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2010年4月17日 (土)

鎌田慧の現代を斬る【特別編】/トヨタの宣伝部長になった元日経記者を質す!

 トヨタ自動車のリコールを巡って、豊田章男社長が米国に単身乗り込んだとして、日本では評価するような報道も目にした。しかし召還されて仕方なくでむいたわけで、けっしてかっこいいものではない。
 しかも帰国後、初更新となった自身のブログには、冒頭こそリコール騒動への謝罪があるものの、あとはカーレースの話ばかり。いくらドライバーとしてのブログとはいえ、この緊急時に「昨日テストコースで参戦車両のテストをして、いい汗をかくことができました」と書く能天気ぶりには呆れるしかない。

 たしかに3月の新車販売台数は伸びている。米国では前年同月比で約35%増、中国でも33%増と報道されている。しかし、そうした販売実績を支えたのは、ローン金利をゼロにする苦肉の策によるものだ。こうしたキャンペーンが終わったときに、消費者からの本当の評価が下される。そんなに安閑としていられるわけもなく、ましてトヨタの危機が去ったわけではない。

 トヨタの問題を抑え込んできたのは、莫大な広告費をバックにしたマスコミ対策だった。おかげで「トヨタ万歳」の記事がメディアに氾濫していた。そうしたメディア対策の一断面をあきらかにしたのが、2010年2月25日号と3月4日号の『週刊文春』に掲載された佐藤正明氏の「トヨタのプリンス豊田章男社長の真実」だった。
 1970年代初期から日本経済新聞で自動車を担当した記者だった彼は、文春の連載で次のように書いている。

「この時期、私は頻繁に英二さんに会っていた。英二さんは八四年秋に日本経済新聞の『わたしの履歴書』を執筆した際、僭越ながら私がお手伝いした。連載終了後、単行本にし、さらに英語版出版の準備を進めていた」
 日経の看板コラム「私の履歴書」で、豊田英二元社長のゴーストライターであったことを、自慢げに書いている。さらに豊田英二を経団連の役職に付けるために動いたこともあきらかにしている。
「花井さんと花村さんが会えば、マスコミに余計な詮索をされるので、佐藤さんの口からトヨタの内情と決意のほどを直接話して下さい」と、経団連とトヨタの「伝書鳩」となったことも認めている。

 本来、企業を監視する立場でもある新聞記者が、一企業に肩入れし、「新聞記者の私が花村さんに会う分には、誰にも怪しまれることはない」などと自慢するなど驚くばかりだ。記者なのかトヨタの「広報部長」なのかをハッキリすべきだ。
 また豊田英二が日本航空の会長に打診された際にも、自身が暗躍したことをしめしたうえで、次のように書いている。
「私はJALが破綻して会社更生法の適用を申請したとのニュースに接した時、<あの時、英二さんがJALに会長として乗り込んで安全を徹底させ、同時に経営にトヨタ方式を取り入れ、合理化を進めていたら最悪の事態は避けられたのではないか>と思ったりもした」

 これは矛盾する話である。「安全を徹底」すれば、トヨタ方式での合理化などできないからだ。5年ほど前のJR西日本・福知山線脱線事故は、いっさいのムダを省くトヨタ方式張りのコストダウンが優先されて発生した。今回のリコール問題も、「乾いたぞうきんでも絞る」という豊田英二以来つづくコストカットによって、労働者や下請けが疲弊していたことと無関係ではない。
 それなのにこういうライターが、トヨタ全能主義でトヨタ方式導入を叫ぶのだから信じられない。
 しかも連載原稿の最後に、「トヨタの業績が回復しない限り、日本経済の展望は開けないといっても過言ではない」とも書いている。余計なお世話だ。
 法人税の1割をトヨタが負担していたとしても、これは誇大妄想である。

 日本経済がトヨタに頼みだと書くようなライターが、トヨタの周りにはいっぱいいたのだろう。これでは企業批判などできるはずがない。労働者をいじめても、派遣切りしても大会社がもうかっていればいいという発想になるからだ。
 リコール騒動の最中に、豊田章男社長が「トヨタは万能ではない」と、おごり高ぶった視点から語って問題になった。しかし、このような取り巻きに囲まれて育てば、「万能意識」が芽生えてもいたしかたない。(談)

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