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2011年4月 8日 (金)

サイトウの酒田発・大震災日記 4月7日

 今日は息抜き、一休みする。
 という訳で、改めて自己紹介をしたらどうなのかという声があった。「おれは何者なのか」みたいなことをかいつまんで書こうと思う。
 私はJRで中央線の車掌をしていたが、会社にある55才の早期退職制度に応じて昨年の1月に退職。東京からふるさとの酒田へ戻って来たら、気の遠くなるような猛暑、48年ぶりという大雪、そしてこの度の大震災と、まるで信じられないようなことばかりに見舞われつつ今日に至っている。
 退職を決めた理由はいくつかあったが、どれも決定的なものがあったわけではない。
 50になった頃だった。もういいかなと漠然と思った。その途端にその思いが日ごとに膨らみ、何日もしないうちにもういいだろう55で辞めようと固く決心した。
 職場の人間関係に長い間馴染めないものがあった。出勤するたびに吐き気を催すような人がたくさんいて、いつももう沢山だと思っていた。不規則な勤務も辛くなっていた。だが、これらは誰もが抱える問題であり、皆我慢して60の定年まで頑張っている。
 一人暮らしのおふくろが認知症になった。施設に入れるしかなかった。月に何度か帰省しなければならなくなった。しかし、これもこのような状況に置かれている人は私一人ではない。
 長い間関わってきた「1047名問題」が55までには解決するだろうという機運があった。連載の「記録」も一つの区切りだと思った。
 国鉄時代は55で退職だった。その後は隠居で、誰もがおじいさんをやっていた。等々。
 以上、こじつけもあるがだいたいこんなところだ。
 55までの約5年間は退職後の綿密な計画を立て、その準備に当たった。また、このことは会社にも親しい同僚たちにも誰一人として退職ギリギリまでいっさいいわないできた。
 さて、私の趣味について話そう。
 まず、音楽全般で特にビートルズが好きだということに尽きる。今でも毎日のように聴いては新しい発見に「やられたぁ」と震えたりしている。
 次に料理だ。何でも作る。和食中心で特に魚が好き。もちろん酒は欠かせない。何でも飲む。
 そして掃除。趣味だなんて変だが、毎日しないと気が済まない。潔癖性なところがある。
 性格はといえば、このように自己顕示欲が強い。だが、人前に出るのと目立つことが大嫌いという矛盾だらけ。だからこうして見えないところでチマチマと書いている。影で何をやっているか分からないったらありゃしない。
 特技は、自分に都合の悪いことはすぐに忘れる。しかしこれは、物事を割り切り、切り替えるという努力が必要。
 あとは、これまでにお世話になった人は大勢いるが、中でも一番嬉しかったと思える人は、名前をいっても知っている人はいないに等しいが、某出版社の編集長をしている人だと一応挙げておく。
 おふくろのことだが、昔のことはハッキリとはいかないまでもよく覚えているが、最近のこととなると1分もしないうちにすぐに忘れてしまう。だから、あれだけ揺れた地震のことも何も覚えていない。
 そんなおふくろと先日桜の話をした。私はちょっと試して、「桜の花の色は」と聞いた。おふくろは暫く考えて「さくら色」といった。私は「う~む」と唸り、「桃の花は」と聞いた。すると「もも色」だと。当たってはいるが、「じゃあ、バラは」と、「バラ色」……。もうおかしくて久しぶりに大笑いしてしまった。いつまでも元気でいてほしい。
 震災の翌日、酒田中が停電した中で夜が明け始めた。私は静まりかえった早朝に、雪でガチンガチンに凍った道を一人トボトボと1時間以上歩いておふくろの施設に向かった。携帯ラジオは震災の物々しさを伝えていたが、「ここで一曲」といった。いったいこんな時に何をかけるのかと何ともフシギな気持に陥った。かける曲などあるはずがないと思ったのだ。するとリチャード・グレイダーマンのピアノ曲だった。キレイだった。涙が零れた。納得した。
 また、今問題となっている相撲の八百長についてだが、昨日20余名の処分が決定した。私は、八百長は心に誓ってやっていないという力士には徹底的に闘ってほしいと思った。連日幹部宅に押しかけて、玄関先でしこを踏み、家の壁を突き押すなどの練習を重ねる。しまいには家を倒してしまうくらいの怪力を身につける。そして、将来の相撲界のトップになることを期待したのだが。
 ま、そういうことばかり考えてしまうヘンな親父だということで、そろそろ終わる。
 最近、毎日聴いている歌が2つある。詞の内容といい、曲のテンポといい、とても美しく、これほど今にふさわしい曲はないとさえ思える。私が中学の時から聴き続けている斉藤哲夫の「悩み多き者よ」と友部正人の「一本道」だ。近年リメイクしたCDだが、機会があったらぜひ聴いてほしい。
 原発で命がけで作業をしている人たち、被災地で身を粉にして支援をしている人たち、本当に心から敬服している。被災された皆さんも一歩でも前へ進んでほしい。
 今日は私も自粛から一時避難してしまったことをお許し願いたい。
 それでは、また。(斎藤典雄)

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コメント

1047名問題が解決したことに対するサイテイ車掌的総括はあるのでしょうか?
退職したのだからとその件について筆を置いてしまうのなら、読者の俺としては残念です。
記録に斎藤さんが戻ってきたのを機に、3冊をまた読み返してみました。初めて読んだ時は、よくわかんねーや、なんて読み飛ばしていた1047名の話の部分、いかにしっかり調べてあるかに気づいてオドロキ。

投稿: Pod | 2011年4月 9日 (土) 00時52分

Pod様、ありがとうございます。
おっしゃる通りで、それだけが気がかりでした

投稿: 斎藤 | 2011年4月11日 (月) 12時26分

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