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2011年8月26日 (金)

OL財布事情の近年史/第43回 気楽すぎるサラリーウーマン、世にはばかる★90年代前半

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

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 1990年入社の新入社員は、史上最高の待遇だった。豪華福利厚生と両輪で、高い初任給もこの頃がピーク。90年の大卒初任給は、男子17万9400円で前年比5.6%増、女子17万2300円で同5.8%増。この伸び率は91年4%台、その後1%台、さらにマイナス、と急減してゆく。そんなバブル期最後の恩寵は、熟れすぎてほのかに腐臭が漂うごとく、表出していた。
 
 『週刊現代』1990年7月7日号「初任給20万円以上!〈社員を優遇する〉会社40」では、福音館書店34万円、ダイヤモンド社27万円、大阪佐川急便27万円、日本IBM22万円(自宅外通勤)、など景気のいい数字が並ぶ。が、リストには、ワケあり企業がちらほら。佐川急便といえば、92年ヤミ献金で揺れた東京佐川急便事件があり、88年に贈賄事件が発覚していたリクルートコスモス29位、リクルート30位、90年代末に経営破綻した三喜(じゅわいよくちゅーる・マキでおなじみ)などのほか、合併、買収などで社名が変わったり、もはや消えてしまった企業もランクインしていた。
 『週刊読売』91年4月28日号「至れり尽くせり新入社員は神サマなのか」では、前年の人気企業初任給ランキングを掲載しているが、1位博報堂、2位電通が19万円台、5位に18万5570円という全く同額で損保4社が、同様に12位に東電と大阪ガス18万円、15位にトヨタと日産17万9000円、32位に商社6社、42位に都銀9行など、業界で横並びになっている。それに対して「特にコメントはございません。あえて言えば結果的に同じになったということです」って安田火災海上保険広報課の回答。むかつく。高給なはずなのに16万1千円と全国平均より低い都銀だが、ある都銀行員のコメントとして「給料の高額批判をかわすため低めに設定しています。二年目に三、四万円上がり、すぐにメーカーを追い越し、入行八年目くらいに役職が付くと一挙に月にして十万、年収でも二百万円くらい増えますね」だってさ。やらしーな、この頃の企業倫理は。

そんなやらしい倫理観渦巻く会社環境下、OLも少し変だった。データを見れば、91年、大卒女子の就職率は81.8%で男子を抜き史上最高になった。「社会人3年生 OL意識調査」(太陽神戸総合研究所・90年)では、「給料分は働いている」72.8%、「給料を超える働きをしている」19.6%と9割以上が仕事に相当な自信を持つ。かといってキャリアをめざすわけではなく、仕事を続けたい期間は「結婚するまで」44.0%、30歳の自分を想像すると「結婚してアルバイターをやっていると思う」43.8%と、主婦志向である(サンスター「20代独身OLの生活観と歯の健康」90年)。お金も自信もあるが、夢はない。ないっていうか、自分が叶えなくてもよし。希有な状況であった。(つづく)(神谷巻尾)

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