冠婚葬祭ビジネスへの視線/第41回 結局ペット霊園って信用できないの?
今年、埼玉のペット霊園「花園ペット祭典」であった惨事はまだ記憶に新しいだろう。飯能市の山林に、火葬すると言って引き取ったペットの遺体を棄てたとして同社の経営者が逮捕された事件は、ペット愛護者たちに衝撃を与えた。火葬後に受け取った骨は、いったい何の骨なのか? ウチの子ではなかったのかと、ショックのあまり鬱状態に入ってしまった被害者もいると聞く。
ペット霊園に関する被害は数多ある。東京都板橋区の「さかうえペット霊園」は、火葬炉を備えた新建物を建設する際に地域住民の反対運動にあい、建設後は異臭を問題視されて抗議運動の末、2009年に動物火葬炉では異例の使用差し止めを受けている。
なお「火葬途中で打ち合わせ以上の金額を要求され、拒むと生焼けのまま出すぞと脅された」「遺骨の焼き方に失敗したのか、真っ黒コゲだった」など、利用者側からの報告はかなりの数に上る。
トラブルが多い原因のひとつとして、ペット火葬についての明確な法規制がないことが挙げられる。多くは地域の条例でカバーしなければならない状態だ。これからの懸案事項だが、今まさに余命短いワンちゃんやネコちゃんはどうなるのか。
記者はちょうど一年ほど前にペット火葬について調べる機会があり、何十という数ではないがペット霊園を取材のためまわった。その際の印象としては、確かに格差はある。何の格差か。「この霊園が信用できるかどうか」、信用度数の格差である。
ホームページで確認するとちゃんとしているように見えるのに、実際に行ってみると「特上」と「普通」の火葬炉の違いがどんなに説明されても納得いかない、納骨ロッカーが市民プールのもののようにお粗末だ、墓のまわりに雑草が目立って侘しすぎるなど、人間のための霊園や火葬場だったら当然配慮されるべきところが全く「なってない」。
人間の火葬場をつくるよりはるかに簡単なのだからピンきりがあって当然だ。大事なのは、そのピンきりをどうやって見抜くか。
シンプルな結論としては「事前下見をしておく」というものだが、それはまあ、最低限のこととして、一つには「その火葬炉のルーツを知ること」が大事だ。
個人が新しく始めた事業なのか、檀家減少に困ったお寺がペット霊園・火葬炉も運営しているのか、人間を扱っていた葬儀社が競争に負けてペットにまで手を伸ばしたか。
以上のどれも記者としては余りお勧めしないけれど、そんな風に決め付けてしまうのは早計だ。だって個人で始めたようなところでも、ペット好きが高じて、という純粋な動機から始めたところは当然手厚く葬ってくれるだろうし、人間でしくじったからこそと力を入れる葬儀社もあろう。
そういった可能性を取り払って、前向きに「おすすめのペット火葬場」を紹介するとすれば、それは「人間の火葬場に併設されているペット火葬場」だ。
取材した感触でもそうだとうなづけるが、もちろん他に理由がある。
人間の火葬場での実績があるところは、ペットのなきがらを家族の遺体のように扱う利用者の悲しみが手に取るようにわかる。必ず丁寧に接してくれることだろう。さらにペット火葬というのは「いちげんさん」が多いからこそ、利用者を大事にしない業者が多く出てくる。しかし人間の火葬場と隣り合わせのペット火葬場ならどうだ。対応がよければおじいちゃんも安心して任せられる。常に人間の火葬場側を利用する人々からの視線もある。もしペットのほうで警察沙汰になれば、人間のほうも共倒れだろう。そういった「いちげんさん」にならない可能性のある利用者の監視や、人間の火葬場との連帯感が良いペット火葬場をつくるのだろう。
今、ペットを失うかもしれない悲しみに襲われている方は、勇気を出してペット火葬場の下見に出かけて欲しい、そして冷静な判断が出来るうちに安心できる業者を見極めておくのが良い。後悔しないために、それを切におすすめする。(小松)
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コメント
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仕事柄、飼い主様から、ペット葬儀社の評判については良く相談されます。
>冷静な判断が出来るうちに安心できる業者を見極めておくのが良い。
上記のご提言はごもっともだと思います。
人間のお葬式の生前準備も同じなのでしょうね。
投稿: Sleeping Beauty | 2010年6月 5日 (土) 20時54分