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2011年9月 2日 (金)

OL財布事情の近年史/第44回 気楽すぎるサラリーウーマン、世にはばかる★90年代前半

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

全国書店から注文可能。
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前回の続き。1990年、目を覆いたくなるようなバブル福利更生会社と、それを当然のように享受するOLの実態を女性誌から報告している。

 あのお嬢さん雑誌『JJ』では、1990年11月号に「もうちょっとくわしく知りたいOLの〈金銭感覚〉実態調査 手取り15万円の使いみち」というお財布記事が。キャリアやら貯蓄などとは無縁、女子大生と秘書を満喫していいお家にお嫁に行く、というのがセオリーかのような同誌で、「自分への投資も財テクのひとつ」なんて言葉を目にするとは驚きである。読者の1ヵ月の支出項目が、交際費、Shopping(なぜか英語)、お稽古事、スポーツと全部レジャーじゃね?ってあたり、あくまでも自宅通勤、家にお金は入れないのが前提なのは変わらないようだが。 
 読者が座談会形式でお金の話をしているのだが、「周りの話を聞くと確かにみんな結構きちんと貯めてるのね」「先輩の話を聞いたら、すごくいっぱいしてる」と、貯蓄は“みんなやってるから私も”現象となっている模様。しかも、「ボーナスが出たら、わざわざCITY BANKに10万円預けてるの」「新積み立て女性保険っていうのを」「JTBの“たびたび”って金利のいい積み立ても」と、すっかり財テクOLの体である。
 もちろん15万円の使いみちがほぼレジャーであるから、消費欲は旺盛だ。特に旅行にかける情熱がすごい。「今度の休みはフィジーかタイに」「女ってお盆休みやお正月休みのために働いているような人多くない?」「もうエイビーロードがバイブルみたいな」「ヨーロッパへ行くにも香港でチケットを買うと安いとか」と、旅慣れもいいところである。「洋服そんなに高いの買わないし……せいぜい冬のコートで7万ぐらい」「旅行のときは平気で一気にお金おろすのに、服にはそれほどかけたくない」と言いながら、みなさん月の洋服代3〜4万円かけている。そのうえ、「神戸へ行ったとき、観光なんてちょっとで、あとはずーっと買物」「(父に)タイやシンガポールへついていって思い切りアクセサリーを買ってもらっちゃった」と、旅もShoppingがセットである。最終的には「結婚後家庭に入っても自由になるお金が欲しいから(略)ビッグとかワイドとかもやってみようかな」と、財テクも専業主婦が着地点である。

 一方、89年に「知的好奇心旺盛な女性のための、こだわりの総合月刊誌」として創刊した『CREA』 (文藝春秋)は、巻頭に国際問題や政治経済のニュースが載るなど硬派、キャリア派か、と思いきや、会社特集はどこかおかしい。90年10月号「会社に言いたい 会社って、どうしてこんなにうっとうしいの。働く私は何とかしたい。」では、「女性優遇・人気企業75社OLたちの〈ホンネの居心地〉」として、当該企業のOLに秘密裏にインタビュー、実情を調査している。91年5月号では「会社なんて、ヒマつぶし。 雇均法世代がカイシャを[脱構築]する」と、ここまで来たりという強気ぶり。「仕事のできない男たちへ―あんなボケ男がなぜ、私より…」とか「30すぎれば、会社はおいしい?」とか、ちょ、週刊ナントカじゃないよね、というような記事タイトルが並ぶ。

 サラリーマンは気楽な家業、とスーダラ言っていたのが高度成長期の男性だったが、この時期、キャリア志向も腰掛け派にも等しく高給と好環境を用意して待っていてくれた「会社」は、若い女性にとってのお気楽な共通項になったかのようである。文句を言ったり笑い飛ばしたりするのも、もはや欠かせない存在になったからこそ、なのかも。(神谷巻尾)

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