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2010年12月 3日 (金)

OL財布事情の近年史/第11回 「ワタシ買う人、アナタ売る人」80年代浪費OLの経済観念

連載「OL財布事情の近年史」は、2013年12月に単行本『女と金~OL財布事情の近年史~』として発売されます。

各年代のOL像を、イラストを交えて解説する辛酸なめ子さんのプチ時評つき。辛酸さんには、カバーイラストも描いていただきました。

エピローグには最新の女性誌お財布事情が書き下ろされ、女性誌創刊号の画像50数点を掲載。30年ぶんの「OLの財布の中身」が一気に見える本となりました。

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 すっかりお気楽消費者のイメージができあがってきた80年代初頭OLだが、実際のところお金についてどんな考え方を持っていたのか。そんなテーマの記事が『モア』1981年11月号「今、あなたとお金の関係を考える」だ。12ページに渡りアンケート調査やインタビュー、情報コラムで構成されたこの特集は、モノクロページのこの種の記事にしてはずいぶんと力が入っている。当時はOLの消費行動をどのように分析していたのだろう。冒頭、こんな一節がある。

「女性とお金、女性と経済——というとき、私たち女性の立場は、とかく消費者としてだけの関わりのように考えられてきた。ことに若い女性の消費行動については、ファッション、美容、レジャーなどのお金の使い方は、消費というより、浪費という捉え方さえされているような気がする。
 多くの女性の収入は、月々ほぼ一定しているだろうし、その収支をみても、決して浪費と言われるほどの出費はしていないはずなのだが。」

 確かに30年後に振り返っても、彼女たちのお金の使いっぷりから“浪費OL”のレッテルを貼ってしまうわけではある。しかしこれまで数回にわたって見てきたように、OLライフは結婚までの猶予期間、実家ぐらし、親がしてくれる貯金、などの諸条件が揃って可能になった消費行動だ。これはしかし、時代のなせるわざ。一生の仕事を持ち、親元から独立し、自立した生活をするなんてこと、誰も女子に求めていなかったのだから。景気が良くて、情報も増えて、欲しいものはたくさんあるし、なんだかよくわからないけどお金も結構あるから使っちゃえー、どうせ結婚したらお金は自由に使えなくなるんだから、という消費なわけですね。
 もちろんその状況にリアルにおかれていたOLは、そんな自己分析はしていなかっただろう。この記事には20歳から34歳までの働く女性200人へのアンケート「あなたにとってお金とは?」の調査結果があり、当時のOLの金銭感覚を垣間みることができる。
 「あなたは自分に経済観念があると思いますか」というストレートな質問には、「ある」6.5%「まあまあある」42.5%、「あまりない」44.5%「ない」6.5%と、あるとないがほぼ互角。月々の平均貯金額は1万〜3万円で、貯金の目的は、多いものから「結婚資金」「海外旅行費用」「いざという時のため」「自立のため」となっている。まあ、想定内の回答ですね。
 次の「あなたは現在の収入に満足していますか」への回答が興味深い。「満足」6%「まあまあ満足」52%と半数以上が給料に満足している。そして「不満」35%「非常に不満」7%の人に「それでは月いくらの収入を望みますか」と問うと、最も多かったのが「現在の収入の2割増し」という答えだったそうだ。2割り増しって、10万円だったら12万円ですよ。そんな程度でよろしいの? それって不満といえるのか。なんだか金銭感覚が危うい。
 フリーアンサーや個別のインタビュー記事をみても、その危うさが随所にみられハラハラする。次回その緊張感をお伝えします。(神谷巻尾)

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