靖国神社/40回 最終決戦 8月15日(下) ~今年こそ会えるか~〈2008年8月取材〉
みんなで参拝する会が解散したところで、昼食をとりに行った。参拝者の列は午前中に比べ段違いに増えており、まさに「暑い中お疲れさまです」という言葉がふさわしい状態だった。
昼食を済ませ、午後1時前にやってくるはずの石原慎太郎都知事を見に到着殿へ向かう途中、カメラを抱えた集団に囲まれながら神門から軍服を着た集団が出てきた。白いひげを蓄えたおじいさんを先頭に10人くらいのメンバーが2列に整列し、それに向かって「今日は解散!」というようなことを言っていた。ちなみに彼らも毎年来ているが、参拝後の姿を見たのは初めてである。
さらに遊就館前の売店横では、かき氷を食べているどう見てもヤクザたちがいた。これもこの日の風物詩というか、なかなかおもしろい絵だった。かき氷代は個々で支払ったのだろうか、それともアニキのおごりだったのだろうか。興味は尽きない。
到着殿前はすでに人が集まっており、「(好意的な意味で)いつでも来い、都知事!」という状態で、私は人をかき分けベストポジションを取りに、一般人サイドのど真ん中2列目に立った。すると、「どうぞ」とおばちゃんから日の丸旗を渡され、「なんかスゲー!」と思いながら待つこと約30分。その間、「朝日は帰れ!」「TBSも帰れ!」というこれも毎年聞いている気がするシュプレヒコールが。さすがに以前のような拍手喝采ということはなかった。
暑さでバテるかと思ったその時、黒塗りのセンチュリーがやってきた。車から出てきたのは、石原慎太郎東京都知事。それと同時に、あがる歓声と振られる旗。例年より出待ち人数が減ったとはいえ、この日一番の歓声ではないだろうか。
参拝後、中から出てきた石原都知事は参拝客に手を振り一礼し車へ。そして、石原都知事を乗せたセンチュリーが走り去り、小泉はどうしたんだろうか……と思いながらニュースをチェックすると、すでに午前8時すぎに来ていたそうだ。ガーン!! 今年も会えなかった。個人的な戦いは来年に持ち越しになってしまった。
今回の取材を終え感じたことは、靖国ブームのころに比べ、靖国を取り巻く状況が落ち着いてきているということだ。今年は、論争が巻き起こった映画『靖国』が公開され、小泉政権時代には遠く及ばないが話題になったにもかかわらず、現状は参拝客が減り、8月15日の公人の参拝もさほどもニュースにならなかった(オリンピックの影響もあるかもしれないが)。ほんの数年だけのデータではなんともいえないが、この先靖国はどうなっていくのだろうか。取材を開始したころの靖国へと戻っていくのだろうか。『記録』はWebに移行するが、これからも靖国ウォッチャーとしてその動向を見守りレポートを続けていきたい。(奥津裕美)
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