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2010年9月13日 (月)

書店の風格/MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店

 渋谷・東急百貨店本店の7階に突如現れた大きなフロアを持つ書店。渋谷では最大級の広さというだけあって、淑女がおっかなびっくりウロウロしている姿をそこかしこに認めた。
 エレベーターを上るとそこに広がるのは意外や意外、本棚の羅列だ。普通、おススメの新刊はこれですよ、とか、雑誌コーナーが近いところにあったりとかするけれど、このお店は入った時点からズラっと本棚が並んでいる景色が目に入る。そして四方八方が棚、棚、棚の世界。

 気ままに歩いていると、ポツリポツリと陳列棚がランダムにある。ジャンルに関係なく棚ごとに特集が組まれていて、こっちの棚は著者特集、あっちの棚はテーマごとの特集…と遊びにあふれており、書店や図書館というよりは本の博物館に近い。博物館なら足の向くままに、楽しみながら見て歩いてよいはずだ。と、欲しい本を探すとかジャンルでブラウズするとかいった通常の本屋でするような行為を控え、流れに身を任せてみる。なるほど落ち着いて本を眺められる。

 気がついたら普段は全く興味がなくスル―する棚の前に立っていた。その奥は喫茶室だ。室、といっても何かで区切られているわけではない。本棚を越えるとおじさんが椅子に座ってコーヒーを飲んでいるのに遭遇し、おっと何だかすみません、ここはどんな空間ですか? と尋ねたくなってくる。まるでウサギを追いかけていたらお茶会に迷い込んでしまったアリスのよう。そんなメルヘンな例えが通用するか否かは、人によるだろうが。

 ホームタウンと都心では選書が全く違うように、地域が本屋をつくっていく。網羅的な品ぞろえのジュンク堂と、洋もの豊富な丸善が、渋谷という独特な文化があふれる街に触れてこれからどんな棚をつくっていくか、とても楽しみだ。(奥山)

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