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2010年4月15日 (木)

アフガン終わりなき戦場/第33回 アフガン・テロと明治維新(2)

 前にテレビでパキスタン国境地域の自爆要員養成施設のニュースをやっていた。ニュースでは、子供たちが天国での良い暮らしを信じ込まされ、来世での幸せ欲しさに自爆すると説明していた。ホントかなあ?
 よしんば来世での天国を保障されたとしても、自分の命を断ってまで自爆攻撃なんかするのかな。「狂信者」という言葉があるけれど、宗教的な裏付けだけで自爆するとは僕にはどうしても思えない。やっぱりそれだけの理由があるのだと思う。
 自爆犯は故人だからもう推し量るしかないけれど、僕は貧しいタリバンからすればこのシティ・センターは憎悪の対象になると思う。
 タリバンって言っても貧乏なお百姓さんが武器もって戦っているようなもんだ。彼らはすごく貧しいし、子供もとても多いから明日の食べ物にだって事欠く生活だ。だけど、カブールには、復興支援で賑わい、外国が落とすお金で潤った富裕層が集まるショッピングモールが高々とそびえ立っている。反外国人感情と、その憎い外国人からお金を貰ったにわか金持ちが攻撃対象になったって不思議じゃない。

 最近はやりの幕末とかけてみれば、アフガニスタン版桜田門外の変や生麦事件みたいなものじゃないだろうか。「不逞にも外国と取引をし、祖国を売り渡した奸族と外国人に命を賭して天誅を加える」というノリだ。
 別に自爆攻撃を賛美するつもりは無い。無差別の暴力行為はどんな理由があっても許されることではない。でも、幕末の開国派、佐幕派に対する攘夷志士の行動だって言うなればテロだ。高杉晋作の英国公使館焼き討ちなんて、正に日本史上稀にみる大テロ攻撃だ。だけど、誰も彼らをテロリスト!と非難することは無い。

 現在において日本の維新志士は英雄として扱われていることも珍しくない。それは日本人が、維新志士がどうしてそこまでする必要があったかを理解しているからだ。アフガニスタン人も同じだということは、知っておくべきだろう。イスラム教徒だろうがサムライだろうが、自分の命を捨てるっていうのには、それなりの理由があるのだ。

 幕末の混乱は長州、薩摩のクーデターにより、彼らが政権を握ることで収まった。アフガニスタンはどうなるのだろうか。アメリカは来年には撤退するし、タリバンはその時期をいまかいまかと待ち構えている。幕府のバックについていた欧米列強が期限を明言して手を引くと言っているのだ。維新志士側としては盛り上がること請け合いだ。
 日本は大政奉還という形である程度軟着陸できた(結局戊辰戦争になったとはいえ)。けれど、現アフガン政府がタリバンに政権を奉還するなんて、アメリカからすればとんでもない話だ。
 アフガニスタンの状況はますますもって抜き差しならなくなっている。そう考えると、シティ・センターのあのまずいコーヒーの味もうすら寂しく舌に思い出されてくる。(白川徹)

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