

この記事へのトラックバック一覧です: 元・サイテイ車掌の田舎日記/「何やってんの?」「なんなんだよ」「東京だよ、おとっつあん」:

« OL財布事情の近年史/第59回 これじゃあ自活出来ません! 1997年、不況の影?(前編) | トップページ | 元・サイテイ車掌の田舎日記/逞しい男、今年最後の漁、鮭のゆく道 »