地震社会学の冒険
震災から10日が過ぎた。
テレビやラジオはさすがに地震一辺倒というわけではなくなったが、未だに知人や親類と連絡が取れず、眠れぬ日々を過ごしている人が沢山いることと思う。
そして福島第一原発に関しては、まだまだ予断を許さぬ状況が続いている。危機的状況を抜け出したとしても、これから長期にわたって我々が背負っていかねばならない枷が作られてしまった事実は消えない。
親類や知人を亡くしてしまっても、生きていかねばならない人が、たくさんいる。今は全国に散らばるしかないかもしれないけれど、そんな人たちがまた自分の土地に帰ろうとした時。彼らは、どのように町を復興していくのだろう。そして、それを遠くから見守るしかできない私たちは、どんな支援ができるのだろう。
そう考えた時、そうだ、この会社にもそういう本があるじゃないか、と思い手に取った。日本地震学会員の和田芳隆氏の著書『地震社会学の冒険』。台湾、トルコ、そして神戸。大地震の震災地に訪れ、復興の様子をルポし、現地の様々な証言に耳を傾け、長期的な研究を行っている本だ。
メディアが伝え切れていない「震災地の今」がまざまざと浮き上がってくる同著は、ところ変われば復興の形も違うことが被災者自らの言葉から伝わってくるし、逆に、基本的に何も変わらないかも・・・と気付かされるところもある。今回の震災は、地震・津波・原発と、三連発もボディーブローを食らった形になった。だから今までの震災とは規模が全く違い、阪神・淡路のときのノウハウを活かせば危機から脱却するといった展望は描けないようだ。だったら、いろんなところの実例から学ぶしかないのではないか。当然、国が違えば事情が全く違うが、いくばくかのヒントにはなりえるのではないか。そして、こういうものをゆっくり読んでいられるのは、今くらいしかないのではないか。という訳で、今日から改めてじっくり読もうと思います。(奥山)
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