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2010年2月26日 (金)

ドーマン法に生きていた私~脳性まひ者の告白~/第23回 「ドーマン法」世間の評価は

 医師や専門家と呼ばれる人たちの大半は、ドーマン法に対して批判的なご意見をお持ちのようです。理由としては、非科学的であり、膨大な費用が必要なことに加え、過激すぎるリハビリ法であるという点に尽きるみたいです。またドーマン法が生まれてから50年もの歳月が経過しているにもかかわらず、未だに同じ症例でドーマン法を施した場合とそうでない場合の回復率や、それにまつわるデータが存在しないという点においても、いかがわしいとみなされている所以なのでしょう。しかしながら一方で、極めて少数派ではあるけれども、一部の専門家たちの中には「ドーマン法」を研究し、ドーマン博士の理念に賛同しドーマン法を日本でも広めたいと活動なさっておられる方もいらっしゃるようです。私は自分自身も変わり者であることを棚に上げ、変わった人をお見かけすると注意深くウォッチングしたくなるクセがあります!(でもまぁ、このヘンな性分が幸いして今の主人とも結ばれたといっても過言ではないので、こういう性格もアリ!!ということにしておきましょう。ちなみに主人はドーマン法賛成派ではないのですが、私がウォッチングしたくなる程の変わり者だというコトです。ウフフ)

 話がそれてしまいましたが、「ドーマン法」について興味を持ち、研究しようとなさる専門家たちはいったいどんな方なのか? 私はものすごく興味をそそられてしまいます。もっともそんな方とは滅多にお見受けできませんけれど…。でも忘れた頃にテレビやネットで拝見するんですよ、モノ好きな研究者のお姿を!! そういう研究者の方たちの共通点は「非科学的な方法であり、また様々なデメリットがクローズアップされるけれども、これほどまでに詳しい説明が親になされ、親が十分に理解出来て、そして納得して“一丁やったろか!”というやる気を湧かせるリハビリ法が他にあるでしょうか?」ということと、あともう一つは「子どもの自主性を重んじているリハビリ法が他にありますか? やはりドーマン法はスバラしいんです!」といって称賛なさっています。私は「なるほど~。研究者の人からは、こういう風にも見えるのね~」と妙に感心する一方で、体験者だったチョウの本人に言わせれば、親にものすごく詳しい説明がなされるのは、正しい知識を与える為にではなく、親の一番弱い部分に揺さぶりかけ、保険適応外のリハビリ法に取り組んでもらう為の博士が率いる研究所スタッフの“話術”にすぎないんじゃない?! かと。 少なくともウチの親は何時間ものレクチャーを受け、熱心にノートを取り、朝から暗くなる夕方まで一週間クールの講義を年に二回も受け、母は新しいプログラムを処方してもらう為に、しぶしぶ受けてたところがありましたが、父はいつだって熱心に博士の言葉に耳を傾け、我が子の障害に関しては「スペシャリスト」って感じで、かなり自信ありげでしたけれど、実際のところは…脳性麻痺にもいろいろなタイプが存在することすらわかっていなかったのですから!!(笑) まぁウチの親がおまぬけなだけだとも言えなくはないでしょうけれども、やはり…研究所のレクチャーに問題があるように感じます。

隔りのある知識の詰め込み作業だったのでは?
その目的は訓練に立ち向かわすためであり、つまりマインドコントロールに過ぎなかったのでは?
と思ってしまいます。次に「自主性」という言葉にも反応してしまいました。「自主性」と聞いて反射的に「おいおい、好き好んで子どもがドーマン法に取り組むわけないじゃない! やらされてるんだってばぁ」と思った私でしたが、どうやら「自主性」の捉え方に違いがあったようです。一般的に障害児の場合、自主性を育むことが育児の上で一番難しいと言われています。というのは、障害が重くなればなるほど、つまり重度の障害児ほど、何をするにも介助人の手を借りなければならない故に、生活全般に渡って、やってもらって当たり前で、その環境に慣れてしまえば、いわゆる「イエスマン」(あなたまかせ)に陥ってしまうのです。いま障害児教育の現場では、このことが一つの大きな課題となっているようで、子どもの自主性を引き出して育んでいく為には、自分で身体をいろいろと、まず動かしてみて、それで初めて、ああしてみたい、こうしてみたいという欲求が湧いてくるらしく、このことをドーマン推進派の研究者たちは「自主性を重んじるリハビリ法」だと高く評価されているという訳でした。<おーぉ!! なるほどなぁ~>と唸らざるを得ない私。。。 でも、それも程度問題だよね~。と思ってしまうのでした。ドーマン法の内情を知っているだけに……あのメチャクチャ過激な訓練法は「自主性を育む」メリット以上にカラダに与えるデメリットが潜んでいるかもしれないと。正しい筋肉を使うことができない脳性麻痺児に根性だけで腕立て伏せや腹筋だの背筋だの、1日に100回以上も課すって!?  やっぱり、ちょっとそれは…“非科学的”過ぎますョ~ドーマン博士!! なんだか戸塚ヨットスクールを彷彿とさせてしまうのですが… そこに結び付けてしまうのは私だけ? あら?! あまりにも古臭さ過ぎたでしょうか? オバサンなもんでスンマセン。許してちょんまげ!! (大畑 楽歩)

楽歩さんのブログはこちら→ http://ameblo.jp/rabu-snoopy/

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