寺門興隆を読む/第5回 2011年2月号「羅漢像の勧め」
寺院実務誌「寺門興隆を読む」も5回目、2月号を迎えた。ところでこの雑誌は、ひとたび改題の歴史がある。以前は『月刊住職』という雑誌であった。1998年、発行元が変わったために誌名も変わったのだ。何とも直截的。「寺門興隆」のほうが数倍もかっこいい。何というかこう、一見、住職のための雑誌っぽくなくて、より遠い地平を見ているようじゃないか。寺関係の雑誌である、ということは覆い隠せないとしても。隠す必要性はないが。
さて、2月号の見出し。
余生30年超時代の仏教/護持会預金訴訟/宗費長期滞納住職の判決/諷誦文を作る/脚光の骨仏/葬式仏教論/羅漢像の勧め/書の達人住職/琵琶住職/寺同士墓地論争
色んな住職がいたものである。特に気になるのはやはり「羅漢像の勧め」だろう。昨年の12月号で仁王像を勧められたばかりだ。いったいいくら散財させれば気が済むのか、と憤慨しながらページをめくったが、目に飛び込んできたのは愛らしい素人作りの石像がたくさん。なんと「石仏の会」の素人さんが集まって作った約800体の仏像と読んで驚いた。
お寺を提供している埼玉県の定副院には、毎日曜日にたくさんの人が集まるらしい。「石仏の会」は緩い集まりで、「わいわいやりたい人は竿の日に来ればいいし、一人で静かに彫りたい人は平日に来ればいい」という。「なぜ彫りに来たか聞く人はいない」という言葉に表されているように、現代的なやんわりとした付き合い方がミソらしい。それで「らかんまつり」まで行われているのだから圧巻だ。
「住職寺族の家計に平成二十三年度税制改正はどんな影響を及ぼすか」
「袈裟衣や経本や新聞・書籍の代金や宗費等も控除されるって本当?」
と、今年の法改正に興味深々である。前者の相談は住職の所得が法改正の影響を受けないくらい低いという、ちょっと恥ずかしい結果に。そう、ちょいリッチな人しか関係ないのだ、と思おう。思いたい。後者は、袈裟や数珠、経本などが税制ではどんな区分になるのかなど細々と記載されており、なんだかよくわからないけどお坊さんも大変なんだな、と思わされた。
連載見出しで優れているのはやはりお寺の和尚の日記、「和尚が崖から落下し九死に一生を得たのは寺世話人のおシッコのせい」と、最初から最後まで何が何やらわからず、記事を読まされる羽目になる。さすが元週刊サンケイ記者。(小松)
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