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2011年1月14日 (金)

OL財布事情の近年史/第16回 アフターファイブって何だっけ……

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

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 今年の成人式の報道は、お祝い気分もそこそこに、不況に就職難で苦しい若者ガンバレという論調が多かったような気がする。比較のためか超売り手市場だったバブル期の、内定4社もらっただの、囲い込みで海外に連れて行かれただのといった就職活動風景が流れ、テン年代の若者の神経を逆撫でしなかったか不安であった。
 さて、就職にもお金にも特に苦労しなかった時代に戻ろう。結婚までの期間限定だったOLが、仕事に目が向き始め、男性との格差に気づき、自分の給料を客観的に見たいという欲求の萌芽が見て取れるようになった80年代中盤である。そういえば、この頃の『コスモポリタン』には「OL」ではなく「ワーキング・ウーマン」と表記されていた。雑誌全体に「これからの女性は自立するのよ!」といった熱意あふれる口調が目立つ。
 1983年9月号「20代の決算書 あなたは豊かな30歳を迎える自信がありますか」では、「あなたは24時間を有効に使ってる?」と挑発。就職情報センター発行「OLは何を考えているか1981」という調査によると、アフター5の過ごし方は、ショッピングが92.2%、友人とのおしゃべり87.8%が上位で、お稽古ごとは53.0%と少ないことに不満げ。その内訳も「お花43.0%、料理24.9%、お茶24.1%と、花嫁修業必須科目が圧倒的に多く、資格取得の学校は8.5%、英会話6.5%、コンピュータ関係0.3%というのが実情」と、怒ってます。「会社にいる時間以外は、家でゴロゴロするか、買い物をするか、気の置けない友だちとペチャクチャやるか、というのが平均的20代OLの姿」と断言、キャリア・ウーマンも道が遠いと嘆く。
  1984年には読者への大規模なアンケート調査を「コスモ・ワーキング白書」として、10月号から数ヶ月にわたって連載している。仕事や収入支出の部分を見てみると、ここでも要求が高い。職場への満足度に関する質問では、「人生における仕事へのウェイト」が50%を超える人と50%以下のグループにわけクロス集計を行い、50%超えの方が「仕事の面白さ」「自主性・発言権の認められ方」「昇進や女性の能力評価」への満足度が高い、という結果を導き出している。お茶くみや雑用ばかりじゃ不満もつのるけど、仕事への意欲を燃やせば達成感も得られるんですよ、と啓蒙しているのだろう。
 一方「仕事に期待するものは?」の問いには、「経済的収入」と答えたのが4319人で圧倒的1位。お財布状況は、月に約215時間働いて手取り12万1000円、ボーナス3.6ヶ月、貯蓄額は50万円以下が29%。ここでは親元暮らしとひとり暮らしの支出の内訳の違いに注目している。交際費、美容・ファッション費、娯楽費、貯蓄など、ほとんどの項目で親元暮らしの方が多いが「教養費だけは逆転して、1000円高とガンバリ精神を発揮」「親元暮らしはかなり甘え気味。向上心の強いひとり暮らしのほうに軍配が上がりそうです」と、たったの1000円高を大フィーチャーして独立派を擁護している。
 またここでも「アフター5や休日の過ごし方」の項目があるが、そもそもアフター5って言葉自体、死語? 今5時以降にあえて何かする意識ないのでは。だいたい5時に終わる職場も皆無だろうし。まあ案の定「ショッピング」「家でテレビやレコード鑑賞」「女友達とおしゃべり」が上位に来て、「勤務先の勉強会」などは「驚くほどの少なさ、これはちょっと、ワーキング・ウーマンとしてあまりに意識が低いんじゃない」と、コスモさんカッカしている。
 しかしこの調査、年齢が22、23歳が最も多く、勤続年数1年以下が45.6%、親と同居が64.7%と、どう見てもお嬢さんOLメイン。意識はまだ旧世代、でも景気が急によくなって、仕事への意識が変わってきた。めざすのはキャリアウーマン、と発破をかけられる。しかし果たしてみんなそこを目指したのだろうか。その後のOLを思い浮かべると、もちろんキャリア志向もいたけれど、ジュリアナ、ボディコン、三高結婚、派遣OL等々、必ずしも仕事へのウェイトが高くなっていったわけではない。ちなみに『コスモポリタン』日本版は、2000年頃から表紙が欧米人モデルから日本の著名人に変わり、2005年2月に廃刊。ワーキング・ウーマンへの高い理想も、そう長くは続かなかったといえよう。
 OLはどこへ行く。彼女たちを大きく動かしたもの、それは。-- to be continued.(神谷巻尾)

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