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2011年2月28日 (月)

鎌田慧の現代を斬る/第148回 「東京のカダフィー」石原慎太郎、12年の専制

 一方、日本の首都では、東京のカダフィーともいえる石原慎太郎がついに政権の座を追われそうだ。
 長男の伸晃は自民党幹事長に出世したが、未練がましく、また親父を都知事に担ぎ出し、その威光によって自分の権力を強化しようと、慎太郎応援の先頭をきって空騒ぎを繰り返していたが、ムダだったようだ。

 これまで立候補を表明したのは、共産党の小池晃元参院議員と外食大手「ワタミ」の渡辺美樹会長。また、東国原英夫・前宮崎県知事も立候補を前提に準備を進めている。
 いまのところ、神奈川県知事の松沢成文やワタミの渡辺会長などが、石原派んも後継者とみられている。民主党は候補を絞りきれていない。猪瀬直樹副知事は石原の10分の1ほどのスケールの男で、強い者には弱く、弱い者には強いというタイプだが、やる気があっても慎太郎の駆け引きに埋もれ、とても立候補できるような状況ではない。いずれにしてもあと1ヶ月半で、東京の政治がどう変わるか、重大な岐路に差しかかる。

 石原都政は“差別主義都政”といってもいいほど、彼は異常な差別発言を繰り返してきた。
 2000年4月には「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」と発言。この「三国人発言」に対しては、国連の人種差別撤廃委員会が人種差別撤廃条約に違反すると認めた。
 2001年10月には、「文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババア」「女性が生殖能力を失っても生きてるってのは無駄で罪」などとも放言。このような発言は近代国家の為政者としては許されない。イタリアのベルルスコーニにも匹敵する女性差別主義者である。

 さらに問題になのは教育問題だ。東京都の教育委員会は、日の丸・君が代の強制を、全国の先頭をきって徹底的におこなった。そのため大量の教員が処分された。さらに日の丸の強制掲揚に反対した教師たちは、三鷹高校の校長のように定年後の再任を拒否されるというきわめて差別的な待遇がまかり通っている。ウルトラ右翼の首長が全都の教育を右に向けていくという驚くべき政治が黙認されてきたのは、経済しか考えなかった都民の無関心があったからだ。

 だからといって石原都政が経済発展に貢献したわけではない。それどころか彼が都知事になって12年で、少なく見積もっても1兆円以上がムダ遣いされたいう。
 よく知られているのはオリンピック招致である。発案当時からほとんど可能性がなかった招致運動のために、55億円の経費が計上された。それでも十二分にムダだが、最終的には150億円にまで膨れあがってというから呆れる。実際には200億円を超えるとの報道もあるほどだ。そもそも都民はオリンピックなど望んでもいなかった。五輪開催の支持率は東京で59%と、招致を争ったマドリード、リオデジャネイロ、シカゴと比べてもとんでもないビリだった。
 ところが慎太郎は大乗り気で、開催地の選定会議に出席するためのそろいのスーツまでこしらえた。1回しか着ないのに男性用26万円、女性用21万円で、これだけで総額1200万円近いカネが消えた。路上には餓死している人間もいるのに。
 09年8月の世界陸上ベルリン大会の視察では、4811万円も使ったという。また五輪招致名目の海外出張は13回、合計2億2000万円も浪費したと、都議会でも追及されている。だいたい彼は日本の都市でも最高級のホテルを泊まり歩いていたが、条例で定められている上限額を大幅に超える浪費をつづけてきたことでも知られている。

 都民の血税を自分の使いたい放題。あたかも産油国のリビアやヨルダン、サウジアラビアの権力者のような行動だ。その挙げ句に、五輪招致のムダ使いについて「東京の財政は痛くもかゆくもない」と胸を張った。ムダ金を使ったという反省すらないのだ。
 石原のオリンピック招致で大もうけをしたのが電通である。なんと66億9000万円もの血税が、同社に流れ込んだ。広告は費用対効果がわからないことで知られているが、約67億円も血税を使って何の効果もあげられなかったことには驚くしかない。

 慎太郎の交際費も、たびたび問題になってきた。高級料亭やレストランでの豪遊は、1回60万円など庶民にとって目玉の飛び出るような金額が並ぶ。
 エコツーリズムを視察を目的とした旅行では、ホテル並みの施設を整えたクルーザーでガラパゴス諸島を豪遊。8人で11日間遊び回り総額1444万円も使った。これのどこがエコツーリズムなのか。環境とはまったく相容れないゴーマンな姿勢しかしめさない男に、環境を語る資格はない。

 また彼の12年間で、東京の再開発が進んだ。その象徴が築地市場移転計画だった。これはオリンピックを隠れ蓑にして、築地の卸売り市場を東京ガスの工場跡地である豊洲に移すというものだ。しかし、ここではコークスガスの精製課程でのヒ素、シアン、ベンゼン、水銀など、さまざまな有毒物質が発見されている。土壌汚染地域に食物の施設を移す非常識は利権がらみとしてしか考えられない。土地の売却は、所有者の東京ガス自体も二の足を踏んでいたのを、東京都が強引に説得したといわれている。
 この汚染については、『黒い都知事 石原慎太郎』(一ノ宮美成+グループ・K21 宝島社)に東京ガスの豊洲工場で働いていた人物に深刻な証言がある。
「石炭ガスの生成過程でできたタールのうち、いいものは横浜工場に持っていって再蒸留していたが、どうしても下に油分や錆などのヘドロがたまる。それをオガクズに混ぜて、豊洲工場内の廃棄場所にプールしていた。いま、高濃度汚染地点とされているところだ」
 このプールの壁はコンクリートで、地中にしみ出したらしい。この汚染の原因ともなったコークス生産については、わたしも北九州新日鉄の労働者を取材したことがあるが、労働者にがんが多発していたことを思い出す。
 これだけ危険満載の土地なのに、都は一部の検査データを隠蔽した上、石原は「 日本人が日本人の (汚染浄化)技術を信じないでどうするんだ」と怒鳴ったという。

 もともと築地市場の跡地は、オリンピックのためのメディアセンターを建設する予定になっていた。オリンピック招致が失敗したのだから、本来なら築地の移転も中止すべきだった。しかし計画は止まらない。それは築地を再開発して財界をもうけさせようという意図があったからだ。

 これまでも石原は強力に東京都の再開発をすすめてきた。湾岸をはじめ秋葉原、大手町、羽田空港の拡張工事などの許認可をすすめる猪突猛進ぶりだ。臨海副都心については、01年3月に「行くも地獄、退くも地獄」などと発言したが、膨大なカネをつぎ込んで開発を後押しした。利用者の居ない土地をどんどん作り続けて、どうするのか。
 現在、必死で民主化運動を潰しているシリアのアサド大統領も、父親から受け継いだ在位は慎太郎と同じ12年である。慎太郎独裁に終止符が打たれるのも、世界的にみれば当たり前のことだ。暴言を吐き続け、教員を押しつぶし、思想を取り締まり、税金を湯水のごとく使って豪遊し、財界と組んで再開発を進める。このような独裁政治を、都民は12年も許してきた。こんどこそ、眼を覚ますときだ。(談)

全文は→「1103.pdf」をダウンロード

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