東京みくじ巡り/第2回 鷲神社(前編)
台東区千束にある鷲神社へ行ってきた。ちょうど酉の市がやっていて鳥居をくぐって参拝するのに30分以上かかった。考えてみたらおみくじは境内の外でやっているのだから参らなくてもよかったのだけど、いつもの癖で入ってしまった。酉の市は11月の酉の日に行われ、商売繁盛のお守りで有名な熊手(かっこめ)が売られる(授与)されるお祭りです。決して、鳥が売られているわけではないです。
さておまちかねのおみくじタイム。
境内外のおみくじ館に4種類のみくじ。すべて1回200円。みくじ棒を引くタイプ、恋みくじ、招福みくじ、ヤマトタケルノミコトおみくじで、招福とヤマトタケルはチャームつき。なんとなく得した気分。
前編の今回は、みくじ棒で引いたみくじと恋みくじをご紹介。
みくじ棒に関しては200円は高いと、正直なところ思った。しかし、引いてもらって読んでびっくり。内容が充実しているのだ。
まず運勢の項目が長い。要約すると、「目上を敬って、目下を愛しなさい。そうすれば、相手からも好かれます。一人でやらず協力し合って何事も行うこと。親しき仲にも礼儀ありなので注意しましょう」
と、協調性のなさを注意されました。最近、親しき仲にも……に似た文をよく引くので、礼節を持って人と接する必要があるということなのだろう。引き締めなければ。
各項目欄はなんと15項目もあり、読んでみると抽象的ではなくかなり具体的に書かれている。運勢の項には、「神仏を敬い信じて」とあるが、こちらにはそのような文句は一切なく、たとえば、【失物】「大体に出にくい。盗難のこともある。探すなら手遅れにならぬうち東北方面を探すのだが、万一出ても遅く、且物が減損している」とある。このような場合、他のみくじだと、「大体でにくい。神仏に祈って探せば出てくる」といった感じでお祈りをねじ込んでくる。でもで、祈ってもどうしようもないときとかあるじゃないですか。そんな時は抽象的なお告げより具体的にズバッと、「盗まれてるかもしれないよ。しかも出てきてもちょっとね……」と言ってもらったほうが、出てきたときのショックも和らぐ。
どれも下町っぽいみくじで歯切れよく言い切る。【旅行】吉。殊に親しい仲間との旅行は楽しいであろう(旅は楽しいよね!)【売買】競争が烈しいから売買共に早いが勝ち。後れると損(やはり今のうちにドル売りしとくべきか!?)と、親しみがわくし、売買なんかはかなり強気に後押ししてくれる。
それらの中で最も衝撃的だったのが【出産】!「安産。胎児は男。」妊娠してないけど、なんか男の子できそうだよ。それくらいの潔い断定。だいたい「よい」とか「安心しなさい」とかマイルドな表現が多いのに。いやー、すごい。抽象的なみくじは嫌だという方には大変お勧めのみくじです。私はかなり気に入りました。
2つ目は恋みくじ。ズバリ系のあとに出すのは忍びないなんて思ってたけど、だまされたよ。こっちはこっちでロマンあふれるまるでハーレクインのような内容。冒頭から「(恋の歌)嵐にも愛の一つ灯消さないで 受けて下さい私の心」だよ。キャー!!!中学の修学旅行で地主神社(京都の縁結び寺)で引いた時と同じ香りがする。あのときは大吉引いたのに、内容は散々だったな。
この恋の歌にもきちんと解説があって、それがまたクサい。「雨の日も嵐の日も一つの愛の火を守り続けてきたのです この想いの炎でその胸を焼き尽くしましょう」
情熱的。ラテンの魂が揺さぶられるよ。でも、恋ってそうだよね。
基本的にみくじは老若男女問わずだけれど、このみくじは大人の女性より、中高生の女子のが楽しく感じるのではないかな。縁談や結婚の項もあるけど、全体的に子供っぽさが漂ってるし。このみくじで評価できるのは、【学問】「自分の得意な科目をもう少し伸ばし、英語を基礎からやること」と、恋だけでなく学校の勉強にもきちんと精を出しましょうと優しいことばで戒めているところだろうか。(月島めぐる)
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