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2010年12月28日 (火)

アフガン終わりなき戦場/第40回イスラムから見た法治国家(上)

 先日、今年アフガニスタンで拘束されたジャーナリストの常岡浩介さんにお会いする機会があり、日暮里のイスラム料理屋で話ができた。その場には以前お世話になったアフガニスタン政府報道官のシディック・アンサリ氏とカルザイ大統領のアドバイザー、ワヒドラ・サバウーン氏もいた。常岡さんと同志社大学の中田考教授が日本に呼んだもので、講演会を日本各地でやっているとのことだ。

 サバーウーン氏は内戦中にアフガニスタンで一大勢力を築いたヒズブ・イスラミのナンバー2の地位にあった。現在でこそカルザイ政権で高官の地位にあるが、もとは山々を転戦したイスラム戦士だ。今年には反政府勢力の攻撃にあい、生死の境をさまよった。その攻撃の後遺症で今もほとんど喋れない。しかし、190センチはゆうにある巨体は少しも威厳を失っていないように見えた。戦乱のアフガニスタンから来た彼に日本はどのように写ったのだろうか。彼とゆっくり話すことはできなかったが、サバウーン氏と日暮里の街はずいぶんとミスマッチに見えた。

 年の瀬ということもあり、忘年会を兼ねてアフガニスタンに関わっている人たちにお会いする機会がずいぶんとあった。色々と意見交換をしたが、誰しもがアフガニスタンの今後を半ば絶望的に見ている。
 おそらく、平和もこないし、どうにもならない。
 私もそう思う。治安が悪い。産業が無い。干ばつで農耕もできない。近代的な政治体制も無いに等しい。ついでに言えば電気も無い。

 あるものを捜すほうがはるかに難しい。これは最近始まったものではなくて、もう40年近くこんな状態なのだ。アメリカはこの不毛な土地に近代的な国家と社会を作ろうとしたのだから、無理も出てくる。

 日本は幕末、明治ブームらしいが、明治維新のような近代社会を構築する過程をこの国は経てきていない。もちろん、近代国家が上でアフガニスタンのような封建社会が下という訳ではない。民主主義がなかろうが、国家が無かろうが、宗教を基軸にした社会に住もうが、悪かろうわけがない。それこそ個人の自由だ。けれど、カブールを中心に警察組織や軍隊の構築、法の整備が進んでいるのは事実だ。ちなみにアメリカがアフガニスタンに対して用意する年間予算は少なくとも60億ドル(約5000億円)。戦費は330億ドル(約2兆7000億円)。ちなみにアフガニスタンと人口が同じくらいのネパールの国家予算は約2300億円だ。これだけの金をかけてアフガニスタンというちっぽけな国を近代化しようとしているのだから驚きもする。(白川徹)

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