日曜ミニコミ誌!/第9回文学フリマに行ってきた
去る12月6日、蒲田の大田区産業プラザPiOで第9回文学フリマが行われた。参加サークルは400弱。交通・広報の面から利便性の高かった秋葉原より蒲田に会場を移して2回目だ。先回も今回も、出展者として参加したので朝から晩まで会場を眺めることができたが、入場者数は前回とほぼ変わらない印象を受けた。売れ方もほぼ同じだ。11時から16時までの5時間勝負だが、前半は常連さんからの品定めの視線に耐え、中盤は一度まわってきて目星をつけた人が買ってくれ(これが一番嬉しい)、後半では売り子の方々が自らの店を離れて遠征してくる。初心者とおぼしき、うろうろしているだけの方も後半に多く、売り子らしく雑誌の説明を何度もすることとなった。
うろうろするのも仕方がない。だって400サークルもあるのだから。どこからどうまわっていいか分からないだろう。案の定、壁際にはお客様方がズラッと並び、サークル一覧をパラパラめくっては興味のありそうなところを見つけようと必死になっていた。
我らノンフィクションのブースはテーマが分かりやすくって気楽である。数も少ないし、サークル一覧の案内文を見ればどんな本か一目瞭然、興味がなければ行かなきゃよい。興味を持ってくれた人は、たいてい買ってくれる。しかし文芸誌は案内文を読んだだけでは雰囲気くらいしか分からない。行って読んでみるしかない。しかも出展者の8割を占める…。
そこで差をつけようと…したのかどうかは分からないけれど、今回の文芸誌は巻頭に著名人のインタビューを冠したものも多かった。それってミニコミとしてはどうなの? と年寄り臭く説教しそうになったが、そのサークル自体はミニコミを目指しているわけじゃないのかもしれないし、単純に好みの問題なのでやめた。自分の頭が固いことはよく分かっている。だから未だに出版をやりたいとしがみついているのだ。
著名人インタビューにせよ、全体のデザインにせよ、レベルの高い文芸誌が本当に多くて、プロなのかアマチュアなのか本気で悩むところだった。よく見るとプロの小説家や批評家とされる人がゲストとして書いていたりするし。だとしたらもう、一般書店で売られている雑誌との違いは、少部数流通か取次流通かだけだ。大きな出版社が短期間で作る広告にまみれた雑誌と、文学好きの人達が時間をかけて採算度外視で作る雑誌、取り上げる内容が同じであれば、どちらが面白いかは考えなくても分かるだろう。それは大変喜ばしいことだ、喜ばしいことなんだけど、何か……つまらない気もする。それはひとえに、やはり頭が固いから、なんだろう。マスコミと同じ土俵に上がろうとする姿勢が見える雑誌も多々あって、何だか残念な気がしたのだ。私達はマスコミの一段下にいるわけじゃなくて、むしろ違うフィールドにいる、だからまともに競争しなくていいのに。
プロの方がミニコミに書く文章は、いつも読む氏の文章より熱のこもったものに思えた。それが手作り感や少部数という魔法にかかってこそのもの、ではないと信じたい。そこに希望が見える気がするから。(奥山)
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