やずやの敗者復活騒動って、どうよ
やずやの採用活動が、ネットでかなりの騒ぎとなっている。「やずやへの思い」を動画にまとめて、名前と学校を明記してYou Tubeにアップ。それで敗者復活が決まるというものだ。この「再チャレンジ制度」に応募した学生の一部が、非公開でアップするところを全世界に向けて公開してしまったらしい。
やずやのホームページには、この騒動について次のように書いている。
「福岡という場所の都合上、遠方の学生も多く、わざわざ来ていただかなくてもいいようにどうしたらいいのだろうかと考えた結果、ほとんどの学生がパソコンを使っての就職活動を行っていることを踏まえて、非公開という前提でYou Tube を選ばさせていただきました」
よくわからないのが、どうしてYou Tubeを選んだかである。メールで会社に送れば済むことだ。
ビデオカメラだけではなく、携帯やデジタルカメラでも動画が撮れるだけに形式もさまざま。それをいちいちパソコンで見られるように設定するのが面倒くさかったのか、あるいはサーバーに大量の動画が来るのがイヤだったのか。それはよくわからない。ただ、企業の採用活動としてはお粗末だったと言わざるを得ない。
ネット上では、やずや側が受験者に「非公開」を指定していなかったのではないかという疑念がささやかれている。これは正確なところはわからない。ただ、公開・非公開を別にして、「就職厳しいんだろ、一丁、根性見せてみろや」といった雰囲気が濃厚な「再チャレンジ」ではある。
冷え切った就職状況で、多くの学生が大量の企業のエントリーシートを書いている。会社研究をしての執筆だから、まったく同じ文章を使い回すわけにもいかない。もちろん面接が進んでいれば、会社に訪問する時間も取られる。その忙しい最中に、動画を編集してネットにアップしろという「命令」である。
かつて広告代理店などの面接試験で、「オレを笑わせろ」とか「一発芸をしろ」などというテストが行われたと話題になったことがあった。しかし、まだ就職にも余裕があったころの話。みんな笑っていられた。そんな人材がほしいのか、という嘲笑もそこには混じっていたと思う。「しょうがねぇな~、体育会系体質で」といった反応だ。
ところが今回の騒動には笑いが出ない。それは学生に余裕がないからである。就職浪人が不利なことはみんな知っている。また、正社員になれなければ、その後の展望が開けにくいこともわかっている。バブル崩壊直後のように、アルバイトから正社員になれる道はほとんど開かれていない。
どんなに就職が厳しくても、とにかく新卒で正社員にならなければならない。そんな現状である。
もちろん採用側も、そんなことは百も承知。
かつてなら正社員86名、資本金2000万円の会社の無理な要求など、多くの学生が笑って無視できた。ノリの同じ就職希望者だけが集まればいいのだから。
「非公開のご案内はしていたにもかかわらず、使い慣れた社会人と、そうでない学生への配慮が欠けていたのが今回の一番の原因です」と、やずやは今回の騒動を総括しているが、You Tubeへのアップロードに社会人が慣れているとは聞いたことがない。慣れている方が珍しいだろう。
むしろネットに名前や学校名を公開することの怖さを知っている世代だったからこそ、被害が少なくて済んだともいえる。これが中途採用だったら、とんでもない数の動画がアップロードされたのではないか。
まあ、わたしのようなおじさんがYou Tubeで動画を流しても、誰の興味も引かないとは思うが……。
マイナビの記事では、「会社がいくら利益を伸ばしても、一緒に働く仲間が幸せでなければ私も嬉しくありません。当社の財産は人だと思っています」という矢頭徹社長の言葉が載っている。
これが本当なのかどうかを疑わせる騒動だったことは間違いない。(大畑)
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