『原発暴走列島』速報!ゲラ読み【第4章】
4月下旬発売の新刊『原発暴走列島』速報!ゲラ読み
(枝元 葵)
・第4章 生かされなかったJCO臨界の教訓
原子力発電による事故の悲惨さは、読んでいて悲しくなるほどである。1999年9月30日に発生した「JCO東海事業所」の臨海事故は、2人の労働者が放射線被曝の犠牲となった。このうちの1人である大内久さんは、被曝から83日目に多臓器不全で亡くなった。原子力の被曝者として、各国の医師による世界規模の治療が行われたという。他にも慢性被曝で下請労働者が大量に被曝し、その因果関係を明確にできないまま死亡している。この本に書かれている以上のことが、現場では起こっているのは明らかである。実際に、JCOの事故の際に臨界事故を防いだのは、核物質の基本的な知識すら知らない社員33名だったという。防護服もなく、被曝覚悟の行為によってくいとめられた事故であったと書かれている。
今回もそうではないだろうか。建屋内で作業をしていた下請作業員3名が足元に溜まっていた強い放射能を含む水に触れて病院に搬送された。この3人は基準値を大きく上まわる数値が観測されたため大きく報道されたが、水素爆発により除染が必要なレベルの被曝をした住民もいる。テレビの報道に偏りがあることを、今回の事件で私は実感している。
原発を受け入れる地域には、電源三法によって決められた原発立地交付金が支給される。しかし、このお金は7年間だけであるため、その期間を過ぎればこれまで入ってきたお金は入らない。だから、新たな原発開発を受容せざるを得ないというスパイラルがあるという。地域活性化、地元の雇用増大を売り文句に、これまで推進してきた人もいるだろう。今この福島第1原発の事故を受けて、その流れは大きく変わることは目に見えている。鎌田さんも述べているが、今後原子力に変わる代替エネルギーについて議論をしなければいけない。
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