アフガン終わりなき戦場/第34回 米国からカネをもらうタリバン!(1)
ジャーナリストの常岡浩介さんがアフガニスタンで行方を断ってからもう1ヵ月以上になる。行方不明の方が入ってから数日はテレビや新聞が様々な情報を乱発していたが(正直、見切り発車的な、お粗末なものもあった)、事件発生2週間を過ぎると続報が完全に途絶えてしまった。
ためしにGoogleニュースを日付順にたどっていくと、やはり事件後きっちり2週間で常岡さん関連の報道が無くなっている。メディアというのは「起こったこと」に関しては熱が入るが、概して「起きていること」については興味が無い。ニュース価値(=記事で儲かるお金)が無くなれば、もう報道する意味が無いのだろう。
当然と言えば当然なのだけれど、やっぱりニュースを追いかけている一人としては気持ちが悪い。
「高度資本主義社会。それが嫌なら、バグラディッシュなりソマリアなりに行けばいい」
村上春樹ならそんな風にシニカルに答えそうだけれど、事件発生後は洪水の様に流れてくるニュース記事からどれが信頼に値するかを頭ひねって選んでいたのに、今は完全に水脈が枯れてしまったようだ。それとも誰かが堰でも作ったか。
僕も事件についての推測ぐらいあるのだけれど、やっぱり憶測でものを言いたくない。ただ、無事を祈るのみだ。
僕は今カブールにいる。前回の大統領取材からもう半年以上たっている。久しぶりに来たカブールではいろんなことが変わっていた。
特に大きなトピックが無いからだろうか、以前はジャーナリストで溢れていたホテルが火の消えたように静まりかえっている。たくさんの新しいビルが建って、警察の数が増えた。警察と市民の数、どっちが多いのだろう、と数えてしまう。僕の友達が役所の仕事をクビになった。上司から不正を持ちかけられて、断ったからだ。
タリバンは相変わらず元気だ。「今日から大攻勢を始める」とスポークスマンが気勢をあげる。政府は「単なる脅しだ」と反論する。攻撃が起きる。人が死ぬ。これだけは変わらない。
タリバンにもいろいろグループがある。先日、クンドゥースの女学校に異物が投げ込まれ、異臭騒ぎとなった。タリバンは女性の教育に反対しているため、それに対する抗議だ。あるタリバンのスポークスマンは関与を否定した。けれど、別のスポークスマンは「欧米の洗脳機関に天誅を加えた」と話す。何がなんだか分からない。(白川徹)
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