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2011年11月 4日 (金)

OL財布事情の近年史/第53回 山一倒産、女性誌改変!(前編)

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

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 後から振り返ると、地下鉄サリン事件と阪神淡路大震災が起きた1995年が、日本の社会が変わる大きなメルクマールの年だと思っていた。しかし日々働くOLの生活は、大きな社会現象ではなく、積み重ねられた環境によって変容していった。前出の元『日経WOMAN』編集長によると働く女性の「潮目が変わった」のが、1997年。山一證券が3兆5000億円の負債を抱えて自主廃業した「山一ショック」の年である。それまで女性にとって仕事とは、「自分の好きなこと」「自己実現の手段」だったのが、97年以降は「自立の基盤」、要するに「食べるための手段」になったという。食うために働く、ごく根源的な営みだが、OLにとっては新しい仕事感である。

 実際に『日経WOMAN』のバックナンバーをたどってみた。自己実現OLだった最後の年、1996年を見ると「30歳からの〈独立〉大計画」(6月号)、「年収を上げよう!」(8月号)、「いつかはビューティフル・ワーキングマザーになりたい」(11月号)などの特集や、「女性社長」「海外就職」「人脈作り」等キャリアウーマン志向が漂う単語があふれている。一方、「本当の友だち、もっていますか」(2 月号)、「私をもっと好きになろう」(9月号)、「脳で変えよう〈いまの私〉」など、焦燥感漂う企画も。自己実現を目指すも、かつてのように実現などできない不況の世の中で、それでも自分自分ともがいていたかのよう。苦しい。

 そして97年、「20代 好きな仕事で、生きて行こう」という別れの挨拶のような特集の5月号を最後に、6月号からロゴも誌面も一新した。この号の特集は「行こう!この夏ベストな海外へ」「教えて、ケンタロウさん 初めてのクッキング」「働く女性にやさしいお医者さん72人」「オフィスでもOK!流行の〈透ける〉服の着こなし」。旅、料理、健康、ファッションですと!ウーマン誌が! その後も「デパ地下」「UV対策」「フットケア」など身近な、しかし働く女性には必須のテーマが並ぶ。かゆいところに手が届く誌面はまた新しい女性誌ジャンルとなり、等身大で働く女性を支えていったのであろう。(つづく)(神谷巻尾)

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