初老男のデモ趣味/愛人も隠し子もいない初老男がはまった“デモ趣味”の現場で見た、裏金警察の小姑並の馬鹿げた干渉で畏縮したテロ国家・ロシア以下の息苦しい現状と、それを打ち破る軽薄でキュートな新世代の頼もしい動き。(前編)
年頭から街頭デモに凝っている。1月10日の青山公園が最初で、明治公園が2回(2月20日、4月16日)、5月1日は高崎駅前、5月7日が渋谷(代々木公園)だ。合計5回。ほぼ毎月どこかのデモに参加を。ただ、デモの主旨には違いが。最初の2回は小澤一郎に対する検察の不当な国策捜査と、その提灯持ち報道しかしない、大手マスコミへの糾弾だ。無論、それ以前から各地で小規模な小澤支持デモは起きてたのだが、記者クラブマスコミが牛耳るメディアは一切報じない(『日刊ゲンダイ』と、この頃までの『週刊朝日』を除く)。結局、ネット上の「ザ・ジャーナル」や「阿修羅」で情報を知り、1人で参加するように。主催は「ザ・ジャーナル」の執筆陣や、関係者のようであった(参加者にはどうでもいい事だが)。
4月16日のデモも主催はその筋の人々らしいが、当然ながら反原発スローガンも新たに(この時の俺のデモ姿が、週明けの『日刊ゲンダイ』3面にカラー写真で掲載!)。以降のデモは、高円寺で素人の乱が驚愕の15000人以上集めた流れでの、原発廃止が第一スローガン。5月1日の高崎デモは地元の革新系県議、5月7日は素人の乱系他のの主催。一応、主催者でも警察調べでもない、筆者推測の参加者数を。青山公園(2000人)。明治公園第1回目(1000人)。明治公園第2回目(800人)。高崎駅前(350人)。渋谷(10000人以上)。
筆者は57歳。団塊世代ではなく、あえて名付ければ“内ゲバ世代”(高校3年の時に、近所の妙義山で連合赤軍事件が)。一浪後に入学したのが学生運動のメッカ、明大夜間部(儲からないと5年程前に廃部)だったので、付き合いで何度か学外デモにも嫌々参加。当時はジグザグデモが普通だったので、ホモっぽい警官に腕組みされたり、抱きつかれたり不愉快な体験も。生っ粋の小心者ゆえ、歩道側をおどおど歩いてると(外側に比べて機動隊員のイジメを余り受けない)、デブスな女性活動家から、「塩山君!男のくせに何よ情けない!!」と、許し難い性差別攻撃を受けて、義憤に心で涙した日も。小心ゆえが第一だが、勤労学生で生活費や学費まで自分で稼ぎ出していた俺は、絶対にパクられる訳には行かなかった。時代へのミエと日々の生活との間で、大いに苦労しましたヨ!(70年代前半でも既に、明大夜間部学生の過半数は仕送りを受け、昼間は遊んでたり、バイト代も小遣いにしてたのが普通。昼間部へ転部する者も多かった)。
今のデモは平和だ。隣同士で腕組んで腰を落とし固まってジグザグと…つまり蛇行してデモるのでも、道路一杯に広がるフランスデモをする訳でもない。ただダラダラ歩いてるだけ。労働組合や政党他の組織が主催者だと、同じようなプラカード持って、メガホン片手の指揮者に合わせて、これまた同じシュプレヒコール! 歩くスピードまで指導され、あたかも北朝鮮の官製パレードだ(それが嫌でここ何年もデモに参加しなかった)。ところが、今年に入って参加したデモはそれぞれ一味違った。主催者が個人に毛が生えた程度だったためか、全然統制が取れていなかった。気分のいい事の原因だが、欠点もやはり潜んでる。
●青山公園デモ●(1月10日)
俺の参加した“反検察大マスコミ小澤一郎支持デモ”では一番人が集まったが、なぜか中高年ばかり。夫婦連れも多く、地下鉄の乃木坂駅にはゼッケン持った同世代の参加者がチラホラ。晴れてたが冷える日で、こんなんで参加者は果たしてと懸念してると、デモスタート時間直前にドカドカ参加者が増える。手作りゼッケンを胸と背中に。“人間失格・菅直人 伸子だけ恋しや 源太郎だけ可愛や”(胸)。“裏金俺にもくれい!! 狂った検察 裏金まみれの警察 イカれた司法 恥を忘れた大マスコミ”(背中)。未知の女性参加者に受けて、一杯写真を撮られた。
ただデモコースは主催者の頑張り不足か、人気のない所ばかり歩かされ、いま一つ気勢が上がらず。デモ警備の機動隊員は必要以上の馬鹿げた人数。彼等を過剰に動員する事で、裏金の原資作りに励んでるのだと良く聞くが、納得が行く景色だ。デモ隊を数百人ごとにグループ分けしたり、一斜線の内側半分、つまり道路の4分の1しか使用させないのは、昔と同じ(民主主義の基本的権利を、裏金官憲がブツ切り状に!)。ジグザグやフランス式が条例違反なのは知ってるが、こんなノミの額並の面積でしかデモらせないとは!(条例にそこまで規定されてるとは思えない。誰か詳しく教えて)デモ隊のトップを、パトカーが先導するのも不愉快。デモはお前らに与えられた行為ではなく、納税者の権利なのだ。
テロ国家ロシアでさえデモと言えばフランス式だ。久々のデモ参加で、やはり日本の民主主義はどこか狂ってると実感。いい遊びも覚える。デモ隊の外側を歩く際に、わざと白線からはみ出してテクテク。すると警官がすぐ寄って来る。「内側を歩いて下さい!」「何でだよテメ-?」「車が危ないですから」「車なんていねえよ」「とにかく白線の内側を…」一時的に言う通りに歩いて、すぐまた同じ事を繰り返す。連中のロボットのような反応は非常に滑稽で面白いし、知的運動になる(体当たりとかはしないように)。
●明治公園デモ●(2月20日)
手に持つプラカードも作る。“監禁変態SM元検事・民野健治をハリツケにしろ!!!”(表)。“東京新聞も怒クズッ!! 高山晶一・竹内洋一・関口克己 デタラメ記事を描くな!!!”(裏)。曇り空で参加者も少なかったが、原宿駅前など人通りの多いコースで、デモりがいはあった。その分、また警官の数も多く、キャリア組は無税の裏金がガッポリ入って、ウハウハだったろう。今回はわざとゆっくり歩き、隊列内に空白区域作りに励む。こうしとくとまたロボット警官が、タバコ銭くらいの裏金しかもらってないのに駆け寄り、「もっと早く歩いて下さい!」「お前らの指図は受けねえよ!」悔しそうだが白線内なので何も出来ない。こういう不当なデモ干渉技術を、マジな顔で上司が警察施設で教えてる様を想像すると、暗澹たる気分に。小澤一郎総理大臣が、政治主導で全官僚の徹底大粛清をしないと、道徳的にも日本は破綻だ。
日の丸片手の右翼っぽい人が参加してたのは全く問題ないとして、同じ隊列に車椅子に乗ったおばさんが。コイツがマイクで検察の悪口をがなる。しかも休みなく。周囲の参加者はうるさくてうんざり。そんな事は百もわかってるからこそ参加している。我慢し切れずに俺が、「婆さんうるせんだよっ!!!」。「そうよそうよ!」と他の参加者。けどしばらくすると再び。頭がおかしいのか? 整理役のあんちゃんに「うるさくて迷惑だからつまみだせよ!」「参加者は平等ですので…」。ロボット機動隊員並に、機転の効かないおつむのマニュアル野郎だ。(後編へつづく)(塩山芳明)
塩山芳明…本ブログにて「池田大作より他に神はなし」、雑誌版『記録』にて『奇書発掘』を連載。エロ漫画編集者。著書に『出版奈落の断末魔~エロ漫画の黄金時代』(アストラ)、『嫌われ者の記』『現代エロ漫画』(共に一水社・絶版)、『出版業界最底辺日記』(ちくま文庫)、『東京の暴れん坊』(右文書院)がある。
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