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2010年1月24日 (日)

日曜ミニコミ誌!個人的な冬コミチャンプ『広域交付住民票の愉しみ』

 日頃は誰の目にも留まらないものが、魔法のように面白いものに変わってしまうことがある。
 むしろそう変えてしまうことが「編集」という仕事の使命だと思う。

 この雑誌との出会いは、冬コミだった。一部の人びとには言わずと知れた、東京ビッグサイトで例年行われる素人紙媒体の祭典だ。素人とはいえ、ほとんどの雑誌はプロ級、いやそれ以上のクオリティで作られている。だからこそ出版人が魅せられて、うじゃうじゃ名刺を配るのだ。

 各日、知り合いが出店している中で、仕事の面から選んだ30日にその収穫はあった。廃村を研究している、最近知り合えた方のところで挨拶し、隣の秘宝館ブースをチラ見しながら素通りすると、そこに「旅貯の会」はあった。
 
「りょちょ」ってなんだろう。見本誌をめくると、「旅行貯金」のことらしかった。色んな郵便局で貯金をし、通帳にその局のスタンプをもらうということを繰り返すのだ。一見地味でも、局のスタンプはそれぞれが独特で、並ぶと圧巻だ。ただの文字モノでもデザインやフォントが少しずつ違うし、色を出しているところもある。例えば、「どんぐりの里 上更別局」、「風と昆布の街 えりも郵便局」など。

 しかし、さらに心惹かれるものが並んでいた。それが『広域交付住民票の愉しみ』だ。

 広域交付住民票とは、居住していない地域で申請する住民票の写しのことだ。住基ネット(懐かしい響き)の情報をやりとりすることで可能となるので、住基ネットに参加していない地域では申請ができない。

これを北海道の様々な市町村で申請し、各々の住民票の写しを公開しているだけなのだが、紙質や申請料に若干の差異があり、それを比べるだけでも面白い。

透かし彫りのしてあるリッパな紙だったり、ただのコピー紙だったり、200円だったり、500円だったり、本当に様々なのだ。
それは各市町村の財政状況を暗に示しているかも知れず、想像を掻き立てられる。
まさに「広域交付住民票の愉しみ」である。

もっと広く広く活動してほしい、そう思わされる表現者に、この冬も出会った。(奥山)

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コメント

 旅貯の会代表のスーパーひたちと申します。お褒めにあずかり光栄です。
 実は、広域交付住民票のことを知ったのも、それほど昔のことではありません。本にまとめようと思ったのは、昨年夏に参加したときの、読者さんの一言でした。これは出してみる価値があるな、と思って昨年冬に出した次第です。
 思いのほか手にとってもらえて、用意していた分は早い時間に無くなりました。
 本編の旅行貯金の記録とともに、大事にしたい広域交付住民票の請求記録。できる範囲で回を重ねていきたいと思います。

投稿: スーパーひたち | 2010年1月31日 (日) 18時51分

スーパーひたち様

コメントをありがとうございました。
心をグッと捕まれたので、取り上げさせていただきました。
今後のご発展を切に願っております!

投稿: 奥山 | 2010年2月 1日 (月) 17時40分

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