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2010年9月30日 (木)

鎌田慧の現代を斬る/第144回 菅の危機と検察の破綻。日本の海は波高し

 歴史的な残る外交政策の失敗となった「尖閣諸島」は、若気のいたりのアンチャンが、老獪な中国政治にギューといわされて、世界の笑いものになった図である。まるで挑発に乗って、大手を取られたヘボ将棋である。
 尖閣諸島の周辺には、中国や台湾の船舶がウヨウヨしている。そのうちの目立つのを追っかけ、逃げるを追ってぶつけられ、公務執行妨害で拿捕したまではいい。それで充分な警告になる。「領土問題」にまで踏み込まずにすむ。
 乗務員を釈放し船を返したものの、船長を長期勾留してしまった。ウルトラ右派の前原外相(事件当時は国交相)が「国内法に則って粛々と対応しています」と見栄を切った。前外相で民主党幹事長となった岡田卓也もおなじ強硬派で、船長逮捕だった。

 これを見た温家宝が、即時無条件「釈放」を要求して、あわてふためいたのが日本政府だった。中国側は抜き手もみせず、ゼネコン「フジタ」の日本人社員4人を「スパイ容疑」で人質にとり、返す刀でハイテク製造に必要な「レアアース」(希土類元素)の輸出を停止する、と通告、周到なダブルパンチだった。
 これでノックアウト。あわてて船長を釈放するという醜態だった。なんの勝算あって、船長を長期勾留していたのか。国内では「屈辱外交」とナショナリズムが盛り上がりそうで気持ちが悪い。戦術ミスだったのだ。これから「尖閣諸島に突っ込んでも拿捕されないぞ」とばかり、中国、台湾の漁船がやってきたら、沖縄の漁船はお手上げである。
 これもまた、沖縄の視点を知らない「日本のエリート政治家」のミスである。

 カッコつけて振り上げた拳を収め方としては、最低の選択だった。ことを大げさにして収拾つかなくなる前に、船長の親族に不幸があった、として、人道的に解決する方法があったのだ。お坊ちゃん政治家ばかりなのだ。
 民主党の代表選を勝ち抜いて、首相の座を守った菅は、その地位を守ることだけに腐心しているが、尖閣問題で沈没しそうだ。「市民派出身」という弱い党内基盤のまま、首相まで駆け上ったのだから、本来なら市民派に依拠し、市民の期待する政策を打って時代を変えていくべきだったのだが、「草かんむり」を無くした「官政権」といわれている。官僚のいいなりなのだ。いまや市民派などの気概はみられない。所信表明演説で、「強い経済、強い財政、強い社会保障の一体実現を、政治の強いリーダーシップで実現する」などと、ある種、国家主義的なスローガンまで打ち出し、市民派を失望させている。

「カネと力」で政治を仕切る、自民党の古い政治体質に染まった小沢一郎が辺野古新基地や日米同盟の見直しなど比較的民主的な政策をしめす一方、市民派出身を標榜する菅が米国一辺倒の政策を掲げる掛け違いがあって、結局、小沢がマスコミにつぶされた。親米派が菅を押し、いままでの路線を継承された。

 小沢にたいする期待は、強腕にたいするものだった。彼がどれほどの神通力をもっていたかはわからない。ただ、自民党が大敗退する衆議院選挙の直前、福田康夫元首相と大連立しようと画策した人物であり、いまでも古賀誠など自民党に太いパイプを持ていることは確かだ。もし、小沢政権になっていたら、自民党議員を取り込み、ねじれ国会を乗り切るといった芸当をしたかもしれない。しかし、いまや数さえ集めれば、どうにかなるという時代ではない。古い力に期待すべきでないのだが、尖閣問題のチョンボでまた小沢の声が上がってきた。彼が小沢の古さに依拠すべきでないが、菅を支える前原・岡田の「革新派」も危ない。(談)

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