« OL財布事情の近年史/第6回 消費性向96.3%って…給料をほぼ使い切る女たち | トップページ | 池田大作より他に神はなし/大河連載第16回 天才的舞踏家への道を放棄して非暴力平和宗教運動に邁進する中、既に43年前に名誉会長は今の混迷する日本への根本的救済策を明確に提示していた。 »

2010年10月30日 (土)

中国脅威論の裏で利益をあさる米国

●中国の人権意識

 アジアの死刑大国の1つは中国である。政治犯にたいす処分が重いのは、今年のノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏への処分でもあきらかになっている。
 同賞の選考委員会は、中国の非民主主義的な体制の実態をクローズアップした。そこに政治的意図があったことは疑いがない。
 しかし、劉氏は「一党独裁の廃止」や「都市と農村の平等」など、自分の意見を発表しただけなのに投獄されている。また、89年には天安門広部における民主化要求運動のハンスト運動を指揮したが、突入する軍の幹部と交渉し、市民の犠牲を最小限に食い止めた人物としても知られている。
 この非暴力の運動家を弾圧し拘束するなど許されるわけではない。受賞により中国の民主化が推進され、また劉氏への注目が集まることで彼の安全性が高まるなら、きわめて意義深い受賞といえる。
 この受賞について、中国側は「中国の法律を犯し刑罰を科された人物」への受賞だと主張。ノーベル賞を決める委員会のあるノルウェーとの会談のキャンセルなどもおこなわれた。
 しかし国際社会での重要な位置を占めようとするならば、中国の共産党独裁政権の人権に対する国際的な批判は、当然のことである。
 中国政府はインターネットでの関連の用語を検索できなくしたり、国際放送のニュースで劉氏の受賞部分だけ流れないようにするなど、国内で情報の伝播に注意をとがらせている。しかし情報をまったく遮断することはできない。東西ドイツを隔てた壁が通信衛星を受信した国民によって壊れたように、民主化を求める市民に口コミで情報が広がることによって、民主化の圧力はますます高まっていくはずだ。政府自らが民主化を進めていかないかぎり、現政府は存続できない。この受賞を民主化推進の契機とすべきだ。

●中国脅威論で米国にむしり取られ

 この中国との問題で圧力を強め、利益の確保にはしっているのが米国だ。先月号でも牛肉の輸入を再開させるのと引き替えに、クリントン国務長官は「尖閣は安保範囲」と発言した。かつての主張を繰り返すだけで、安全性の怪しい牛肉を売れるのだから安いものだ。
 さらに今度は思いやり予算の増額も求めてきた。
 「日本の安全保障環境が悪化しているのだから減額できない。増額が必要だ。何か増やせるものはないか」(『朝日新聞』10年10月20日)
 このセリフは日米の協議で米側が繰り返してきたものだという。実態の怪しい中国脅威論にかこつけて、ハイエナのように米国が群がってきたというわけだ。
 この米国の要求に日本政府は屈し、環境対策費として数年間にわたり数十億円規模を、思いやり予算に加えることとなった。
 そもそも日本政府が米軍の基地を維持する必要はない。本来なら民主党政権で米軍基地の撤退を推し進めるべきなのに、仮想敵国である中国と北朝鮮にたいする防御という破綻した論理にしがみつき、米軍の駐留を許している。しかも米国の支払いが増える分を、日本政府が払う基地労働者の給与減額で補おうとしている。
 基地が撤退した場所が経済的に豊かになることは、沖縄県の調べではっきりしている。基地がなければ沖縄経済が立ち行かないというのも、政府が振りまいた嘘である。危険な基地を押しつけ、米国からカネを要求されたら日本人の労働者にも悪影響が及ぶ労務費の削減で応えるなど、日本政府の沖縄県民無視はひどすぎる。
 今のうちに米軍基地を撤去し、基地労働者をどう振り向けるかを決めておく必要がある。そうしなければ、米軍と一体化して攻撃してくるというアジア諸国の恐怖心は消えない。
 日本では北朝鮮の恐怖ばかり喧伝するが、アジア諸国から見た日本への恐怖について、日本人はまったく考えていない。憲法を無視し米軍と一体化して増強していく軍事力は、他国からみれば際限のない軍事力に映っているはずだ。
 また朝鮮学校の高校授業料無償化の適用についても、やっと授業内容を不問にして適用する方向で検討に入ったと報じられた。すでに2010年度から高校の無償化は始まっている。しかもインターナショナルスクールや中華学校などの外国人学校にも無償化制度が適用されていた。ところが教育内容などを理由に、政府は無償化にまったをかけていたことになる。
 正当な理由なく支給を遅らせた、この差別意識は問題にされるべきだ。本来であれば、政府は民衆感情に依拠して政策を打つのではなく、国がどうあるべきかを考えて政策を決定しなければならな。
 拉致問題で北朝鮮にたいする反感を煽っておいて、その腹いせに朝鮮高校を迫害するのでは、あまりにも情けない。こうした行為は、外国人の学校の教育内容まで文科省が監視しようしていると取られても仕方がない。
 経済的にもアジア諸国との共生関係が必要とされる状況で、このようなメッセージを世界にむけて発信するマイナスを民主党政権も考えるべきだ。(談)

全文は→「1011.pdf」をダウンロード

|

« OL財布事情の近年史/第6回 消費性向96.3%って…給料をほぼ使い切る女たち | トップページ | 池田大作より他に神はなし/大河連載第16回 天才的舞踏家への道を放棄して非暴力平和宗教運動に邁進する中、既に43年前に名誉会長は今の混迷する日本への根本的救済策を明確に提示していた。 »

鎌田慧の現代を斬る」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/122338/49878031

この記事へのトラックバック一覧です: 中国脅威論の裏で利益をあさる米国:

« OL財布事情の近年史/第6回 消費性向96.3%って…給料をほぼ使い切る女たち | トップページ | 池田大作より他に神はなし/大河連載第16回 天才的舞踏家への道を放棄して非暴力平和宗教運動に邁進する中、既に43年前に名誉会長は今の混迷する日本への根本的救済策を明確に提示していた。 »