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2011年2月17日 (木)

アフガン終わりなき戦場/第41回アフガン人と行くアフガンの仏像展(上)

 東京国立博物館で開催されている特別展、「仏教伝来の道。平山郁夫と文化財保護」を見てきた。故平山郁夫は芸術家としての活動の傍ら文化財保護にも力を入れていた。今回展示されているアフガニスタン出土の仏像も内戦中に闇ルートを通って日本に流れてきたものを、平山が買い取り、保管していたものだ。

 その中にはカブール国立美術館から盗み出された「カーシャパ兄弟の仏礼拝」も含まれている。アフガニスタン仏教文化の傑作と言われている貴重な仏伝図だ。私は3年前にカブール国立美術館を訪れたことがある。1920年代に建てられた小じんまりとした2階建ての建物で、90年台の内戦時期にはムジャヒディンの基地として使われた。内戦中、貴重な文化財は外国の金持ちに売られ、武器弾薬に代えられた。その間銃撃戦の舞台になり、ロケット砲まで打ち込まれた。私が訪れたときには海外からの援助もあり、建物は修復され観覧も可能だった。2000年以上前に作られたゾロアスター教(拝火教)の像もあり、多くを失ったとはいえ、アフガニスタン史の悠久の流れを感じるに足る場所だった。

 ただ、一緒についてきてもらったアフガン人の友人はいい顔をしなかった。イスラム教では偶像崇拝が禁止されている。仏像を見ると彼は露骨に嫌そうに顔をしかめた。写真や人物画、アニメすら嫌われる土地柄だ。仏像の存在自体が悪魔の所業と見えても不思議ではない。アフガニスタンがイスラム化したのは8世紀ごろ。それ以前はゾロアスター教、ギリシア文化、仏教文化が大輪の花を咲かせていた。けれど、アフガン人でそれらに興味を持っている人間に、私はついぞ会ったことがない。

 以前ホテルで、アフガニスタンの仏教文化を通訳のアフガン人に熱っぽく語っているアメリカ人のジャーナリストを見たことがある。通訳の方はキョトンとしていて、そんなものがあったこと自体知らなかったようだ。アメリカ人の方は
「You should be proud of it! (誇りに想うべきだ)」
 と何度も繰り返していたが、通訳の彼にとっては寝耳に水だ。自分の国の文化に興味を持ち研究しているアフガン人たちがいることも知っているが、実際のところ多くのアフガン人にとって、興味の対象には成り得ないのが実情だ。戒律上の話だからこちらがとやかく言う筋合いではないが、まあ多少もったいない話ではある。私の博物館見学も、友人が「早く出よう」と何度も訴えるので足早に見るだけになってしまった。友人には悪いことをしたと思っている。(白川徹)

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