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2011年11月13日 (日)

寺門興隆を読む/2011年11月号

 出版関係者には意外と読まれている寺院実務誌『寺門興隆』。やはり皆、見出しのダイナミックさを参考にしたいらしく、知り合いの編集者から「私も読んでいます!」という声が続出している。『月刊住職』時代から数えて創刊30周年、絶好調な今月号のラインナップ。

政教分離破綻/公開仏教講座総覧/ペット霊園課税/滝行事件/墓地訴訟/住職奮闘/掲示伝道板/震災寺院消費者問題/震災宗教シンポ/アートで寺院活性化/宗勢調査

 これは一番に「アートで寺院活性化」の記事を読むべきだろうと思うが、はて今回の宗勢調査はどんなだろう?と覗くと「住職の四割が寺院収入だけでは生活できない」という衝撃的な見出しが。
 宗勢調査を行ったのは、浄土真宗本願寺派。平成21年度の調査結果を報告している。それによると、なんと年収300万円未満のお寺が43.2%、25.4%が無給とのこと。無給って、どうやって生活してるの? と不思議に思うが、兼業や年金など寺院外収入が寺院の活動で得られる収入を上回っている、と回答したのが44.9%と半数近く。もはや坊主は作家や米農家同様、兼業でないと成り立たないのか。

 不景気な話題はさておき、「アートで寺院活性化」を読んでいこう。1つの寺に1万人が集うアート展があるのだという。絵画やオブジェなどの現代アートが本堂や庫裏やお寺の前庭に並ぶというのだから、他ではまず見ることのできない催しだ。舞台は人口約11000人の小さな町、長野県小布施町の玄照寺。毎年四月の第三土日に行われ、事前に町のラジオで放送までする町おこしの一大イベントは、どんどん規模を大きくしているらしい。なんというか、正しく楽しくて素敵だ。
 他にもお寺でのアート展は増え続けているのだという。確かにお寺はイベントスペースとしてもってこいだ。広いし、照明や音響設備は整っているし、立地もいい。演劇やダンスや講演会など、様々な活動に向いている。お寺さえうんと言えば、こんな素晴らしいイベントスペースはないだろう。

 次に気になるのは「ペット霊園課税」だろう。ペットの供養は宗教行為か否か、行政は否と見るようで、ペット供養に関してお寺への課税問題が裁判になるケースが増えているという。「ちゃんと供養しているのだから、宗教行為なんじゃないの?」と、漠然と思ってしまうが、世の中にはペット霊園だけを営んでいる業者もある。そこはきちんと税金を支払っているのだ、などと聞くと、頭を抱えてしまう。じゃあペットの件だけ課税すればいいのか? するとなんだかペット供養にもありがたみが感じられなくなってくるから不思議だ。難しい話である。

 今月も「つっぱり和尚」高橋住職の癌進行状況が気になるところであったが、台風で敷地内の巨木が倒れ、それどころではない様子。ちょっとは病気から気がそれたのかなと、ちょっとホッとした。結構ファンなのだ。(小松朗子)

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