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2011年1月30日 (日)

日曜ミニコミ誌!/『本と酒と俺』

 すごくいい雑誌だと思うのだ。まず、タイトルがいい。破格にいい。
 というわけでタイトル買いをした。これを読みながら酒を飲みたい。そう思わせる、いい雑誌だ。

 家に帰り、2缶298円の缶チューハイ(ストロングゼロ)を手にページをめくる。
 編集人をはじめ、連載陣の文章玄人ぶりにまずはびっくりした。洗練されたエッセイが500円で15本も読めるなんて、お得にもほどがある。唯一の難点は、酒を飲まない人にとってはさっぱり面白くないだろうところだ。他に欠点は微塵も見あたらない。
「カナダで 本と酒と俺たち」(江川伸子)の、異国情緒あふれる酒事情。
 家賃の倍相当を酒代にしていたという記述に侠気を感じる(記者は女性だが)。
「酒からだけの視点で1Q84を読んでみました。」(田中都麦)の、酒に対する真摯さ。
 ビールを半分だけ飲んで流しに捨てる主人公に憤慨する姿勢には、大いに賛同できる。出された酒はフラフラになっても一滴残さず飲むことを信条にしている酒好きから見れば、阿鼻叫喚にも匹敵する図だ。
「ここはあんまんについて語るのに適した場所ではありません」(加藤徹)の、昔語りの面白さ。 酒に関係する内容は前半だけだが、全く関係ない後半の方が1000倍も面白いというのはどうしたことか。

 そして「26人に聞く「本と酒と俺」!!」では、「本を読みながら酒を飲むことがありますか?」「おすすめの酒本は?」といった質問に26人の「本まわりの達人たち(そして酒好き)」が答えていく。
 意外と皆、本を読みながら酒を飲む、ということはしないようで、お行儀が良くて立派である。
 酒に本はつきものだし、本に酒はつきものと日頃思っているだけに、う~ん、とうならされた。

 私事で恐縮だが、「本と酒」を遣り出したのは大学生の時。小難しい課題本を読んでいて、酒でも飲んでなければやってられないとウィスキーをストレートで用意したのが運の尽きだった。酔うに従って頭の中の引き出しがひっくり返り、誰かが出鱈目に整理整頓を始める。「これはこっち、あれはあっち」と理不尽にたたんでしまわれていった結果、まともな頭では考えつかなかった思考のコーディネートがぴたりと嵌り、「あ、そういうことなのね」と目ウロコに出会ったりするのだ。そしてレポートを書く、がんがん書く。私って天才かも、と気分はいかにも爽快である。
 唯一の難点といえば、次の日まともな頭で目覚めると全く理解不能な解釈がワード上に乱立しており、全削除を余儀なくされると言うことだ。
 それさえ気にならなければ酒と本という組み合わせはひとり遊びに最適なパートナーである。

 個人的には「どんな酒がどんな本に合うか」も意識して選んでいる。
 先日、恩師から八木雄二の『天使はなぜ堕落するのか』(「天ダラ」と略すそうである)を勧められたが、読み通す自信がまったくない。どんな強い酒と合わせようかと悩んでいるところだが、いかんせん、本自体がとても高価なので買うこと自体を迷いはじめた。しかし強い酒は飲みたいので、ぜひ買うことにする。
(■『本と酒と俺』2010年1号 500円86PA5判)http://d.hatena.ne.jp/yumyuri/

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