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2011年7月 2日 (土)

冠婚葬祭ビジネスへの視線/フューネラルビジネスフェア2011に行ってきた!(前編)

 年に一度の葬祭業界の祭典、フューネラル・ビジネスフェア。去る6月28日、黒いスーツばかりが目立つパシフィコ横浜で、今年も多くの新製品を目の当たりにしてきた。
 今年のテーマは「家族葬時代」。小規模な葬儀が多くなり、客単価が下がってきた葬儀の現場をどう盛り上げていくか、そんな視点から生まれた商品の数々。業界の確実な変化・進化がみとめられる。
 会場をひととおり回り終えたとき、私の頭には「カジュアル」と「老舗の底力」という2つのキーワードが浮かんでいた。

 葬儀といえば儀式。儀式といえば改まったもの。だからカジュアルとはほど遠いのが当たり前だ。しかし、今回展示にあった返礼品や手元供養などが、今までの常識から比べるとはるかにカジュアルになっていた。しかも上品さを損なわずに。
 例えば、返礼品のYAMATOが提案する、即返しとしてのエキストラバージンオリーブオイル。即返しとして思い浮かぶのは、まず、お茶である。もしくはお酒。ハンカチ。タオル。等々、伝統とはいえないまでも、どれもみな贈答品のアイコンとして日本人の頭にインプットされている品々だ。そんな中、油。しかもお中元などにありがちな食用油ではなく、オリーブオイルである。どうして返礼品にオリーブオイルを提案するのか。
「いま、じつは高齢の方の間でオリーブオイルの認知度が上がっています。動物性の油よりも植物性の油のほうが健康によいという意識からです。しかもオリーブオイルは実そのものから採れる、世界的にもめずらしい油です。オリーブのジュースといってもよく、本場の地中海地方ではかけたり焼くだけでなく、オイルで煮込み料理まで作る。健康の視点からは目の敵にされやすい油ですが、オリーブオイルなら安心して使うことができるんですよ」
 とは、オリーブオイルを案内してくれたお姉さんのお言葉。なるほど、高齢者だからこそのオリーブオイルなのだ。パッケージもお洒落で、「外国からのお土産」感を醸し出している。蓮の花が描かれた熨斗や、黒や緑の素っ気ないパッケージといった従来の香典返し観を一気にくつがえしてくれるデザインだ。

 お次は、メモリアルアートの大野屋の手元供養ブランド「Soul Jewelry」。手元供養のペンダントといえば、遺骨を納めるカロートをモチーフにした筒型や、仏教をイメージさせる荘厳な印象の極彩色が多い。しかしこのブランドの遺骨ペンダントは、ジュエリーとして「普通」なのだ。パール型、オープンハート型、涙型。とても遺骨が入っているとは思えない。日常生活で身に着けていても、「もしかして、それって……」と言われることはほぼないだろう。いい意味での「特別感のなさ」が、とってもカジュアルなのだ。

 ブースは半分仕事を忘れてジュエリーに見とれる若い女性でごった返し、デパートの宝飾品売場だと言ってもまったく疑いようもない雰囲気に包まれていた。(つづく)(小松) 

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